ブラック企業の面接、違和感があり過ぎて逆に疑心暗鬼になる説。
皆様おはようございます、amamiyaです。
昨日の記事も、ぼちぼちお読み頂けていてとても嬉しいです!
ありがとうございます!!
さて、皆様からの反応を糧に、本日も綴って参ります。
本日は面接編です。
今回のテーマは「もっと自分自身を、信じてもいいんだぜ」です。
お付き合いいただける方は、スクロールをお願いいたします。
前回までのあらすじ
(前記事読むのが面倒な人向け↓)
自分にちょうど良いと思った会社への応募、そして書類通過。
数々の違和感を、都合のよい善良な解釈と思い込みで華麗に総スルーして、いよいよ一次面接!
でも、面接時間指定されてたはずなのに、何故か待たされて大緊張。
そんな時やっと面接会場のドアが開き、待ち人が現れて――――!?
ブラック企業の面接編
1.やっと現れた管理部の長が、どう見ても若かった
「お待たせして申し訳ありません。アプリでメッセージのやり取りさせていただきました、沖島(おきじま)と申します」
申し訳なさそうな顔で現れた女性を見て、私はちょっと驚きました。
あれっ、この人私よりだいぶ年下だな?と直感で分かる若さだったのです。
「一応、ここの管理部の長をやらせてもらっています。本日は一次面接に起こし下さりありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」
人事担当とかじゃなくて、管理部長…
頂いた名刺にも役職付きであると示されており、私は改めて衝撃を受けました。
これまでと違う強烈な違和感が、そこにありました。
変だな…
創業50年を軽く超えた企業の、管理部の長という立場は、
ベテラン感漂うナイスミドルが任されるもの、では、ない、のか?
しかし私も、働いた企業はこれまでたった3社程度しかありません。
自分の経験がそうだったからと言って、全ての企業がそうとは限らない…
これは偏見かも?きっとごぼう抜き出世のすごい人なんだよ!
この時、コナンくんばりの名推理をしていたにも関わらず、
人を信ずる良心的な市民たる私は、残念ながらこの違和感に一旦蓋をする選択をしたのでした。
それが間違いでした。
2.管理部長、cloudやIT用語をよく知らなさそう??
とにかく面接に集中しようとしたわたくし、
次の瞬間にまた違和感に襲われます。
これまでの業務上の成果を話している中、現職で有名なクラウドサービスを全社に導入した旨を伝えている最中に、それは起きました。
なんと彼女、明らかに全然ピンと来ていない顔をしていたのです。
( ´・ω・)ンンン?どういうこと??
DX化の最先端、自社開発の基幹システムの導入を予定している会社の管理部長が、最大手のクラウドサービスをいかにも知らなさそうな顔をするなんて、ありえるのか?
そのほかにも、インボイス対策やツール、ChatGPTなどのAIの話で、ちょこちょこきょとんとした顔をする彼女……
明らかにITのニュースや情報に疎い人の顔である……………
いやしかし、彼女が基幹システムの導入担当であるとは限らない!
この人はきっと、IT系が苦手な人なんだろうな、きっと!!
自分を奮い立たせるように結論付けたその時でした。
突然会議室の扉が、ガチャリと開いたのです。
3.なんの予告もなしに、重役が面接へ乱入してきた件
驚いて固まる私を他所に、ツカツカ入ってくる男性。そのままスムーズに席に着いて、彼はにこやかに言いました。
「今日は面接にお越しいただきありがとうございます。MD(マネージングディレクター)の安田と申します」
まねーじんぐでぃれくたー、なる役職は聞いたことがなかったのですが、
後から調べると専務とか常務に該当しそうな感じです。
その方は、挨拶と雑談を手短に終えると、なんとそのまま話し始めました。。
4.唐突に始まる今後の事業展開構想のマシンガントーク
「うちは実は基幹システムの導入も勿論ですが、メイン事業の分社化を行い、次年度からホールディングス化を予定しているんです。実はこの管理部も、ゆくゆくはいち管理サービス会社として独立させる予定です。
管理部門はコスト部門なので、グループ会社で収益化出来る仕組みを作りました。その準備は既に整いつつある状況ですね。
とにかくその為には、基幹システムのスムーズな導入は急務であり、ベンダーとうちの従業員の間に立って、上手くとりなしてくれる人材を探しているわけです。
