
初恋の相手が義妹になった件。第27話
「ただいまー」
怜奈さんをおぶった僕が敷居を跨ぐと、すぐに百花が顔を出した。
「おかえり……って怜奈ちゃんどうかしたの?」
「いやー、すごい雨じゃん? 水浸しだったからね、悠人君がおんぶしてれるって言うからさ」
怜奈さんはそう言うと、僕の背中から降りた。
「へぇ……」
百花は少し目を細めて眉間に皺を寄せていた。
「あ、陽菜さん達と会ったぞ」
「えー、私も会いたかった!」
「私、サイン貰っちゃった」
怜奈さんはスマホをポケットから取り出すと、写真を百花に見せびらかした。
「私、一緒に写真撮ったことない……」
「まあ僕らは近所に住んでるし、いつでも撮れるじゃん」
僕はそういうと、靴を脱いだが、靴下までぐっしょりと濡れていた。
「ごめんねー」
「いいよ。それより怜奈は? 雨降られたけど濡れてない?」
「……怜奈?」
「あ、悠人君もういいよ」
「そう?」
僕は百花にこの経緯を説明した。
「まあ、許可したのは私だし、別に良いけど……」
「それより百花は何してんだ?」
僕がそう聞くと、百花は少し考える時間をとった。
「宿題少し手をつけて、結局やる気なくてずっと居間で育代さんとテレビ見てたかな。二人はどこ行ってたの?」
「山むこうの安芸太田の道の駅までドライブしてた。そこで陽菜さんと会ってさ、怜奈さんが大騒ぎして面倒になりそうになった」
「てか、先に言っておいて欲しかったな。知り合いだって」
「内緒にしておかなきゃ面倒になるでしょ?」
僕がそう言うと、怜奈さんは「まあそうだよね」と言いながら、居間へと向かった。
僕と百花もそれについて行くように、居間へと向かった。
「あ、悠人さん、おかえり」
樹也はスマホゲームをしながら、僕にそう挨拶をした。
「悠人君、びしょびしょじゃない。先にお風呂入ったら? もう沸いてるからさ」
僕は育代さんにそう言われたので、着替えを取りに部屋に戻った。
「百花?」
「キスはした?」
「したよ」
僕がそう言うと、百花は僕を敷いてあった布団に押し倒してキスをしてくる。
僕らは指を絡ませ、脚を絡ませ、舌を絡ませてお互いを感じ合う。
「……いつもより激しいな」
「一日寂しかったんだもん。怜奈ちゃんのよりよかった?」
僕は小さく頷くと、百花は僕の胸に耳を当てた。
「ドキドキしてる……」
百花の体重を感じると、どうしてか心臓がドキドキする。これが臭い言い方をすれば恋の病だろうか?
「ああ……私、悠人好きだ……試しにって思ったけど、ずっとソワソワしてた」
「そうなんだ」
「どうだった? 怜奈ちゃん」
「正直、なんでモテないんだろうって感じかな。いや、多分好感は持たれてるんだと思うけど、異性への免疫がないから……」
「あ、それか……」
百花は僕の上から退くと「早くお風呂入ってきな」と言う。
僕は風呂場へ向かうと、下着姿の怜奈さんが居た。
「しっ!静かにして……」
「……っ!ど、どうしたんですか?」
「……一緒に入りたいなって思って」
僕は扉を閉めて一つ深呼吸をした。
「裸になるんですよ? それ、どう言う意味かわかってますか?」
「わかってるよ。だから、私覚悟決めた。全部の初めて、悠人君に捧げたい」
僕は怜奈さんの肩に手をやると、ブラの肩紐を肩から外す。
「こう言うことをやっていくんですよ? 恥ずかしいとかないですか?」
「大丈夫……」
百花より大きな胸が収まるブラを外すのに、寧ろ僕の方が覚悟が必要だった。
「……年下の男の子の方が慣れてるのはなんかムカつく」
「仕方ないでしょ? 経験あるんだから」
「百花ちゃんのを?」
「まあ、そうですね」
僕がそう言うと「最近の若い子は進んでるなぁ」と怜奈さんはボヤいた。
「どうかな?」
怜奈さんは自分でブラのホックを外して、その柔玉を露わにすると、僕に感想を求めた。
「たぶん、百花ちゃんより大きいと思うけど……」
「そ、そうですね」
僕は顔を逸らしながらそう言うと「ちゃんと見てよ」と怜奈さんは僕の顔を前に向けた。
そこにある二つの玉。白い肌が立体的になっている様子に僕は釘付けになった。
「さ、触ってほしい」
怜奈さんはそう言うと、僕の左手を掴むと、右胸に手を置いた。
「……」
「どう?」
「柔らかいです」
僕はダメだと思いながらも、そこにあるものへの好奇心を止められなかった。
でも同時に、これ以上はダメだと言う僕の中の天使がそう言う。そして悪魔は欲望に身を任せればいいと囁く。
「……ここまでです、怜奈さん。もうこれ以上は……」
