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読書記録「乱反射」〜読んだら綾野剛の名台詞を思い出した

#730
2025.2.22.
金曜日は裏専科会(私が心の中で呼んでいるだけの名称)が楽しすぎた。やっぱり私はお酒の味より、少人数飲み会の楽しい雰囲気が好きだ!



今回はまた読書記録を。今年の読書目標は年12冊なので(少ない!)、月1冊!読めてる、読めてる!

その本というのが、貫井徳郎さんの小説「乱反射」である。

なぜこれを読もうと思ったかと言えば、voicyの人気パーソナリティ尾石晴さんがおすすめしていたからである。

この放送は1月6日のもので、私は最近ずっとvoicyの追いかけが1週間くらい遅れているのでこれを1月半ばに聞き、読んでみたいなあと思って読書アプリ「ビブリオ」の読みたいリストに入れたのだ。

そうしたら数日後にはcozyさんが読書記録をアップされていて、アクションの早さにびっくり。

そのタイミングで地域の図書館の蔵書検索をし、予約した。4冊の蔵書があって、予約も4人だけ!
なんか有名人がオススメしている本でこんな蔵書数や予約数が少ないって珍しい気がする。たいていはオススメを聞いて検索したら100件以上予約が入っていて、これいつ私の番になんねん!と思うものだが。これで面白かったら掘り出し物だなあ。


なので、イタリア旅行出発である1月30日の直前に予約本確保の連絡が来て、受け取りに行った。

受け取ってびっくり。文庫本情報を二度見しちゃう。
『A6判並製  600ページ』
分厚い!!!

え、これイタリア持っていって読むのか…帰ってきてから読むのか…?

フライト15時間だし、他に読もうとしている本もないし…持って行っちゃおう!

こうして、私の文庫カバーに収まりきらないサイズの厚さの本を、機内持ち込みのリュックに入れて、イタリア旅行に出発した。
結果、行きと帰りのフライトで全部読めてしまったのだ。そのくらい、続きが気になるしどんどん読み進められる話だった。


★あらすじ

幼い命を死に追いやった、裁けぬ殺人とは? 街路樹伐採の反対運動を起こす主婦、職務怠慢なアルバイト医、救急外来の常習者、飼犬の糞を放置する定年退職者……小市民たちのエゴイズムが交錯した果てに、悲劇は起こる。残された新聞記者の父親が辿り着いた真相は、法では裁けない「罪」の連鎖だった! モラルなき現代を暴き出す、日本推理作家協会賞受賞作、待望の文庫化!

出版社HPより

2歳の子どもが強風で倒れてきた街路樹の下敷きになって亡くなってしまうという事故についての話である。これはただの事故ではなく、様々な人物のちょっとしたエゴやルール違反の積み重ねが原因だった。

構成が面白くて、マイナス44章からスタートし、事故が発生するまでの様々な要素を追っていく。そして事故が発生して、その後から第1章が始まっていくのだ。

wikipediaによると、

日本推理作家協会賞ではこの点が「『すでに知っている事柄の答え合わせをさせられている』感覚が強い」などの批評もあったが、作家としての技量やミステリ界に対する貢献などが加味されて受賞(※第63回日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門受賞作)に至った。

wikipediaより

そうである。



★感想①/確かにこの罪は裁けない

事故を引き起こした原因となる人たちそれぞれのルール違反は小さいものばかりで、事故で亡くなった子どもの父親が「あなたのせいでうちの息子が…」と言っても、亡くした命の責任を取ることになったら大変!と、みんなが「私のせいじゃない!!!」と反応する。

犬のふんを始末しなかったから、命が失われた?
空いている時間に行きたくて風邪なのに夜間救急を利用したから、命が失われた?
病気なのに周りを気にして治療を受けなかったから、命が失われた?
運転が苦手なのに家族に押し切られて運転しにくい車を使っていたから、命が失われた?

確かに、これは裁けない。

本当に不運が重なり続けて起きた事故…としか言いようがない。
逆に世の中には、みんなのしたことの積み重ねによって起きる良い方の奇跡だってあり得るんじゃないか。

そんなことを考えていたとき、久しぶりにドラマの名言を思い出した。「MIU404」で綾野剛演じる伊吹が言うセリフだ。

「オレが4機捜に来たのがスイッチだとして。ほら、オレが4機捜に呼ばれたのって、急きょ誰かが4機捜に入ったから志摩と組むヤツが足りなくなって、こうオレが呼ばれたんでしょ。玉突きされて入ったオレが、404(2人のコードネーム)で志摩と組むことになって、犯人追い掛けて、その1個、1個、1個が全部スイッチで、なんだか人生じゃん。1個、1個大事にしてーの。あきらめたくねーの」

ここの演技力凄すぎた

みんな日々、スイッチを押し続けていて、その選択によって何かが出会ったり起きたりする。なんだか、人生じゃん。


★感想②/終わり方がキレイ

あんまり内容について書きすぎるのもアレなのだが…ここまで書いてきたように、みんなちょっとずつ責任があるのに、誰も(本当に直接悪かったなと思う人以外は)認めない。

真相を追う被害者の父親の絶望感。辿っていっても救いのない対応。

これ、どうやって終わるの?

最終盤に差し掛かって気がかりになったのはその点だった。若干「その父親が書いたのがこの小説でした!」的なオチかもしれないという気もしてきた。
が、結局終わり方は私が読みながら想像していた選択肢にはないものだった。

よかったらぜひそれを最後まで読んで見守っていただきたい。



ということで、めちゃ長かったが、そんなことを感じさせないくらいどんどん読める小説だった。題名の付け方もすごい。

この若干息を潜めていた?作品を取り上げてテーマにして、実際に読んだ人にいろいろ考えをくれるきっかけを作った尾石晴さん。
インフルエンサーってすごいわ!

風が吹くと桶屋が儲かる的な話…と尾石晴さんが言っていたので、ラーメンズの風桶ネタを最後に貼っておこう。



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#MIU404
#1個1個がスイッチでなんだか人生
#風と桶に関する幾つかの考察

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