増殖する万年筆(パイロットのライティブ)
それなりの本数の万年筆を持っているのに、また、万年筆がほしくなってしまった。
そして、買ってしまった。
PILOTのLIGHTIVE。ライティブ。
書き心地がPILOTのKAKUNOよりなめらかだというのを聞いて、どうしてもどうしても試してみたくなってしまったのだ。
駄目よ、もうたくさん持っているじゃない。これ以上万年筆を増やしてどうするの。・・・という心の声が聞こえる。
でも、抵抗しがたい何かが、私を文房具を扱う本屋へ向かわせた。
心に刺さらなかったら、買うのはやめよう。お金は大事。
何度もそう言い聞かせて、万年筆コーナーへ向かう。
試し書き用のペンがある。
心に刺さらなかったら、買わない。
もう一度、つぶやく。
買うなら中字、と決めていたので、中字のペンを取って試し書きをする。
しかし、インクが出ない。どうやらインク切れのようだ。がっかり。
細字のペンで書いてみる。
インクは出た。
書き心地は、微かに引っかかる感じがある。KAKUNOとの違いもよくわからない。
果たして中字は・・・?という好奇心が抑えられない。
とりあえず、色だけ。色だけ見てみよう。
5色あるうちのターコイズが良い。
クレイも良い。
でも、薄い色だと汚れが目立ちそうだし、天冠の黒がくっきりしすぎていて主張が強すぎる。ペン軸が濃い色の方が天冠の黒と合う気がする。
ターコイズを持ってみる。
2本ある中字をじっくり眺める。ペン先を見て、きっとインクが出るだろう、という勘が働いた方を選ぶ。
もう心は決まっている。買う。
家にPILOTのブルーブラックのインクがあるのに、ブルーのインクも手に取ってしまった。万年筆の箱にカートリッジが付いているのに、コンバーターも手に取ってしまった。
必要だったSARASAの替え芯も買い、お会計4158円。
ほぼ5,000円じゃないか。
果たして散財なのか、有益な買い物なのか。
家に帰り、早速開ける。
カートリッジは別の万年筆で使うことにして、早速大容量コンバーターのcon70を差し込む。
上手く刺さらない。ここまでという手応えがない。
インクを吸う。これまた上手く吸えない。泡ばかり入ってくる。
もう一度試してみると、なんとかインクが入ってきたので、早速書いてみる。
・・・音がしない。
なめらか。潤沢なインクフロー。紙の上を滑っている感じ。
陳腐な表現しかできないが、紙に引っかかる感覚が無く書ける。
いわゆるヌラヌラ系の書き心地だ。サリサリ感は全くない。
私はヌラヌラかサリサリかと言われれば、ヌラヌラ派なので、
これは嬉しい。
ただ、あまりにも引っかかりがなくて、字が流れてつながってしまう。
人間とは、わがままな生き物だ。いや、私がわがままなだけだ。
引っかかる感じも好きではなく、なめらかすぎても文句を言う。
でも、とにかくこのターコイズは気に入った。使いまくろう!
そして、困ったことに、クレイ色もほしくなってしまった。
同じペンは2本も要らない。お金は大切。がまんがまん。
まずは、ターコイズと仲良くなることから始める。
そして、インクを抜いていたKAKUNOも恋しくなってしまった。
新しい恋人ができた途端、昔の恋人が少し懐かしくなる感じ。
(違うか。)
KAKUNOは細字しか持っていないが、インクを入れてあげようか、と思う。
みんな仲良く。
いろいろ使ってみようと思う。
万年筆生活は楽しすぎる。
そして、万年筆は増殖する。