博物館デジタル化調査報告 No.22 〜ラルコ博物館〜
こんにちは。ミューゼオ株式会社の奈良です。
第22回は南アメリカ最大の都市のひとつとも言われるペルーの首都リマにある人気の博物館、ラルコ博物館。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!
国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。
調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みやSNSの活用方法を調査し、個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。(TOP画像はラルコ博物館公式Facebookを参照)
ラルコ博物館の概要
所在:ペルーの首都リマ
正式名称: MuseoArqueológico/ラファエルラルコエレーラ考古学博物館
略語:LARCO/ラルコ
ラルコ博物館はインカ時代の前であるプレ・インカ時代(7世紀)のピラミッド遺跡の上に建てられており、真っ白な建物に敷地内に咲く色とりどりの草花が映えているのが特徴的である。また展示室への案内や展示物についてのキャプションは日本語のものも用意されている。
Webサイトの内容
〈開館時間〉※休館日なし 月〜日曜日 11:00~19:00
〈チケット〉当日券も販売している。
【1】短編動画シリーズ
2〜4分にまとめられた古代ペルーの文化や儀式についての動画を無料で閲覧することができる。シリーズごとにまとめられ、同ジャンルの展示物を3Dで見ることも可能である。
【2】デジタル化施策
オンライン展示についてまとめているため、この中からいつくか紹介する。
●オンラインカタログ
所蔵品のうち約45,000点の作品をオンラインで検索、閲覧することができる。「Orejera Mochica」で検索した結果がこちら。
●360°オンラインツアー
常設展や敷地内の草花などをオンライン上で楽しむことができる。うまくオンラインツアーにアクセスできない場合は画像での表示もある。下記画像はラルコ博物館内の植物ツアーの一覧である。
【3】子供向けのバーチャルツアープログラム
年齢に合わせた様々なプログラムを用意している。それぞれの専門家が45分程の時間で講義をしている。
SNSでの活動
ラルコ博物館では3つのSNSとGoogleアートを利用して情報を発信。YouTubeも積極的に活用している。様々な媒体を使って作品紹介を発信しているため、自分の好きな媒体で情報をチェックできる。
イベントや最近のイベントについてなどが発信されている。
主に展示会ついて投稿されている。
主に営業時間について投稿されている。
●Googleアート
人気の高いサラ・エロティカ展示室の作品やトルコ石の首飾りなどをオンラインで閲覧することができる。
YouTube
〈チャンネル登録者数〉4420人
〈本数〉約110本以上
〈配信開始〉618 回視聴2013/11/13(8年前)
〈最高視聴〉29,900 回視聴
内容:古代ペルーの文化| no.4モチ
Store情報
ラルコ博物館ではオンラインでのグッズ販売を行なっていない。今回はミュージアムショプ紹介の代わりに、博物館内にあるお洒落なレストランについてご紹介していく。
リゾートを思わせる素敵なレストラン。博物館内にある色鮮やかな草花ももちろん鑑賞することができる。
ペルー料理をはじめ、様々な国の料理を提供しているほか、スナックやサンドイッチなどの軽食、メインディッシュ、アルコールなど幅広いシーンに合わせた食事が可能だ。
まとめ
▶︎動画やオンラインカタログなど、デジタル化に積極的である
▶︎博物館の植物などを含め、施設としてアピールしている
▶︎観光客が訪れやすいよう、各国の言語に対応している
ラルコ博物館ではもちろんデジタル化を進めてはいるが、実際に訪れるメリットを前面に押し出しているように感じました。植物を見る体験、食事をする体験など、オンラインでは味わえない部分を魅力的に発信していくことで、ペルーの土地の歴史を学びたいという人以外にも博物館に訪れくなるように感じました。
次回はスペインにあるプラド美術館について調査していきます。幅広いヨーロッパ絵画を収蔵している美術館はどんな施策を行っているのでしょうか。お楽しみに!