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袖笠雨
長袖が似合う季節に、少し気だるい小雨も優しく地面を撫でてる
昔から体は弱い方で、こんな日は低気圧で眠気と頭痛との戦いばかり、少し気温が下がったと思えば、それに追いつけなくなった腹いせなのか、突然熱を出して、それがずっと長引いたりもしてた
そんな早すぎる流れには追いつけないし、自然にはやっぱり淘汰されてどうにも勝てないし、想い起こしてしまうこんな夏の全てはあの子のことでいっぱいで、きっと冬になればまた、暖めてくれるようにって待ってしまうんだろうな
いつになっても取り残されるのはあの景色だけ
ずっと一緒にいたらさ
生活習慣も授業の時間もバイトの時間もわかってくるし、朝ごはんとか今日聴いてた曲とか、終わらせなきゃいけない課題とか、もっと知れたんだよな
話してくれないことも、その理由もわかってたなら
好きにならなきゃよかったし、好きなんて言っても
笑い飛ばしてくれたら、それでよかったのにな
雨の日は一緒に授業サボって、昨日と似たような話をずっとしてたかったな
まだここにいるよ、迎えに来てほしい
寒くなるから近くにいてほしい
体調も良くないから、毎日元気にしてほしいんだよ
電話を切る時、いつもバイバイって言うから
またねでしょ!って言ってたのに、またねが無くなることが怖かったから!
離れること、本当に怖くなる
この手を離したらとか、でも結局その手を離すのは自分だし、そんなのずるいよね、こんなに生活に入り込んできたくせに、好きにさせたくせに、
いつも曖昧で、いつまでも答えが分からなくて、いつも本当のことが聞けない、言ってくれない
もっと聞きたかった、事も、歌も、声も、全部を
ごめん聞かなかったことにして
この袖を濡らしてしまう雨が、それを凌げるほどの涙が、どうか、君だけには気づかれませんように
大好きだったよ、バイバイ
こんな情けない僕でごめんね