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S・スマイルズ『自助論』を読んで


明治時代のベストセラー

この本は、スコットランドの医師サミュエル・スマイルズ(1812-1904) による ”Self-Help, with Illustrations of Character and Conduct” を、明治4年に中村正直によって『西国立志論(さいごくりっしへん)』と題して著した日本語訳を、竹内均氏が現代語に抄訳したものです。

『西国立志論』は明治時代に『学問のすすめ』と並ぶベストセラーで、明治時代だけで100万部以上売れたと言われています。

『自助論』の冒頭の一文は大変有名です。

天は自ら助くる者を助く(てんはみずからたすくるものをたすく)
God helps those who help themselves. 

サミュエル・スマイルズ  
中村正直 訳

これは西洋のことわざを中村正直が初訳したもので、
「天は、他人に頼らず自分自身で努力する者を助ける」という意味です。

『自助論』要約

自助の精神 ー人生は”自分の手”でしか開けない!ー

科学や文学、芸術にしろ偉人と称えられる人物はどこか特定の身分や階層に属しているわけではありません。お金持ちの家庭に生まれた人もいれば、貧しい家庭に生まれ幼いころから働いていた者もいます。

数学者のラグランジュは、父が投機に手を染めて貧しい幼少期をおくり、
「もし私が裕福だったら、おそらく数学者などにはならなかったはずだ」
と述懐しています。

"人間の優劣は、その人がどれだけ精一杯努力をしてきたかで決まる。怠け者は、どんな分野でも優れた業績を上げることなど到底できない。骨身を惜しまず学び働く以外に、自分を磨き、知性を向上させ、ビジネスに成功する道はない。”

”どんな分野でも、目標をめざして精一杯努力しなければ優れた業績は上がらない。この点を、我々は固く肝に銘じておくべきである。”

”安楽で贅沢三昧の生活は、苦難を乗り越える力を与えてはくれない。むしろ、このようなハリのない生活に浸っていれば、活力に満ちた実り多い人生を送ろうという意欲さえ失ってしまうだろう。”

忍耐 ー努力が苦でなくなる法ー

フランスの博物学者ビュフォンは「天才とは忍耐なり」と言い切りました。

”ビュフォンは自然科学分野で偉大な業績を収めたが、若いころはむしろ月並みな能力しかない凡人とみなされていた。彼は、物事を理解したり一度得た知識を思い出したりするのに時間がかかった。しかも無精(ぶしょう)な性格だった。裕福な家庭に生まれたこともあって、そのままでは贅沢三昧の自堕落な生活にのめりこんでしまうのではないかとも思われた。だがビュフォンは、快楽の誘惑からきっぱりと身を引こうといち早く決意し、学問と自己修養に励んだのである。”

もちろん、生まれつき非凡な能力をもつ偉人はいるものの、天才と称賛される人物ほど、粘り強い努力家です。勤勉と努力が素晴らしい成果を生み出すことは間違いありません。

目の前には手も触れられていない真理の大海原が横たわっているが、私はその浜辺で貝殻を拾い集めているに過ぎない

アイザック・ニュートン(1642-1727)

好機は二度ない ー人生の転機を生かす力ー

”我々を助けるのは偶然の力ではなく、確固とした目標に向かって粘り強く勤勉に歩んでいこうとする姿勢なのだ。意志薄弱で怠惰な人間、目的もなくぶらぶらしている人間には、どんな幸運も意味を持たない。彼らは、目の前をまたとないチャンスが通り過ぎても、その意味も分からずぼんやりと見逃すだけだ。”

”わずかな時間も無駄にせず、コツコツと努力を続ければ、積もり積もって大きな成果に結びつく。毎日1時間でいいから、無為に過ごしている時間を何か有益な目的のために向けてみるがいい。そうすれば、平凡な能力しかない人間でも必ず学問の一つくらいはマスターできるようになる。”

”時間は、学ぶべき価値のある知識を吸収し、優れた信念を養い、良い習慣をしっかり身につけるために使われるべきである。実りのない生活を続けて時間を浪費するなど断じて許されない。”

