20240324 羽ばたく両翼【福山シティFC】
中国サッカーリーグ第1節 開幕戦
vs バンメル鳥取
@エヴォルヴィンフットボールフィールド
【はじめに】
前週に続いて雨模様の備後福山。
あいにくの天気にも関わらず、エヴォルヴィンフットボールフィールドには、中国サッカーリーグ(CSL)の開幕を待ちわびた多くのサポーターたちが集まった。
初戦の相手はバンメル鳥取。
鳥取県1部リーグを9勝1敗という成績で勝ち抜け、中国リーグ初参入を果たした山陰の新勢力。
注目は背番号10の伊藤圭斗だろう。2020年、福山に在籍していた経験をもつ攻撃のキーマンだ。
CSL連覇に向けた戦いが始まる。
【マッチレビュー】
鳥取は後ろで4-4のブロックを組み、前線は2トップを縦関係にした4-4-1-1。9番のFW野儀はフィジカルが強く、福山のCB陣との肉弾戦に挑んだ。
4バックに中央を締められ、福山もなかなかこじ開けられなかったが、その外側にスペースが生まれることを利用して崩しにかかった。
左右の両ウイングバックにボランチやセンターバックから速く正確なロングパスを供給することで、サイドに起点を作り、そこからのクロスに活路を見出した。
福山がボールを握る展開のなか、チャンスが訪れたのはアウェーチーム。
前半23分、鳥取・伊藤のシュートがループ気味にゴールに向かう。GK菊地がかろうじてフィスティングで弾いてCKに逃れる。
その直後、CKの混戦から24番綾木に至近距離からシュートを打たれるが、これも菊地がセーブ。
終始ゲームを支配しながらも迎えたピンチに不穏な空気が漂い始めるかと思われたが、試合を通じて、バンメルの決定的なチャンスはこれが最後だった。
中盤の藤井と角田を中心に、福山シティFCが再びペースを握り返す。
すると35分、徳永が右から速いクロスを入れると、高橋佳が右足でシュートを放つ。シュートはポストに当たってしまうが、それを若宮が押し込んで待望の先制点。
さらに前半終了間際には、澤田からパスを受けた徳永がトラップから中央に切れ込むとそのまま左足でシュート。ボールはゴール左に突き刺さる見事なゴラッソ。
そのまま2-0で前半は終了。1点目をとるのに時間はかかったものの、落ち着いた試合運びで順調にリードして折り返した。
後半も野浜や高橋佳に決定機が訪れるものの、相手GKのセーブによって、追加点は奪えず。
ここから森監督は選手を入れ替えてバンメルを仕留めにいく。
まずは最初に送り込まれた横尾と高木が魅せる。
投入されて5分後、横尾が中盤からドリブルで抜け出し、高橋佳にスルーパスを送るがGKと接触してファールを取られる。
69分には、高木がクロスを高橋佳の頭に合わせるもシュートはゴール上に外れた。
攻撃の手を緩めないミステルは、大久保・田路・高橋大を投入。
采配が実ったのは85分。
高橋大が上げたクロスは横尾に合わなかったものの、こぼれ球を大久保が右足を振り抜いてゴールに突き刺した。
その3分後には、高橋大の絶妙な右足クロスがDFの頭を越えて、これを高橋佳が押し込んでダメ押しの4点目。
昨シーズンのチャンピオンが、CSLの初戦を4-0と順調なスタートを切った。
今シーズンの福山シティFCはここまで3バックのシステムを採用している。
ボールを保持しているときには、3-2-4-1あるいは3-2-5となり両ウイングバックが前線まで飛び出していく。この両翼の働きがチームの攻撃力の鍵を握っている。
この日スタメンの若宮と徳永はともに得点を記録し、好調を維持している。
さらに途中出場の高木と高橋大も個人の特長を生かした働きで、誰が出ても相手の脅威となっている。
すでにこのポジションで出場経験のある桝田や二宮などもおり、左右の翼がこれからどんな姿を見せてくれるか楽しみだ。
【採点・寸評】
