博物館デジタル化調査報告 No.9 〜国立故宮博物院〜
こんにちは。ミューゼオの奈良です。
第9回は有名な白菜の彫刻「翠玉白菜」などを所蔵している国立故宮博物院。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!
国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。
調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みやSNSの活用方法を調査し、個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。(TOP画像は国立故宮博物院公式Facebookを参照)
国立故宮博物院の概要
中華人民共和国の国立博物館
所在:中華人民共和国の台北市
読み方:こくりつこきゅうはくぶついん
中国語での正式名称:國立故宮博物院
さらに敷地内には庭園がある。
Webサイトの内容
日本語にも対応しているため情報が読み取りやすい。
〈開館時間〉※月曜日は基本休業
火~ 日曜日 午前9:00-午後5:00
〈チケット〉予約必須ではないようだ。
【1】おすすめの動画
文化的遺物についての動画がおすすめされていた。ページ内に大きく掲示されているため目を引く。
【2】3D鑑賞
所蔵品をオンラインで鑑賞できる。
●「清 乾隆 金甌永固杯」の場合
いくつの場所にキャプションがついている。鑑賞しながら詳細を確認することができる。
●「清 18世紀 彫竹根馬上封侯」の場合
普段の展示では見ることのできない内部まで3D鑑賞することができる。下記に添付した内部画像は馬の首元部分である。中は空洞のようだ。
【3】図書館が併設
美術展の図録や研究資料、アジア研究を主題とした外国語書籍などが取り揃えられている。図書館は日・月・祝日が休館日になっている。
SNSでの活動
国立故宮博物院では3つのSNSを利用して情報を発信。YouTubeも積極的に活用している。様々な媒体を使って作品紹介を発信しているため、自分の好きな媒体で情報をチェックできる。
●Facebook
展覧会やイベントの情報、作品についての紹介が発信されている。
●Instagram
作品の紹介がメインに発信されている。
●Google Arts & Culture
Googleが提供している世界各国の美術品をオンラインで鑑賞できるサイト。40カ国200以上のミュージアムが登録している。サイト内では年代別や作品の色別などでフィルターをかけることが可能である。
YouTube
〈チャンネル登録者数〉4.37万人
〈本数〉1000以上
〈配信開始〉2012/11/28(8年前)から配信
〈最高視聴〉535,775 回視聴
内容:「未来、予期せぬ出会い、バージョン2020」
Shop情報
こちらからは国立故宮博物院でしか買えないようなアイテムを紹介。オンラインでも購入可能だ。
●中国茶
1890年創業の有記名茶オリジナルの「奇種烏龍」という名のお茶。パッケージには范寬 「谿山行旅」が描かれている。
●有名な「翠玉白菜」がモチーフのグッズを紹介!
国立故宮博物院では様々な翠玉白菜グッズが展開されている。翠玉白菜モチーフのオリジナルキャラクターも存在するのだが、「そこまで白菜なのね!」と思ってしまうようなアイテムをいくつかご紹介。
・カメラ
緑と白の淡いグラデーションが「翠玉白菜」のようになっているカメラ。厚さは1㎝しかなく、持ち運びにも便利でおしゃれ。
・オルゴール
観賞用の置物としてだけではなく音楽も楽しむことができる「翠玉白菜」。作品を忠実に再現した白菜上部にはキリギリス(イナゴ)も。木製の翠玉白菜は温かみもある。
・塩コショウ缶
「目的(機能):塩コショウ缶」と書かれているが一体どこから出てくる仕様なのだろうか…?と思ってしまうグッツ。陶磁器である「翠玉白菜」も淡色合いで魅力的だ。
他にも「翠玉白菜」をモチーフにしたサングラスやイヤリングなどのアクセサリー、花瓶やお皿などもある。
まとめ
▶︎Webページを日本語で確認できる
▶︎作品を3D で閲覧できる
▶︎SNSの他にオンラインで作品を閲覧できるシステムを活用している
国立故宮博物院のWebサイトは日本のものによく似ています。日本語版もあるため情報を確認しやすく、安心して施設を訪れることができそうです。図書館が併設されていたり学習イベントが充実しているなど、博物館で作品を見るだけではなく、体験しながら学ぶ環境が整っていました。
次回はテイト(テート・ギャラリー)について調査していきます。ロンドンの国立美術館を運営しているテイト。まずはテイト全体でどのような取り組みをしているのか紹介いたします。お楽しみに!