時間とは消滅するものなり。かくしてその罪はわれらにあり。

オール・ソウルズ・カレッジ(オックスフォード大学)の日時計

意志と活力 ー自分の使命に燃えて生きる!ー

”どんな分野であれ、成功に必要なのは秀でた才能ではなく決意だ。あくまで精一杯努力しようとする意志の力だ。この意味で、活力とは人間の性格の中心をなす力であり、つまるところ人間それ自身であるといえよう。”

"かつて、フランスの宗教家ラムネは、放埓(ほうらつ)な生活を送っている一人の若者にこう語った。
「君は今、自分の生き方を自分で決める時期に差し掛かっている。この機を逃すと、君は自分で掘った墓に放り込まれて、上にのせられた石を押しのけることもできず、終生苦しみに呻(うめ)き続ける羽目になるかもしれない。意志を持って生きるというのは、我々には一番身に付けやすい習慣だ。だから、強く確固たる意志を持つよう努力しなさい。根なし草のような生活はこれくらいにして、地に足をつけて歩きなさい。枯葉のように風任せにここかしことさまよう生活は、きっぱりと捨て去るのです。」"

意志のあるところ、道は開ける
Where there's a will, there's a way.

リンカーン(アメリカ合衆国第16代大統領、1809-1865)

フランシスコ・ザビエルは、不屈の勇気と忍耐を備え、どんな苦労や災難にもめげずキリスト教布教に専念し、疫病の流行する地方を歩き回りました。

高貴な家に生まれた彼は、身分や地位よりも大切なもの、金儲けより素晴らしいものがあることを証明しました。

”ゴア(インド)に到着したザビエルは、移住者や現地人の間に堕落と腐敗がはびこっているのを見て大いにショックを受けた。移住者は文明の光の届かないこの地に数々の悪徳をもたらし、現地人も我先にと悪い見本を真似しようとする体たらくだった。”

”そこで彼は、鈴を鳴らしながら街の通りを歩き、子供たちを自分のところへ勉強によこすよう訴えて回った。まもなく集まってきた大勢の生徒に、彼は毎日根気よく神の教えを説いた。同時に、病人やハンセン病患者、様々な苦しみを持った人のところを訪れてはその悲しみを和らげ、彼らを「真理」へ導こうと努力した。”

熟した実は多くとも、それをもぎ取る人間が少なすぎる
(教えを受ける者は多いが、教えを施す者はあまりにも少ない)

フランシスコ・ザビエル(1506-1552)

ザビエルは日本へも船を向けました。

”そこで彼を待ち受けていたものは、別の言葉を話す全く新しい種族だった。彼にできることは、せいぜい病人を看護し、床を整え、涙ながらに祈り、時には法衣の袖を水に浸して絞り、したたり落ちる水滴で死にゆく者に洗礼を施してやることぐらいだった。しかしながら、この勇敢なる真理の兵士は希望の灯を高く掲げ、何ものをも恐れず、信念と活力を持ってひたすら前進した。”

飢えや渇き、困窮、様々な危険と闘いながら、ザビエルは伝道を続けました。11年間にわたる布教活動の末、中国へ渡ろうとした彼はついに熱病に侵され、その光栄ある魂を神に召されていきます。

時間の知恵 ー「実務能力」のない人に成功はない

”ビジネスの成功へ至る道は、同時に常識を身に付ける道でもある。ここでも知識の獲得や科学研究と同じように、粘り強い努力や勤勉が欠かせない。

ギリシャの古い格言に
「いかなる職業でも、有能な人間になるには次の三つが欠かせない。それは天性と勉強、そして実践だ」というのがある。”

”頭を働かせて力いっぱい努力すれば、必ずそれにふさわしい成果が上がる。勤勉は人間を前進させ、個性を引き出し、他人の行動をも刺激する。万人が同じように立身出世できるわけではないが、全体として人はそれぞれの努力に応じて向上を遂げるものなのだ。”

誰もが広場で暮らせるとは限らないが、太陽の光はあらゆる人々の上に平等に降り注ぐ

イタリアのトスカナ地方のことわざ

ビジネスを成功させる6つの原則

”どんなビジネスでも、それを効率よく運営するのに欠かせない6つの原則として、注意力、勤勉、正確さ、手際のよさ、時間厳守、迅速さがある。”


