ユーザーの本当の気持ちを知りたければ、モノを売ってはいけない。 〜インタビューをするとき大事にしている5つのこと〜
こんにちは。むーさんです。
cmkt Advent Calendar 2021の22日目を担当します!
サクセスコミュニケーションしてますか。
私は、SmartHRのカスタマーサクセス部にある
サクセスコミュニケーションユニットに所属しています。
なかなか長い名称ですが、名前だけでも覚えて帰ってください。
私はこのユニット名を最近やっと噛まずに言えるようになりました。
この部署では、SmartHRをお使いいただいているユーザーとのコミュニケーションを作っています。
各種コンテンツの企画・制作・提供を通じてコミュニケーションを図り、持続可能なカスタマーサクセスを実現することが目的です。
今回お伝えするインタビューの仕事も、そのうちの一つ。
導入後どのようなことがあったのかをインタビューするというのをやっています。
カスタマーサクセスならではのインタビューといったところでしょうか。
インタビューをするとき大事にしていること
私は前職までの分を含めると、数百社の企業へインタビューしてきました。 社会に出てから約15年、企業課題や今後の計画などを伺ってきたなかで、いい話を引き出す方法がなんとなくわかってきました。
そこで、町工場からグローバル企業まで足を運んで培った、インタビューをするとき大事にしている5つを紹介します。
1. モノを売ろうとしない
まず 1番意識していることをお教えします。
それは、モノを売らないことです。
インタビューは営業する場所ではありません。
当たり前ですが、お客様との貴重な時間って、どうしてもセールス意欲が湧くもの。
でも、その気持ちをグッとこらえて、お客様との会話のキャッチボールを楽しむことに集中しています。
「売られる」ことがどんなにイヤかは、ユーザーの側に立つとわかります。
導入に至った背景や利用後のエピソードを話しているのに「そんなお客さまのご要望を受けて誕生したサービスが誕生しまして……!」と営業かけられちゃうと、ドン引きしますよね。私は、カモか?と。
インタビューの時間は、お客様が心地よくあり続けること。
なぜなら、その空気を纏うことでいい話に展開することがあるからです。
かつて、某サービスをご利用いただいているユーザーへインタビューした日のこと。
にぎやかな会話が続いていたとき、ユーザーが急に真剣な顔をして
そんなツンデレなお言葉を聞けたことがあります。
商品を売ろうとしないインタビュアー(私)だったからこそ、本音を教えてくれたのかもしれません。
「実は…」とユーザーからお話いただける話題は、本心に近いお話だったり、最近のリアルな話だったりするため、貴重なコメントをいただけることが多いのです。
2. 褒められようとしない
あなたは、褒められたいですか?
私は、とても褒められたいです。
ですが、インタビューは褒めてもらうための場所ではないんです。
深くていい話が聞けるインタビューになると、どうしてもその人から自社の評価を伺いたくなっちゃいます。
ですが、これまたグッとこらえましょう。
誤解を恐れずにいうと、「弊社のサービスを使っていただいて、どうでしたか?」なんてユーザーに聞くと、うれしいご回答をいただけるのがほとんど。
ユーザーの皆さんはとってもいい方たちなので、お客様から嬉しいお言葉をいただけて悦に浸るのはそりゃあ幸せかもしれませんが、言わせていませんか?
