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『虎に翼』脚本家・吉田さんインタービューを見て
大きな話題になってる朝ドラ『虎に翼』。
女性に多する偏見や差別に「はて?」と投げかけ、
まっすぐな言葉で立ち向かう寅子。
日本はじめての女性裁判官・三淵 嘉子を題材としている。
家庭に入った女性、男性、性的マイノリティ、障害者、認知症が進む高齢者、在日朝鮮人などの生きづらさ、多様な立場にいる人を描いてきた。
そんな脚本を書き上げた脚本家・吉田恵里香のインタビューだ。
「言葉はだれかを縛る。」=呪い
昔も今もそれは変わらず、
無意識に発せられる言葉が呪いとなって、私たちをがんじがらめにする。
「いいお嫁さん」「大黒柱として」そんな言葉が私たちを知らず知らずのうちに縛っていくのだ。
寅子が発する「はて?」
押しつけられる呪いに、寅子は「はて?」と問いかける。
決して喧嘩を売っているのではない。
対話しましょうという言葉だ。
憲法14条
ドラマが何度も立ち戻ってきたのは、憲法14条。
書かれていることはごく当たり前のこと。
そんな「当たり前」が実現できていない世の中への投げかけとして、
憲法14条を主軸に置いた。
押しつけられる言葉や社会構造に「はて?」と投げかけ、
私・あなたの尊厳を守るために対話を重ねていくのだろう。
強い立場にいる人として
「マジョリティでいる以上、必ずだれかを傷つける。」
自分には関係ないではなくて、
マジョリティ側が変えていく必要がある。
社会に投げかけたこと
「今この社会は本当に平等なのか?」
脚本家の吉田さんは、ドラマで描かれてこなかった社会に確かに存在している人たちをできる限り描こうとしてきた。
マジョリティの立場にある私たちに向けて、光を当てようとしたのだ。
「虎に翼」が描いたことは何だったのか?
”人間の多面性、そして社会の構造に目を向けること”
私は「虎に翼」が描いたのは、
人間は多面的な存在であること、
それを構築している構造に目を向けることだったのではないかと思う。
出てくるキャラクターは皆愛らしい存在ばかりだった。
寅子に始まり、よねさん、花江、ゆみちゃん、航一さん、誰もが愛らしく、
そして、誰もが間違えていた。
人間は一つの立場、一つの思想に回収されない。
多面的な存在である。
寅子がゆみちゃんにちゃんと向き合えなかったり、穂高先生が寅子に母親役割を押しつけたりと、いかにも正しそうな存在として描かれてきた人も、
間違えていた。
そして、それを構築しているのは、社会というやつである。
家庭を支えるために働いているんだから、家庭のことはできる限りでやればいいと思っていた寅子、女性が法曹界に入ってくることが重要だと思いながらも女性にはまず第一に母親役割があると思っていた穂高先生。
それらは、社会で当たり前とされてきたことを内面化してきたのだ。
でも、決して寅子と穂高先生自体が悪い人なわけではない。
ただ、社会で生きる中で、無意識下でそれらを内面化してきたのだ。
だからこそ、対話しながら、人と関わりながら、常にともに社会を構築していくしかないのだろう。
寅子はゆみちゃんと関係を構築し直した、穂高先生と寅子はわかりあえずとも、それでも互いに言葉を交わし合った。
寅子の「はて?」から始まる対話を私たちは必要としているのだ。