”時間を正しく活用すれば、自己を啓発し、人格を向上させ、個性を伸ばしていける。もしも毎日がつまらぬことに向けられ無為に浪費されているなら、そのうちの一時間でも自己啓発のために充てるべきだ。そうすれば、どんなに無知な人間も数年で賢い人間に変わる。”

時間厳守は国王としての礼儀だ

ルイ14世 (1638-1715)

”他人との約束を守り、待ち合わせの時刻に遅れない人間は、自分の時間だけでなく相手の時間をも尊重しているのである。”

”ワシントン大統領は、秘書の一人が遅刻の理由を時計がくるっていたせいにした時、こう答えたという。
「それなら、ただちに新しい時計に代えるべきだ。さもなければ、私のほうで秘書を新しい人間に代えなくてはいけなくなるからね」”

”6つの条件に加えて、第一級のビジネスマンを目指すにはさらに、
鋭い直観力、断固たる意志、如才なさの3つの資質が不可欠である。”

金の知恵 ー楽をするためには汗をかけ!ー

"「将来の利益のために現在の満足を犠牲にする」という克己の精神は、学ぼうとしてもそう簡単に身につくわけではない。"

稼いだお金を飲み食いに使い果たしてしまったり、十分な資産を持ちながらもいざとなると困窮者と同じような境遇に身を落としてしまう人間は大勢います。

”しかも彼らは、社会制度上の問題にばかり目を向け、克己心や自助の精神の重要性などはほとんど顧みない。真の自立を勝ち取るには、個々人が倹約と将来への備えに励むことが一番大切なのに、誰もその点に関心を払おうとはしないのだ。”

世界を動かそうと思ったら、まずは自分自身を動かせ

ソクラテス(古代ギリシアの哲学者)

”その日暮らしの生活に追われている人間は、いつになっても下積みの苦しさから抜け出せない。寄る辺ない(よるべない)無力な生活は果て無く続き、やがて社会の隅に追いやられ、時代の荒波に翻弄される。自尊心などなくしてしまうから、周囲の尊敬も得られない。不景気に見舞われるとたちまち窮地に陥る。”

古来、世の中には二通りの人種がいる。金を貯める人間と金を使う人間ーすなわち倹約家と浪費家だ。倹約家は家や工場や橋を建設し、さらに多くの偉大な仕事を成し遂げ、我々に文明や幸福をもたらした。一方、自分たちの資産をムダに浪費してきた人間は、常に倹約家の奴隷だった。いつの時代もそれが自然の道理であり神の定めなのだ。

リチャード・コブデン(イギリスの政治家、1804-1865)

”毎日の労働で日々の生計を立てている人間は、どんな国にもいる。彼らが節約をせず、無知と不幸に苛(さいな)まれ、そんな自分たちの境遇に不満ばかりを募らせているとしたら、それは、彼ら自身の弱さとわがままと強情のせいである。”

”最近では、いわゆる「上流階級」を渇望する人間がとみに多い。彼らは、誠実さをかなぐり捨て、うわべだけ取り繕い、金持ちでもないくせに金持ち面を装う。つまり中身がどうであれ、見てくれだけは体裁を整えたがるのだ。与えられた境遇の中で粘り強く前進する勇気を持たず、もの笑いの種になるとも知らずに社交界の栄華を追い求め、浮き草のような上流社会の一画を占めては虚栄心を満たそうとするのである。”

”このような愚か者どもは、社会という円形劇場の最前列の席に座ろうと押し合いへし合いを繰り広げる。この騒ぎの中で克己心は踏みにじられ、人間の美徳の多くがもみくちゃに押しつぶされて息絶える。見せかけの世俗的な成功で他人を眩惑(げんわく)しようという野心から、どれほど多くの浪費と破綻が生み出されていることか。”

黄金よりも知恵を求めよ。知恵はルビーにまさる。この世に望み得るすべてでさえ、知恵に比ぶべくもない

ソロモン(古代イスラエルの第3代国王)

”富は、行動を刺激するよりむしろ行動を妨げる。多くの場合、富は幸運を呼ぶと同時に不幸の種ともなる。大きな財産を相続した若者は、安易な生活に流されがちだ。望むものが何でも手に入るため、かえって生活に飽き飽きし始める。戦い取るような特別の目標もないから、手持無沙汰の毎日を持て余すようになる。彼のモラルや精神力は、いつまでも眠りから覚めることがない。それは、まるで波にもてあそばれるイソギンチャクそのものの生活だ。”