本当に「良かった」と思っていただけているのであれば、おべんちゃらを言わせるのではなく、エピソードも含めたお話をお客様ご自身からしていただくのが重要です。
反対に、企業側の人間を目の前にクレームが出せるユーザーは限られます。
そんな重い空気になることをユーザーに言わせてしまうこと自体、間違っていますが。
つまり、サービスが良かったか、悪かったかといった評価を聞くこと自体間違いだと思います。
大事なのは、ご導入いただいた企業が抱える課題やビジョンに対して、自社のサービスがお役に立てているかどうかを知ること。
ユーザーのさまざまな状況を知ることがインタビュアーとしての役割だと思います。
3. 企業側の人間にならない
事例を伺うインタビューは、インタビューする側が社員っぽくないスタンスであることもとても重要だと思います。
といっても企業側の社員であることに変わりないですし、外部のライターを立てても依頼した企業側なのは変わりないです。
できるだけ「企業とユーザーの間に立っているヒト風」のスタンスを心がけるのは、ユーザーの本心を引き出しやすくなります。
もしも会話の最中に自社のことをお褒めいただいても、自然と笑みがこぼれてヘラヘラしながらお礼するようなことはしません。
インタビュー対象者にはインタビュアーのことを「そのへんの兄ちゃん(姉ちゃん)」くらいで見てくれているほうが「プロダクト側の人間」フィルターがなくなって、話は弾むと思います。
「コイツだったら垣根なく話せるな」くらいの印象がちょうどいいんじゃないでしょうか。
4. 担当者のストーリーを知る
私が伺っているのはお使いいただいている企業の事例ですが、お話いただく担当者ご自身の想いを聞くようにしています。
担当者がどのような想いでサービスを導入したか。
そしてどんな課題に立ち向かっているか。どんな夢があるか。
インタビューとは、そんなストーリーを伺う機会だと思います。
以前インタビューした人事労務担当者が言いました。
また、とある介護業界の人事労務担当者はこう言います。
このようなお話をインタビューで知るたびに気付くんです。
真実は現場で起きていると。
人事労務の役割を向上させたい意欲や、組織改善への想いを抱くユーザーがSmartHRを使ってくださっているというのは、とてもうれしいこと。
活用事例インタビューでは、担当者の想いを中心に構成しています。
5. ファン作りではなく、仲間作り
いかにクライアントにファンになってもらえるかが、これからのサービスモデル。
って、ほんとですか?
私は、ユーザーとの付き合い方を表す際に、ユーザーを「ファン」と呼ぶのが、どうも好きになれません。
「ファン」を国語辞典で調べると
とあります。
要は「好きなアーティストやスポーツチームなどを応援したり愛したりすること」ですよね。
でも、ドライにとらえると「主催イベントに参加してチケットや商品を購入して貢献する関係」じゃないですか。
多くの場合、「ファン」と「相手」の関係性はファンの一方通行です。
「相手」は「ファン」を大切にしますが、要は顧客です。
つまり「弊社のファンになってもらう」って、少し偉そうじゃありませんか?
そんな上から目線な表現を聞くと、自社を好きになってもらいたいのなら、まずはそのユーザー企業を大好きになることが大事なのでは?と思います。
その企業が自社のサービスを導入いただいたことで働きやすくなったり、規模が大きくなったりしていくサクセスに貢献できたとき、よりいっそうその企業のことが好きになれるじゃないですか。
そのために自社のサービスにさらに磨きをかけようとする。
この時点ですでに「ファン」と「相手」との関係性ではなく、企業を一緒にサクセスしていこうとする「仲間」なんだと思います。
ファンではなく仲間という意識は、インタビューにおいても同様です。
相手を「熱心な愛好者や贔屓にしてくれている人」と驕り高ぶらず、一緒の現場にいるような感覚で一喜一憂する仲間同士として会話しています。
もし、世の中にあなたの会社のサービスと同じサービスがあったとします。
そのとき、ユーザーが「ファン」だったら、競合のサービスになんらかの魅力を感じて乗り換える可能性は高いでしょう。
ですが「仲間」なら、一緒に作って想いを共有してきた熱い関係性があるため、継続し続ける可能性のほうが高くなると思います。
最後に
今回紹介したインタビュー術は、 インタビュー取材をしない人でも、普段コミュニケーションを取り合うときに応用できるTips要素だと思います。ぜひお試しください。
次のバトンを受け取るのは、同僚であるSmartHRのダジャレマシーンことせっちん丸です。
せっちんさん、よろしくです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました(^^)