「そうだよね……」
怜奈さんは服を着て脱衣場から去った。
僕は落ち着くために、少し長めに湯船に浸かりながら、色々考えていた。
風呂から出て部屋に戻る途中居間にいる怜奈さんと目が合った。
僕はそのまま部屋に入ると、気づいたら怜奈さんが後ろについて来ていた。
「どうしたの怜奈ちゃん?」
寝転がって漫画を読んでいた百花は、体を起こして僕らの方を見た。
「百花ちゃんにお願いがあるの」
「何?」
百花は改めて座り直すと、その前に怜奈さんは正座をした。
「悠人君とさせてください!」
怜奈さんは土下座をして、百花に頭を下げていた。
「させてって……エッチってこと?」
「うん。わがままだと思うけど、私……」
百花は大きなため息を吐いた。
「あのね、悠人は私の恋人なの。私が進んでエッチさせてあげてって言うわけないでしょ?」
「わかってるけど……」
「二人でしようなんてズルいから、私も一緒にならいいよ」
「え、ちょっと待てよ百花!」
百花は笑いながら僕を見て「ハーレムだね」と言った。
「怜奈ちゃんの部屋でやれば汚れることも気にしなくていいしさ、一石二鳥じゃん」
「いや、だからさ。わかってるのか? 百花以外とするんだぞ?」
「怜奈ちゃんならいいよ?」
百花はそう言うと、怜奈さんを抱き締めた。
「私、悠人も好きだし、怜奈ちゃんも好き。だから、全部丸く収めたい。みんなが幸せになるには……」
「百花ちゃん……」
二人はそうやって丸く収まってるが、僕は納得できていなかった。
「……例えば僕が百花より怜奈さんの方がいいってなってもいいんだな?」
「そうじゃなくて……」
「だってそうじゃないか。僕の気持ちは……」
僕は怜奈さんを見た。その少し不安そうな顔に僕は同情なんてしないと決めた。
「僕はここから好きな人としかしたくない。そりゃ怜奈さんは好きだけど、まだそう言うことをしたいって思うほどじゃない」
「悠人君……」
僕は百花を睨むと、百花も睨み返してくる。
「……私のせいで、怜奈ちゃんの初恋がダメになっちゃったの。だから、少しは私も背負わなきゃいけないって思って……ね、悠人。一回だけでいいからシテあげて?」
僕は怜奈さんを見遣る。
「百花はいいってことだな?」
「うん。寧ろ、お願いしてる。シテあげて欲しい」
僕はため息を吐くと「じゃあ夕飯後でいいか?」と二人に訊くと、二人はこくりと頷いた。
百花は鞄の中からコンドームを取り出すと、れいなさんに渡していた。
「初めて見た……」
怜奈さんはそれをまじまじ見ながら僕を見た。
「あ、あの。今夜はよろしくお願いします……」
「急に奥ゆかしい感じになるのやめてください」
「えっと……そうだね」
「あ、悠人そう言えば昔の怜奈ちゃんの方が好きって言ってなかった? 三つ編みメガネの」
「わかった。その格好するね。どうせ寝る前コンタクト外してメガネだし」
怜奈さんはそう言うと、自分の部屋にコンドームを持って帰って行った。
「見つからないのかな」
「大丈夫なんじゃない?」
百花は僕の隣に来た。
ちょこんと座ると、僕に縋ってくる。
「ごめんね……これは私の自己満足なのに」
「……百花は横取りしちゃったって思ってるんだろ?」
「うん。罪悪感がすごくて……」
「それで言ったら樹也に僕は百花を差し出さなきゃいけないな」
「え?」
樹也の初恋の相手の話をすると、百花はなんとなく察していたのか納得していた。
「でも樹也はまだ子供だし」
「とはいえ中学生だからな。体は徐々に大人になってるさ」
僕は百花の頭を撫でる。
「怜奈ちゃん、大学でも友達少ないんだって」
「へー」
「特に異性とはあんまり距離を詰められないって言ってた。だから、彼氏なんかできないし、新しい恋も生まれないって」
僕は頷くと、百花の胸に顔を埋めた。
百花は僕の頭を撫でると、首筋を舐めた。
「マーキング」
「今夜は二人を相手にしなきゃなんだね……」
「初めてでしょ?」
「当たり前じゃん」
僕も仕返しに百花の首筋を舐めると、百花は体をビクビクさせていた。
「首、弱いんだよ」
「知ってる」
「だったらやめてよね」
僕は百花のその一言を無視して首を舐め続けると、百花は少し色っぽい喘ぎ声を上げた。
「も、もう……みんなに聞こえちゃうじゃない」
「ごめん。調子乗った」
僕は百花に謝罪をすると、キスをしてから目を閉じた。台所から漂う夕飯の匂いで、僕のお腹が鳴った。
百花は「お腹空いたね」と言うと、僕は「そうだね」と呟いた。
いいなと思ったら応援しよう!
