優しさと甘さの違い
仕事でマネジメントに関わるようになると、プレイヤーの時に比べ圧倒的に人に教える機会が増えます。
・(今までは)自分一人が理解できていればよかった
・自分のメンバーもノウハウや知見を共有しなければならない
・独り立ちできないメンバーを早期立ち上げしなければならない
などなど。
人に教える機会を持つ多くの人が、部下を成長させたいと願っているのにも関わらず、そこに優しさと甘さを取り違えたケースが散見されます。一言で言えば、正しいマネジメントができていないのです。
そこで、今回は優しさと甘さの違いをテーマに書くことにしました。
■優しさと甘さの違いって?
この二つの言葉は非常に似てるようで、全く異なると思います。解釈の仕方は色々あれど、私は下記のように考えています。
優しさとは、できないことをできるまで辛抱強く見守ってあげること。
甘さとは、できるまで待たずに助け舟を出してあげること。
つまり、人の成長はある程度時間がかかる。
自分の目先の数字をあげるために、そして、いいマネージャーと思われるためにも1から10まで答えを教えてあげるのがてっとり早い。
それが、優しさかというとちょっと違う。
これは甘さと考えます。
助け舟を出してあげる背景には、上司や部下から悪く思われたくない、嫌われたくないという思いがあり、どちらかというと自分本位での対応です。誰だって、目標数字は達成したいし、そのために最短の道として、部下から何かわからないことがあったらすぐに答えを教え、先々に起こりうることを教えておくと楽。
しかし、不思議なことに、人から教わったことはすぐに忘れてしまうのに、自分で掴んだコツというのは中々忘れない。うまくいかず、色々な仮説を検証し、試行錯誤して出した答えは、それは、忘れることはないのです。
多少の失敗は許容しつつ、できるようになるまで見守る。それが長期間に及ぶとしても、部下のことを信じて辛抱強く...。
これが優しさだと思います。
■初めての部下
自分自身、新卒で入った会社で2名の部下を持たせてもらいました。
最初に部下を持ったときには、先輩に負けじと実績を出していたのはもちろんのこと、新卒入社で初めての昇格ということもあり、後輩も信じて付いてきてくれた。そんな素直な二人に、実績を上げる要因となった様々な知識を丁寧に部下の2名に教えることにしました。
「わかりやすく教えてもらってありがとうございます!」
とフィードバックをもらったから、いい気になっていたかもしれない。しかも、大学時代には、塾講師を4年間もしていたもんだから、多分、この言葉に嘘はなく、教え方も悪くなかったと自負しています。
でも、二人は結局自分の数字を超えることがなかったのです。
超えて欲しかったと願っていただけ、当時、マネジメントの基礎はできていたのかもしれませんが、結果的に、自分以下の人しか育てることができなかったやり方に今でも後悔しています。
■魚の釣り方
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」
ということわざがあります。
「人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に釣りを教えれば生涯食べていく事が出来る」という意味(*出典、意味ともに諸説あり)のようですが、私は部下がすぐに結果が出て、自信をつけれるように、魚を与えてしまったのかもしれません。
■生きていく世界を教える
日本が以前のように高度経済成長待っただ中であれば、部下に対して黙ってついてこい!と言っておけば、勝手に事業は成長するし、それに合わせてポジションも増え、よかった時代もありました。
しかし、今はそこまで日本経済は甘くはありません。部下に何かをさせる時代は終わり、部下が自ら動き、何をすべきなのかをそれぞれが考えられることが求められる時代なのです。そのためには、生きていく力は自分で身につけていかなければなりません。
では、何が優しさなのか。
私は、この世界(各々の業界や職種)で生きていくための、生きる術を教える。
もう少し言えば、厳しさを教えることだと思っています。
次回は、残って欲しい人と残って欲しくない人について、書こうかなと思っています。
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