見出し画像

最悪の日が最幸の日になった理由

2019年の春、コロナ前に母は老人ホームに入所しました。
2020年1月からコロナが蔓延し私の家族だけでなく、多くのご家族がご両親に会えなくてもどかしい思いをされたと思います。
約一年、パーテンション越しの面会をしていました。
難聴の母とのコミュニケーションには苦労しました。
補聴器は嫌がっていたから購入もしておらず・・・
そんな母は体調が悪い悪いと言われながら、家に帰る日を夢見て毎日頑張っています。

でも、私は何となくそろそろ別れが近いのかなと思っていたのです。


1,看取りに対する葛藤

私には認知症の母がいて、今は老人ホームに入所しています。
高齢、腎不全、慢性心不全がある事などから急変は覚悟していました。
延命はしない方向で施設側とも話をしていく方向でした。

コロナ渦の介護施設、病院は面会禁止の所が殆どです。
皆無に等しい状況です。
看取りをすると言っても、面会できないのなら母に寂しい思いをさせて
しまうと葛藤していたのでした。

その葛藤は、私が幼い頃に体験した祖母の在宅看取りにあると感じています。
その頃は介護保険自体がないので訪問診療、訪問看護はありません。
かかりつけ医が時々往診に来て祖母の様子を見て下さっていました。
点滴していた記憶もないし、食べれなくなったら自然に任せるような
医療サポートでした。
祖母の最期はとても穏やかで安らぎという言葉が当てはまるような光景でした。祖母のまわりに家族が集まって、身体を清め祈りを捧げます。
その光景が目に焼き付いていて、幸せな時間だと感じていたのでした。
この経験が無意識のうちに私の強い信念になっていたのだと思います。

その信念から、自宅介護が難しい状況ではあるものの、施設看取りの対応なら家族の行き来は可能です。だからその時が来たら母の側に居ようと決めていたのです。


2,私の強い信念

私の強い信念は「母は家族に見守られながら最期を迎えるべきだ」でした。
この信念がある限り、思うような結果にならないと辛い感情だけが残ります。
先日、この信念体系を統合するワークを行ったばかりなので、早速やってみました。
今までの信念の真逆を考え、二つを統合させ新しい信念を持つというワークです。
ワーク後の新しい信念は
「母は自分のリソースとご縁の力で最期のステージを迎えるべきだ」となりました。最初の信念を手放すことに不安もあったのですが
結果的に次に起こる出来事に効果を発揮したのでした。


3,私達家族にとって最幸の時間

看取りの信念を書き換えた後、姉から連絡がありました。
消化管からも出血しているようだと報告を受け
施設から積極的な治療はしないにしても、診断をつけて欲しいと連絡が
入り、今日受診同行してきました。

2件の病院に認知症があること、ベットがない事を理由に断られ、やっと急性期の総合病院に辿り着きました。
予測していたのは胃潰瘍、悪性腫瘍だったのですが、薬の副作用が原因で易出血傾向で貧血が進んでいた事が分かりました。
ご飯が食べたい、お腹がすいたとお茶を要求する母
短期間の入院の提案をして下さり、回復を待ちもう一度食事を楽しんで貰おうと入院を決めました。

受診同行中、ずっと母の側にいました。兄と姉と一緒に行ったのですが
それぞれ母を思う気持ちがあります。
立ってないで座りなさいと言う母に、側に居たいからと答える兄弟。
この気持ちは3人とも一緒でした。

薬の副作用に対して施設医を責める気持ちはありません。
ただ、兄弟そろって思った事は
「結果的に母の側に半日いれて良かったね。」
その言葉が自然と出てきました。

以前の信念だと自分の事も周りも攻めていたと思います。
母のリソースが様々なご縁と奇跡を起こし丸く収まったと解釈しています。

不謹慎な娘かもしれませんが
母に約1年9ヶ月ぶりにガラス越しではなく直接会えたこと
兄弟それぞれが母との時間を持てたことが何より幸せだと感じています。


4,思い込みを手放す

私達は生まれてきて様々な情報や体験をしてきています。それが、自分にとって幸せになる信念なら良いのですが、多くは社会の常識、周囲の価値観が影響していることがあります。
私は長年看護師をしてきて、看取りに対する思いがありました。
病院の看取りが悪い、駄目だという事ではないのですが、様々な制約のない自宅での看取りが本人にとってもご家族にとっても安心できる環境だと思っていました。

今回の信念の書き換えを行った事で、母の人生を受け入れてご縁を信じて古い価値観を手放せたことが奇跡を起こしたと思っています。


介護や看取りについて葛藤されている方の参考になれば嬉しいです。
最後までお読み頂いてありがとうございました。

                   


いいなと思ったら応援しよう!

後悔しない親の介護✿ 郷堀有里夏
親の介護に不安を抱えている方のサポートに使わせて頂きます。宜しければ応援お願いいたします。