GK 1 / 菊地 大輝 10.0
前半の2本の好セーブがなければ、試合はもっと違う展開になっていたはずだ。まさにチームを救うプレーだった。
DF 27 / 西尾 響 (82分OUT) 10.0
攻め上がりを自重して、相手のカウンターに備えた。若いながらも随所に落ち着いたプレーを披露。黒宮とともに相手FWを抑え込んだ。
DF 16 / 黒宮 渉 10.0
味方のミスもすべて帳消しにしてしまう守備の上手さと強さ。正確なロングフィードには相手ベンチからも感嘆の声がもれるほど。
MF 30 / 澤田 健太 10.0
左CBというスタートポジションながら、3人目のボランチとして中盤でパスをさばき、徳永のゴールをアシスト。
DF 3 / 徳永 椋太 (62分OUT) 10.0
右サイドで攻撃の起点となり、高精度のクロスを供給した。守備時に最終ラインに入る役割をこなしつつ公式戦3戦連続ゴールはお見事。
MF 17 / 角田 薫平 10.0
左右両足から正確なパスを繰り出し、ゲームを組み立てた。思い切りのいいミドルなどゴールを狙う姿勢も見せた。
MF 7 / 藤井 敦仁 10.0
ディフェンスラインの前でパスをさばき、機を見て狭いスペースをスルスルとドリブルで持ち上がった。名実ともにチームの中心。
MF 28 / 若宮 健人 (82分OUT) 10.0 MIP
重苦しい雰囲気を一掃する殊勲の先制点。大外のレーンで幅をとりつつ、チャンスと見るやゴールを狙う動きで中央に潜り込んだ。
MF 8 / 塚田 裕介 (62分OUT) 10.0
徳永や高橋佳と連携して攻撃を牽引。後半の直接FKは惜しくもクロスバーに当たってしまったが、あと数センチ低ければ入っていた。
FW 9 / 高橋 佳 10.0
バンメルにとって最警戒対象だったが、体の強さを生かしたポストプレーでチャンスを生み出し、自らも当然のようにゴール。
MF 26 / 野浜 友哉 (73分OUT) 10.0
左サイドを中心に神出鬼没の動きであらゆる場面に顔を出す。後ろからパスを引き出し、ボールを受ければドリブルやシュートで存在感。
交代出場
MF 22 / 横尾 蒼人 (62分IN) 10.0
キレのあるドリブルで相手を翻弄した。高橋佳との連携も抜群。守備面でも鋭い出足とフィジカルの強さで相手ボールを奪取。
MF 47 / 髙木 大輝 (62分IN) 10.0
福山のラストピースが右ウイングバックで初出場。スピードに乗ったドリブル突破と正確な左足からのクロスでチャンスを作り出した。
FW 29 / 大久保 龍一 (73分IN) 10.0
ダイナミックな動き出しでディフェンスラインの裏へボールを呼び込み、攻撃を加速させた。2試合連続ゴールで本格的に覚醒か。
MF 4 / 田路 耀介 (82分IN) 10.0
試合終盤に投入され、果敢なボール奪取などで無失点での勝利に大きく貢献。公式戦3試合連続出場は監督の信頼の証。
MF 11 / 高橋 大樹 (82分IN) 10.0 MOM
左サイドのポジションから鋭いドリブルとクロスで相手を圧倒。出場10分足らずで2ゴールに関与しMOMに選ばれた。
監督
森 亮太 10.0
アウェーチームの堅い守備を攻略してCSL白星発進。常に主導権を握り続け、見ていて楽しいサッカーを実現しつつある。
【おわりに】
この日選手たちは名執の姿がプリントされたTシャツを着て入場。
昨年3月に左膝を負傷して300日以上のリハビリからようやく復帰し、待ちわびた開幕直前に2度目の前十字靭帯断裂。
そして3月27日に手術を控える名執。
彼はきっと戻ってくるし、サポーターはみんなその日を待っている。
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