更にうちの物流倉庫を広大な敷地へ移転、新センターの開設と共に基幹システムによる運送会社との提携により、グループ間は元より他業者ともスムーズな輸送を実現していく予定です。
システム単体はすでに、分割して個別販売できる状態にまで開発が進んでいますので、あとはうちで基幹システムの実用実験さえ終えることが出来るなら、同業他社へソフトウェアの提供会社へと舵を切ることだって可能だと考えています。
もう投資額も二億を超えたので、既にソフト完成度は非常に高い状態です。
ソフト提供、サポートにより安定収入が確率されたあとは、我々小売業界を救うAIの開発に乗り出す道もあるんですよ。そうすれば、我々を育ててくれた地域への恩返し、そして社会貢献にも繋がりますからね。
そして近いうち、名前はまだ伏せますが、某福祉系施設と同業の買収の計画もあるんです。今年が躍進の年であることは間違いないでしょう。
とにかくうちの会社には、それほどのポテンシャルがあるのですよ」
記憶の限り書き起こしたので、ダラダラ長くてすみません。太字だけお読み頂ければ大体つかめるかと思います。
とにかくその人は残りの面接のほとんどの時間を、理想を語る時間に費やしてくれました。
その時の私と言えば、ラッキー!もう喋らなくていいんだな!と思いつつ、
彼が熱を込めて語った事業計画の壮大さに圧倒されていました。
『やっぱ私が間違ってたんだ、、、
この会社は知名度に相応しく、しっかりしていて未来がある会社なんだな!!!すごい!!!!
私はホールディングス化も現職で経験しているし、ここで力を発揮する運命だったのかも!』
この程度で、事務所へ踏み入ってからの数々の混乱と違和感を遠い彼方へ忘れ去ってしまった、騙されやすい善良純粋錯乱レディたる私。
きっと漫画的表現をするなら、グルグル目になっていたことでしょう。
何故そんな夢と未来のある会社が、長期間管理部の募集をしているのか?
そしてめちゃくちゃ若い人に、管理部の長を任せているのか?
ここでそれを思い出せば、まだ踏みとどまれたかもしれません。
4.明かされる基幹システムのプロジェクトリーダーの正体、そして洗脳完了のお知らせ
もはや惑乱状態とも言える私を置いて、その人はまだ話し続けていました。
「しかし、管理部にはまだ各プロジェクトを実行出来る人材が揃っていない状況です。実は管理部長には多大なる負担を強いて無理をさせており、申し訳ないくらいなんです。
RPAツールなどの導入も勿論、基幹システムのプロジェクトリーダーも、色々勉強してもらい、彼女に担って貰っているので、それをあなたに手伝って貰いたい。
色々過渡期なせいで管理部では多くの仕事があるので、かなりのマルチタスクになってしまうかと思いますが、経理総務で10年以上働いたあなたなら可能だと見受けました。
勿論、残業などはさせませんし、お子さんが居らっしゃる身で無理をして貰いたくないのでね。
僕からの話は以上です。次回最終面接でお会い出来ること、楽しみにしています」
その人は長台詞を言い終わると、満足げな顔で爽やか退出して行きました。
当時の私に、この時点で彼の願望説明内容と現状で、既に矛盾が大発生していると気付く冷静さがなかったことが、非常に残念です。
私は高揚した気持ちのままその人を見送り、目の前に視線を戻しました。
そこには、MDさんの話曰く、
実はIT知識が豊富でこれまで沢山の実績を残してきたらしい、
管理部長が残されていました。
「ホールディングス化の経験もIT系の資格もおありということで、非常に弊社向きな方と思っています。amamiyaさんのご意向もあるかと思うので、ひとまず本日の面接はこの辺りで終了いたしましょうか。ありがとうございました」
やる気に満ちた瞳を細め、頭を下げる彼女に私もつられた形でお辞儀し、退席の準備に入りました。
この時、降り注ぐ理想論に長時間晒され、頭の中がキラキラ状態になっていた私の胸に溢れていた思いは、
『やっぱり私の誤解だったんだ。歳下ながら、すごい人に出会ってしまった』
『ぜひこの会社で働いて、彼女を助けていきたい』
であったことが、今思い返しても心の底から残念でなりません。。。
誤解じゃない訳ないでしょうが!!!!!
彼女が本当に爪を隠していた鷹に見えたのか!?!?
あとここまでの話で、情シス部の存在が皆無だったんだぞ!!!!
一次面接は大成功だったかも知れませんが、私はこの日確実に、キャリア選択大失敗の道へと一歩踏み出したのでした。