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まさか【らき☆すた】のギャルゲーで曇らせ欲を満たせるとはな―柊つかさルート―

【らき☆すた〜陵桜学園 桜藤祭〜】これはらき☆すたの恋愛シミュレーションゲームである。このゲームがどんなものなのか、そもそもらきすたとはなんぞやというのは以下の記事にて話をしているのでそちらを見て頂きたい。また、そちらでは別ルートのお話もしている。

つかさだからこそ曇らせるというあまりに理解度が高すぎる展開

今回攻略したのはメインキャラの1人【柊つかさ】である。天然癒やし系のちょっと抜けている子であり、当時から現在に至るまでらきすたで私が一番好きな女だ。好物は最初と最後に食べる派なのでこのゲームに対するモチベーションが高いうちに一番の好きをやってやろうじゃんという次第だ。
そんなつかさルートであるが10年くらい前にもプレイした記憶があるがどんなものだったのか全く覚えていない。覚えていないということは大して心に残るものがなかったのであろう。だが上に記したみゆきルートが存外ちゃんとしっかり恋愛していたのでこれはもしかするともしかもしかするかも知れないという期待を抑えることができなった。

結果としては、非常に満足いく内容であった。まあやはりボリュームの少なさによる物足りなさと告白で終わり付き合ってからが描かれないという本ゲームの性質上消化不良感はある。
だがそれらを加味しても私としてはプラスを叩き出すことができる内容であった。
主な加点要素となったのはどのエピソードも個人的な解釈の一致度が高かったことによる。
料理の好きなつかさが作ってくれたお弁当を主人公の俺くんが食べて美味しさに感動したり、周りに気を使って空回りしたりとやっぱつかさにこれは鉄板よなという展開が多かった。全体的にやはりつかさらしく庇護欲を掻き立てるような展開が多くそちらが非常に性癖へ刺さり散らかした。

俺もつかさの料理大好きだから嬉しいよ以外の感情が消え失せてしまった。

あとこれはみゆきルートとの対比なのだがあちらにあったエロやラッキースケベといったギャルゲー的お約束展開はほとんどなかった。
告白へ至るまでに体を密着させることもなければ触ったり触られたりという展開もなかった。単にみゆきが卑しか女だっただけでこんなもんがスタンダード説はあるがその真の理由は付き合うまでの過程でみゆきほど親密にならなかったからというものがある。

そんなつかさルートで燦然と輝くものは2つ、1つは曇らせ展開だ。そしてもう1つは寝取り要素だ。無論作品が作品なのでそこまでハードなものではない。だがそれでも特に曇らせが素晴らしかった。
いやまさかとはいえらきすたぞよ、と。そう思うかも知れない。つかさルートだからこそつかさは曇るし無自覚のうちに俺くんを狙うこなたを出し抜く。限りなく原作レ◯プすれすれな気もするがそもそも日常アニメの恋愛ゲームという世が世なら忌み子扱いもやむ無しといった作品なので問題ない。

大筋のストーリーはみゆきルートと大差ない。文化祭である桜藤祭を成功させるべく、みんなと強力して準備をしていくうちに特につかさと仲良くなりお互いに意識する。そして文化祭で出し物の演劇が終わった後、2人はお互いの気持ちを確かめ合い幸せなキスをするところで終了。

自信がないからこそ生まれる最高の曇らせ展開

つかさルートにおいて重要である要素、それはつかさの無自覚さだ。作中で俺くんはつかさのことを好きになるが、つかさ自身は自分が俺くんに好かれていると告白されるまで思わない。
当然途中から両思いなのだがその思いのすれ違いは告白されるまで解消されることはない。そのためそこでつかさが曇る。更に告白シーンでもなんか曇りすぎてこっちが告白しようとしているのになんかもうつかさのことを振っているかのような雰囲気が漂う。もっくもくである。これが最高であった。
やはりつかさのことは好きだがそれはそれとしてああいう子はどうしても良い意味でひどい目に合わせたくなるしそういう状況が似合うからこそ守護りたいと庇護欲がガンガンいこうぜと湧いてくるわけなのだから。

そういった点においてつかさルートの付き合うまでの流れは完璧であった。特に序盤でつかさは俺くんに飲みかけのジュースをあげて無自覚に間接キスを促す場面だ。

視界に映る全てがあざとくかわいい。一周回って逆にもう萌え袖がいっちゃん脳にくるわけ、これよ。

俺くんはつかさのことが気になっているし年頃なので当然良い意味で意識してためらいを見せる。つかさはそのためらいに対して自分の飲みかけを飲むのが嫌だったのかと勘違いをしてしゅんとなる。

