罪滅ぼし
閻麗夢 (Li-Meng Yan)は中国のウイルス学者。命を狙われても沈黙しないCOVID-19の内部告発者だ。その経歴については、こちらに詳しい。
彼女は、香港の民主化デモを目の当たりにしたことが、発言するきっかけになったという。
今、この国は、あのときの香港に比べれば穏やかだし、私は、70歳、80歳の高齢者ではない。でも、私もこの茶番に繋がる邪悪な流れを邪悪だと思わずに、いいものだと信じ、推進してきた。次の世代に本当に申し訳ないと思っている。
邪悪だと気づいていなかったころの私しか見ていなかった我が子たちが、”この邪悪な流れ”に飲み込まれてしまった。
でも、私はデモという戦い方はしない。
閻氏のような最前線の専門家だったわけでもない私はどうやって戦うか?
不服従は決めている。
消えかかってはいたが、周囲にも気づいてほしいと思う気持ちは捨てていない。そうするにはどうするのか、というのがここのところの私のテーマだ。
最近は、現代語であっても、読んでも頭に留まらないことが多い。
頭の中が土だとすれば、土壌菌の活動が活発らしく、分解してしまうようだ。読んだときの印象が強烈であっても、しばらくすると土と同化してしまう。また、どこに書いてあったか、はては出典が分からなくなってしまうこともある。こうやって書くときに困る。
それで、「遅読」ということをしている。具体的には、面白いと思ったことを手書きでノートに写している。
今、『日暮硯』という江戸中期の信州松代藩の財政改革を成功させた恩田木工(おんだもく)の話を読んでいる。江戸時代の文章だし、庶民も読んだ本だから、特に訳していかなくても読めないことはないのだけれど、上っ面を流れて、頭に残らないので、高校の古文のようにノートに訳した。
江戸中期、財政難に見舞われた藩は多い。藩政改革は、特に有力者の痛みが伴うから、改革の音頭を取って失敗した人たちの末路は哀れだ。松代藩も木工以前に二回失敗しているから、文字通り、命がけのお役目だ。
私は組織のリーダーではないけれど、周囲の人の意識を変えたいと思っている。この本はそういう意味で、とても勉強になった。
改革をする上で、木工が行ったことは、
「信頼」されることが最も大事。人々の信頼を得るには、命を捨てる覚悟がなければいけないということだ。
自分の状況と重ねてみて面白いと思ったことを、三つ挙げてみる。
農民たちはとても喜び、感謝し、じゃあ、来年の分も年貢を先納しましょうとまで言う。木工は、「いや、今年の分だけでよい、その気持ちは殿様にお伝えする」と。
そういう意味では、私も有利だと思う。フェミニストが大活躍して荒らしまくってくれたから、ちょっと夫を立ててみたり、姑と同居すると言ったら手を合わせて感謝される。全然大変でもなく、一昔前なら当たり前のことだったのに。
このあたりは、日本的かもしれない。海外であれ、今時の日本であれ、「ばっかじゃないの?」って黙殺されるかもしれない。でも、私は西欧的な戦い方より、黙殺されても日本的なほうを選びたい。
木工も家族、家来も、ふだんはご飯とお汁だけ、おかずを食べなかった。でも、お客があるときは、家来もいっしょに食べられる。木工は家来にも客と同じように三菜でも五菜でも食べさせるようにと命じている。でも、自分は相変わらずご飯とお汁だけ。それが原因なのか不明だが、木工は46歳の若さで亡くなっている。
私の場合は、1日1食を貫くことかな。いろいろと鬼のように勧められるだろうけれど。
この茶番が茶番で終わらない理由はいくつかあると思うけれど、一つには、
「”自分”に焦点が当たりすぎているが、自分の欲と向き合わない」ことで簡単に手繰られる
と周囲を見ていて思う。特に病気の人。
慢性疾患は食べ物が原因だし、それは生き方にも繋がっている。他人さまの意識を変えたいと思う私が、”誘惑”や”情”に負けるわけにはいかない。
何を祈ったのだろう。もちろん、藩主と藩のために、改革を成功させることだろう。少なくとも、自分の所有している財産、地位などではないだろう。自分がよりよい”働き”ができることを祈ったと思う。他人にやってもらうことじゃないから。
私も毎日ヨガをしながら祈ろう。よい”働き”ができるよう、私に力をお与えくださいって。
藩の改革を推し進めた木工は、改革半ばで亡くなった。しかし、その志は後継者望月次郎左衛門が受け継いだ。『日暮硯』が全国に流布したことにより、他藩の参考にもなり、多くの人々の意識を変えた。(参考:『新訳 日暮硯』「おわりに」より)
死んでもなお、地域も時代も超えて人々の意識を変えた。
私には、そこまでの影響力はないけれど、一人でも多くの人にこの”邪悪な流れ”に気づいてほしいと思う。
罪滅ぼしだね・・・。香港の高齢者と同じ。
(タイトル画像:香港デモ、高齢者が警察本部前で座り込み 若者への暴力を批判 (2019年10月17日) - エキサイトニュース (excite.co.jp) より)
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