”最も良い意味での「上品さ」は、優れた資質である。品性の高い人間は尊敬に値し、振り返ってみるだけの魅力を持っている。

しかしながら、単に世間体だけを取り繕っているような上品さには、一顧の価値すらない。富める悪人より優秀で立派なのは貧しい善人だ。
(中略)
身分がどうであれ、沈着冷静な心と深い知識を身に付け、世の中の役に立とうと努める方が、月並みな上品さよりはるかに重要な意味を持っている。

人生の最高の目的は、人格を強く鍛え上げ、可能な限り心身を発展向上させていくことである。これこそ唯一の目標であり、それ以外のものはこのための手段に過ぎない。最高の快楽や富み、権力、地位、栄誉や名声を得たとしても、それは人生における最大の成功ではない。むしろ、最高の人間性を獲得し、他人の役に立つ仕事に打ち込み、人間としての義務を果たしていくことこそ、一番立派な生き方なのだ。”

自己修養 ー頭脳と心・体の効率の良い鍛え方ー

最良の教育とは、人が自分自身に与える教育である

ウォルター・スコット(スコットランドの詩人、小説家)

”他人から押し付けられた教育は、自分で熱心に努力して得たものほど身につかない。自らの汗と涙で勝ち取った知識だけが、完全に自分の所有物のなるのだ。”

また、健康な体を鍛える必要性についても言及されています。

”適度の労働は健康によく、人間の本性にもかなっている。勉強が精神を鍛えるように、労働は肉体を鍛える。有閑階級でさえ、ある程度は働かざるを得ない。倦怠感から解放されたいというのもその理由の一つだが、大部分の人間は、抗しがたい本能的欲求を満足させようとして働くのである。”

”若いころ工作や機械いじりに励むのは、人間の発達に有益な経験である。”

ニュートンやワット、スチーブンソン(蒸気機関車製造の第一人者で「鉄道の父」とも呼ばれる)は、幼少のうちから器用に工作道具を使いこなしていたと言われています。

”偉大な発明家はみな、幼いころから絶えず手を動かして工夫の才や知力を鍛えてきたのである。”

私は粘り強く努力した。諸君も同じように努力したまえ

ジョージ・スチーブンソン(1781-1848)

ジョージ・スチーブンソンの両親は読み書きができなかった。父は低賃金で働いており、子供に教育を受けさせることができず、ジョージは父の助手として技術を学んだ。後に、彼は蒸気機関車を使った公共鉄道の実用化に成功している。

”「よく遊びよく学べ」という格言がしばしば引用されるが、遊んでばかりいてちっとも学ばなければ、人間はますますダメになる。快楽に浸りきることほど若者に有害なものはない。若者らしい優れた資質は損なわれ、普通の楽しみが味気なく感じられ、高い精神的な楽しみを追求する気持ちが失われる。

快楽に浸る放蕩な人間は、生命の力をムダに使い果たし、真の幸福の源泉を干上がらせる。いくらわがもの顔にこの世の春を謳歌しても、結局それは人格や知性の健全な発展にはつながらない。青春時代をふしだらに過ごし、貴重な時間を浪費した人間の姿は、大人びた子供や純潔を失った乙女やうそつきの少年を見るよりも哀れを誘う。”

若いころの放蕩生活が、その後の生涯からかけがえのないものを奪ってしまった。私の生命力の大部分は、青春期に浪費されたのだ

オノーレ・ミラボー(フランス革命初期の指導者、政治家)

”偉大な天才は、多くの場合確かに早熟であった。しかしながら、幼少時代にいくら賢かったからといって、それが成長してからの人間の到達点を示すわけではない。”

”歩みののろいカメでも、正しい道さえ通れば、間違った道を行く競争相手に勝つことができる。だから、熱心に努力させしていれば、進歩が遅くとも気に病む必要はない。

若いころの利発さは、むしろ欠点にさえなりかねない。なんでも手際よく覚える子供は、それだけもの忘れも早いし、忍耐や努力という資質を磨き上げようともしない。ところが実際には、忍耐と努力こそが優れた人格形成に一番大切な要素である。そしてあまりできの良くない子供の方が、かえってこの美徳を否が応でも身に付けていく。”