"やっぱり"ってところから自分を低く見ていることが分かるしだからといってあまりに隙が多すぎて良い意味でキレそうになる。かわいすぎるだろ。

これが見たかったんだよ、分かるか。これよ。あんなに明るくちょっと抜けてて愛くるしいつかさがしゅんとなるのだ。(この時点においてはまだ恋愛感情の認知がないため純然たる)好意から差し出した手にためらいを見せられてちょっと悲しむ。これなのだよ。つかさのようないい子が良かれと思って差し出してくれた手を振り払いたい欲、これは人間である限り必ず逃れられない人の望み、人の業なのだ。
この出来事がきっかけでつかさは俺くんからの好意を認知できなくなるのだと考察できる。ここで自分は少なくとも俺くんの好きな人ではない、という認識を持ったことでその認識をラストまで拭い去ることができずにいる。

それは何故か、ひとえに自信のなさにある。友人であるこなたのように活発でフレンドリーに仲良くできるわけではない。姉のかがみやみゆきのようにしっかりしているわけでもない。そんな自覚のある自分がまさか選んでもらえると思っていないのである。元々そういった地盤ができている状態でこんなためらいが見えた為、つかさは自分自身を信じることができなくなる。
つかさルートはこういったつかさ側の煮えきらない葛藤と諦めの感情が見える為ラストにおけるカタルシスが非常に大きい。

無自覚さと自信のなさが生む妙な寝取り感

俺くんは文化祭でやる劇中においてヒロイン役であるこなたとのキスシーンに本当にキスすべきか否か悩む。こなた筆頭に劇に携わるみんなとしては劇のリアリティとクオリティをあげるため実際にキスすべきだと考える。
だがなかなか乗り気にならない俺くんをなんとかすべく、こなたはじゃあ俺くんを自分に惚れさせたらいいわけだと考える。そしてこなたの俺くん攻略作戦が始まるのだが当然これはつかさルート、こなたの作戦が成就することはない

みゆきルートにおいても同様の流れはあるのだがつかさルートでは大きく違ったことがある。それはこなたがその政略的恋愛に満更でもなさそうな態度をしばしば見せることだ。
こなたが屋上で俺くんとお昼を食べる際、手作り弁当を差し出すシーンがある。だが実際にその弁当を作ったのはつかさであり、その料理の腕前に感激する俺くんとつかさの間にちょっといい空気が流れる。その際にそっちでフラグが立ちそうだという嘆きを見せる。同様にフラグを立て損ねて嘆くシーンがちらほらと見える。
これがほのかな寝取り感を醸し出しているのだ。こなたから見れば俺くんを惚れさせようということは満更でもなかったわけだがその作戦は失敗する。つかさと俺くんのフラグが立つ瞬間を何度も見せつけられる立ち回りをこなたはさせられている。
だが前述の通り、つかさ自身は自分がフラグを立てたと思っていない。こなたはそういった匂わせ発言をするのだが、実際に煮えきらないつかさに何かを言ったり背中を押すようなことはしない。
これが妙な背徳感を生み出しなにか寝取り感を生み出している。BSSのような雰囲気もどことなく感じる。つかさルートでこのような空気を出すのはあまりに解釈が一致していると言わざるを得ない。こなたに対してもこのような当て馬的使い方をするというのはなかなか斬新だし見ることのできない一面が見られて面白い。使えるものはどんどん使っていけ。

不安になって泣いちゃうつかさがあまりにも愛おしい

ここでは上記のような自信のなさから生まれる展開において特筆したいことが2つある。ある帰り道、俺くんが永守さん(ゲームオリジナル女キャラ)と2人でいたことを知り、2人が付き合っているのかと勘違いするシーン。もう1つは俺くんが自分以外の誰かとキスするところを想像してつかさがなぜか泣いてしまうシーン。時系列的に前者の直後に後者がある。分かるか、この無意識な重さが。

拾い画像だから編集したのではない、本名プレイしているから隠しているのだ。怖いか?

前者であるが、そのままの状況である。まさかつかさからこんなにもストレートな嫉妬の感情を投げつけられるとは思わなかった為に感動を隠しきれなかった。どちらかというと不安やどうしようといった感情が表に出ていた喋り方であった。
だが、どちらでもその本質は変わらない。自分以外と俺くんが付き合う光景を受け入れたくないという想いの本質に一分のブレも生じない。それはこの直後のシーンからも分かる。

ここあまりにも好きすぎて見た瞬間に激しく過呼吸になったし息吸いすぎて自爆前のセルみたいになった。

前述の通り、文化祭の劇中で俺くんはこなたとキスする予定だ。その状況を想像したらつかさが泣いてしまったのである。それがここだ。こんなにも不憫で愛らしくて愛おしい生物がいるか、いないであろう。
これが原作付きのキャラゲーであるという事実すら忘れそうになってしまう。少なくともアニメや原作を見ていてかようなシーンが出てくるとは微塵にも思わないであろう。
だが私としてはあってほしいと願っていた。なぜならば既に語った通りつかさのようないい子にこそ曇ってほしいと願うからだ。だからといってまさかつかさが不安で泣いちゃうとは思ってもいなかった、やってくれるじゃあないか。10年前やった際の感想は覚えていないが恐らくまだこの境地にまで達していなかったことは分かる。
数多の戦場で拗れた性癖を認知して自身に対する理解を深めてきた甲斐があったというわけだ。経験は必ず役に立つ。

