良き判断のために
(タイトル写真:http://answe119.com/post-73/)
この騒ぎの前もそうだったけれど、私が専門家でもなく、正規雇用でもないから、話を聴いてもらえないと思っていた。医者は無理でも専門家になろうとも思ったが、挫折した。記憶力の問題はもちろんあるけれど、それ以上に、下手に知ってしまうと、やる気が起きないのだ。そのやりたくない勉強のために納める学費も惜しいし、人生の貴重な時間も捧げたくない。若ければ、そんなことを思いもしないだろうから、やっぱり、資格は若い時じゃないと取れないと思う。
結局、私は何のタイトルも持たないただのおばさんだ。
なんだかんだと言っても、人々は、権力側の言うこと、医師でも特にその上に肩書きがある人、テレビに出てる人の言うことを聞く。身近なところでは、専門家がいなければ、正規雇用の人、特に肩書きが上の人の話は聞く。私はどう頑張ったって、聞く価値なしと門前払いになる。シャッターを下ろしておいて、私の話し方が悪いとか、説明が下手とか、性格が悪いとか。どうでもいい人ならば、言わないよ・・・と思いながら私は黙って聞くしかない。
成人した子どもたちもそう。
危険性が分かっているのに止められなかった。敗北以外の何ものでもない。
それはさておき、私は、アラサーの息子が、良い判断をすることを、日々祈っている。
昨日の記事の最後、なんかまとまらなくて、かといって他の文も思いつかなくて、冴えないなと思いながら書いた1文。
そうだ、「良い判断」だ!
打ってしまったことはもうしょうがない。枠を打つな!打ったけれど、どうしよう!というステージはもう終わったのだ。彼を生かすには、この先に出会う選択について「良い判断」をしてほしいというのが、私の願いなんだ!
面白いね、自分が書いた駄文に気づかされるなんて。
同僚が若いのにガンになったから、人間ドックを受けてみようかとか。別の子は、片岡ジョージさんのこのマンガと同じ。
ジョージさんのマンガはツイッターをやっていたときに、できたてほやほやで拝見していた。この作品もそうで、ひゃっは!こんな人いるの?と思っていたら、我が子がね・・・。「理系の院卒でねー」なのか、「理系の院卒だから」なのか。この子は、オカンはインボー論にはまっていると信じているようで、口もきかなくなった。
文系、主婦のオカンが言うのもなんだけれど、判断の仕方、おかしくない?
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本は、本棚に収まる量と決めている。もし、私が独り身ならば、本棚を買うと思うけれど。5人家族だったし。本を買うときはよく考えてから買い、新しい本のスペースのために、不要な多くの本を処分した。残した本はかなり少ない。『賢く決めるリスク思考』というこの本もそうした1冊。
旧ブログをやっていたときのブログ友達に、子宮頸がん枠の統計のウソについてブログを書いていた人がいた。京大の理系出身だそうだ。その人にこの本を教えてもらった。「面白そうなところから読めばいい」というアドバイスもいただいた。
今朝、何気なく手に取って、パラパラめくっていた。「ああ、これだわ」と思った。彼らに欠けているものが分かった。
彼らに限らず、多くの人が読む本だと思う。
少し、紹介してみる。例えば、「第2章 確実性は幻想にすぎない」から。
不確実性を直視せよ
それでも私たちの多くは、銀行員や医師や政治家に確実性を求める。それに対して与えられるのは、確実性の「幻想」、すなわち実際には確実でない事柄を確実だと信じる思い込みである。(p33)
心のよりどころをください
人間には「確実性欲求」なるものがあるらしい。つまり、何かに疑問を抱くよりもそれにすがりたいという動機があるのだ。確実性を強く求める人は、ほかの人より物事をステレオタイプ化する傾向があり、またそのステレオタイプに反する情報を記憶にとどめない傾向もある。(p35、36)
確実性の追求は、リスク賢者になろうとする場合の最大の障害である。私たちには知ることのできる事柄がある一方で、知ることができないときにはそのことを認める度量も必要だ。(p37)
「確実性を強く求める人は、ほかの人より物事をステレオタイプ化する傾向があり、またそのステレオタイプに反する情報を記憶にとどめない傾向もある。」
そりゃ、私の話なんて聴かないわ。というか、そうじゃない人には言う必要ないから、言いたくなる人って、ステレオタイプなんだ。私にはどうしようもないのに、がんばってきたわけかぁ~。
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そういや、ブログで書いたクイズの答え合わせをしていなかった。
まず、問題。
症状のない50歳の女性がマンモグラフィーによる定期検診を受けて、陽性と判定された。検査で陽性と判定された女性のうち、実際に乳がんにかかっている人はどのくらいいるのでしょうか?
①10人につき9人
②10人につき8人
③10人につき1人
④100人につき1人
〈情報〉
・女性が乳がんにかかっている確立(有病率)は1% (A)
・女性が乳がんにかかっている場合、検査で陽性と判定される確立(感度)は90% (B)
・女性が乳がんにかかっていないにもかかわらず陽性と判定される確立(偽陽性率)は9% (C)
(前掲 第9章 医師の多くは検査結果をわかっていない p238~抜粋)
答えは③。10人につき1人。
考え方は、
(1) 1000人につき10人が乳がんにかかっていることが予想される。
990人が乳がんにかかっていない。(Aより)
(2) 乳がんにかかっている10人のうち、9人が検査で陽性と判定される。(Bより)
(3) 乳がんにかかっていない990人のうち、89人が検査で陽性とされる。(Cより)
(2)の9人と(3)の89人を足した98人がおそらく陽性と判定される。そのうち、実際にがんにかかっているのは9人だけである。9/98、つまり10人につき1人が一番近い。
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著者によれば、医師の80%ほどが陽性判定の意味を正しく理解していない(p245)とのこと。
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私が子どもを医療被害に遭わせてしまったことは、私が悪いと思っている。知らなかった私が悪い。詐欺に遭って詐欺師を責めたところで、何も得られない、時間のムダだと思っている。
医療や医師を無条件に信じるほうが問題。それを他人様に伝えるのは、まず無理。目に見える被害が起こるまでは大げさだと言い、被害に遭ってしまった人、いやその周囲にいる人からは、被害者の気持ちを考えろ!と言われる。
「信じる」べきものは神様や仏様、真理だ。人を「信じる」前に、不確実性やリスクについて考えなければいけない。その上で「よき判断」をする。
子どもたちに、この本を送ってみよう。読むか読まないか分からないけれど。誰に似たのか、お人好しだからね。騙されやすい。今の騒ぎに限らず、これからも必要なことだと思うし。家を出る前に、教えられたら良かったのだけどね。
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