私個人的には、この部分は『自助論』の中でも印象に残っています。どんな分野でも、若いうちから才能を示す者が、大人になっても成功し続けるとは限りません。実際、忍耐や努力を怠り、平凡な人生に埋もれてしまうことが多いです。逆に、幼いころは目立った才能はなくとも、大成した偉人も数多くいます。
アスリートや科学者、政治家、芸術家など、どの分野にしても偉大な成果を残している偉人たちは皆、たとえ非凡な才能に恵まれていたとしても、驕(おご)らずにコツコツと努力をし続けています。

素晴らしい出会い ー人生の師・人生の友・人生の書

”人は誰でも、多かれ少なかれ、耳より目を通して物事を学ぶ。”

特に幼少時代はこの傾向が強く、両親の教育や人格に大きく影響されます。両親の誠実さや道徳心は、何よりも子供の性格形成に影響を与えます。

”地位や身分がどれほど低くても、言葉だけでなく実際に行動を起こし、誠実かつ精力的に努力する人間の方が、大きな業績を成し遂げられるものなのだ。”

”人格教育の成否は、誰を模範にするかによって決まる。我々の人格は、周囲の人間の性格や態度、習慣、意見などによって無意識のうちに形作られる。良い規則も役には立つが、よい模範にははるかに及ばない。良い模範の中には、実際の行動を通した教えー生きた知恵が含まれているからだ。”

中でも若者は特に周りの影響を受けやすいと述べています。

”特に若いうちはよく注意して友人を選ばなくてはならない。若者には相互に引き付け合う力があり、付き合っているといつの間にか性格や人柄が似通っていく。”

朱に交われば赤くなる

よき友と交われ。さもなくば誰とも交わるな。

マライア・エッジワース (英国の作家、1768-1849)

つまらぬ友と付き合うくらいなら一人で生きよーこれを処世訓として肝に銘じておきなさい。自分より優れた人間か、せめて同程度の人間を友とすべきです。人間の価値は常に、友の価値によって決まるのですから。

カスバート・コリングウッド(英国の海軍将校、1748-1810)


”優れた人格者は、このようにいつも周囲の人間に働きかける。我々は彼の力によって無意識のうちに高められ、物の感じ方や見方も彼に似通ってくる。精神相互の作用と反作用は、かくも大きな力を発揮するのだ。”

上文の「このように」は、作家ジョン・スターリングを指しており、友人に多大な感化を与えてきたと伝えられているそうです。

また、過去の偉人の立派な人格の手本が豊富に盛り込まれている伝記を、われわれは学び、称賛し、見習うべきだと伝えています。

信頼される人 ー人格は一生通用する最高の宝だ!ー

”人格の力は富よりも強い。人格者があらゆる栄誉を手中に収めても、金持ちのように他人からその名声をねたまれたりはしない。また、すぐれた人格は絶大な影響力を持っている。なぜなら、そのような人格は何よりも人々に信頼され尊ばれる資質ーすなわち信義、誠実、そして節操という美徳から生まれるからだ。”

わが国では、いくら天才に援助を求めることがあっても、結局は人格者の指導に従おうのが当然の道とされている

ジョン・ラッセル(英国の政治家、1792-1878)

”よい習慣を培えば、人格も立派に磨き上げられる。古くから言われるように、人間は習慣の寄せ木細工であり、習慣は第二の天性なのだ。”

25歳までに人格を磨き上げなさい。そうすれば、あとは順調に進むだろう

カスバート・コリングウッド(英国の海軍将校、1748-1810)

”どんな小さな穴からでも日の光が差し込むように、ほんの些細な事柄からでも人それぞれの人柄がはっきりと見て取れる。実際、人格の優劣というのは、ちょっとした行いが立派にできたかどうかにかかわっている。”

最後に

老若男女問わず、『自助論』から学ぶことが多いのではないかと感じました。特に、惰性で怠惰な生活を送っている大学生や、地位・名声だけを目標としている社会人の方の目に留まって、新しい一つの考えを学べればと思っています。

もちろん、明治時代の『西国立志編』と並ぶベストセラー『学問のすすめ』は言わずもがな必読です。特に学生には、この2冊は読んでほしいです!


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