最後まで曇らせたっぷり、カタルシス最強の告白シーン

これが最後の特筆点となる。最大の山場となるつかさへの告白シーンだ。ここでストーリーの妙技が炸裂する。

みゆきルートにおける告白が答え合わせであったのに対し、つかさルートにおいてはつかさ側の一発逆転シンデレラストーリーとなる。俺くん視点だとずっとつかさしか見えていなかったのだがつかさは自分がそういった恋愛的な意味合いで自身は眼中にないと思い込んでしまう。

俺くんは素直に君が好きだと叫ばない。劇中でこなたとキスをしなかった俺くんは「結局キスしなかったんだ」と言うつかさに対して「好きな子の前でキスできない」と答える。
それに対するつかさの応えがこれだ。

もうすでになんか振ったみたいな空気が流れているのが私本当に愛おしくて嬉しくて最高のゲーム。

続いてそれが誰かと訪ねてくる。こなたか、みゆきかそれともかがみかと。どうしても俺くんの好きな人を教えてほしいのだと言う。
何故か、自分が諦めるためだ

告白前なのにぽろっともう俺くんのことを好きな人って言っちゃうところあまりにも愛おしくて愛らしくて壊れてしまいそうだ。おお愛しの人よ。

分かるか、柊つかさに"好きな人の好きな人"と言わせる重みが。これを求めていたのだ。ここにきて今まで溜め込んできた俺くんへの想いと自分への自信のなさが爆発する。自分が選ばれるとは思ってもみないからせめて誰が好きなのか知っておきたいと。そうすることで「こんなにも素敵な人なら仕方ない」という諦めの気持ちを得ることができるからだ。
つかさは告白するつもりで文化祭の後2人で会おうと言うのだが、そこに勝算はなかった。自分の気持ちへの決着、あるいは選ばれずとも想いを伝えたいと思っていたのだろう。あまりに健気でいたいけが過ぎる。
この儚さこそがつかさルートの集大成であり、その美しさの全貌である。ふわふわほわほわのつかさだから刺激のない甘い恋愛を与えるのではない、だからこそ苛烈であるべきなのだ。それがつかさの本来持つこういった儚さ脆さ可愛らしさ、そして何よりも俺が守護ってやらねえと感を全開にするわけだ。これが勝利のメソッドというわけだ。

普通に負けヒロインの負け告白みたいで興奮するしそれなのにこれつかさルートでの発言ってマジですの。マジなのですよ、最高だろう。

その後はもちろん俺くんは自分はつかさのことが好きだよとなりつかさもそれを受け入れ嬉しいよとなりハッピーエンドとなる。

もっくもくもくの曇りのち晴れ、このカタルシスこそがつかさルート最強の武器である。つかさがいっちゃんなのよ。
ずっといっしょでいようともいたいとも言えない、そうだったらうれしいで止めるつかさの消極さがなにからくるものなのかもう分かっているだろう。最後までブレないけなげなかわいさ、最高だけが詰まっている。

わりと全編に渡り定期的に曇っていた為、みゆきルートで見られたようなイチャラブ展開は見られなかった。
だがそれと引き換えにつかさの曇らせを得た。どちらも素晴らしく比べることもおこがましいのだがやはり性癖を黙らせることはできない、故に曇らせをありがとう。そう伝えたい。その想いを抱いてこれからも俺はつかさと歩んでいく。

二度とこの笑顔を曇らせないように俺が、な――

1つの"永遠"を得た

以上の通り、つかさルートは私にとって大満足のストーリーであった。そもそもが一番好きなキャラだったのでそれも相まっているのだろうがそれにしても非常に良かった。
らきすたでこんな曇らせとやるせない寝取り風味の話を見ることができるとはという思いは大きかった。やはりつかさの魅力を引き出すことができるのは曇らせだと、再確認できたのも大きかった。
もっと最も身近な存在である姉のかがみに対するコンプレックスだとかがあったらより私の性癖好みであったがそこまでいくと作品としてズレてしまうし重くなりすぎてしまうのでまあ止むなしといったところだろう。
つかさルートに対する満足度によりもうこのゲームに対する評価点がマイナスへいくことはなくなった。このルートは1つの永遠となった。これによりもう安心して飽きるまで他のルートを開拓することができる。

とりあえず別の子のところへ行ってくるけど、つかさ。俺の帰ってくるところはここだけだから、さ。

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