オラファー・エリアソン〈ときに川は橋となる〉
オラファー・エリアソン〈ときに川は橋となる〉
@東京都現代美術館
2020/06/11鑑賞
久々の外出。
観劇と美術展鑑賞、旅行を気休めに生きてたのにたまったもんじゃない。たまったもんじゃないけど、仕方のないことは飲み込んでいくしかないんですよね。とはいえ4ヶ月つづけてきたうまく行かない就活に悶々と息できなくなってきたので、世の中も多少落ち着いたところで気休めです。
パケ買い状態で知識一切ないので
わたしの、「こういうことなのかな〜」の記録です。
彼の作品の焦点は、
「見えていないものの見える化」にあるんじゃないだろうか。
入ってすぐのところに飾られた、〈クリティカルゾーンの記憶(ドイツ-ポーランド-ロシア-中国-日本)no.1-12〉(2020)
環境へ最大限配慮し鉄道と船舶を利用して本展示の作品を輸送した、その過程の揺れを円形のキャンバスに線に残したその作品。所々ダマになって黒く塗りつぶされたようになったところもあれば、白地が綺麗に残ったところもあり、どんな旅路だったろうかと思い巡らせることのできる作品。
こういった小さなアイデアが作品一つ一つに巧みに組み込まれていることで、普段の美術展では“そこに作品があること”を受け止めるのみだが、この美術展では“作品の奥にある時間”や“今ここに流れている時間”といった奥行きを強く感じさせた。
他にも
壁に鑑賞者の幾重にも重なったシルエットを写し出す
〈あなたのオレンジ色の残像が現れる〉(2000)
反射する光に水面の揺らめきをうつす
〈ときに川は橋となる〉(2029)
ミストに何色ものライトをあて空中に虹を出現させる
〈ビューティー〉(1993)
体験者がライトを持って踊りその光の軌跡を描く
〈サンライト・グラフィティ〉(2012)
普段は目に見えない光を、テクノロジーや水を利用することで目に見えるものに変え「〈いま-ここ〉にそれが確かに存在するのだ」ということをありありと感じさせる作品群。
こういった彼の作品が持つ
〈いま-ここ〉性、
鑑賞者が居て初めて完成する形式、
演劇的だと感じた。チケットパケ買いしては出会いを求めて見に行く感覚、作品が何を言わんとして存在しているのかに思いを馳せずには居られなくなる空間のエネルギー、こういうのも似てるかもしれない。
こうやって体験に刻み込んでくれる作品がたくさんあるから、
現代美術がやっぱり好きだ。
行けてよかった。
また気兼ねなく足を運べる日々になりますように。