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なぜ私は離婚を踏みとどまったのか。

離婚したいと言われた夫さん(考える葦さん)とコメント欄でお話をしていて、私がなぜ離婚を踏みとどまったのか、ぼんやりと考えていたことを文章にしておくことにしました。私は「離婚したいと言った妻」ですからね。

なんとか離婚を回避しようとこれまでの自分を振り返る葦さんに、ちょっと切なくなりました。私の夫は、ここまで真剣に考えてくれたのだろうか。

葦さん夫婦は40代、私たちは60代と、親子ほど世代が違うし、育った家庭や社会人になってからの環境の違いも影響するので、夫婦の数と同じだけのケースがあり、同時に、夫婦それぞれの解決策があると思っています。​

◆わかっているようでわかっていない相手のこと
自分の未熟さに気づき、なんとか関係を修復したいと試行錯誤する葦さんと、私と同じような葛藤の経緯をたどって今に至った奥様。
だれもが楽しい結婚生活を送りたいはずなのに、わずかな誤解や行き違いが二人の間の溝を大きくしていく。それはどんな夫婦にも起こり得ることで、第三者が見れば元の良い関係に戻れそうなのに、なぜかうまくいかない。

「離婚したいと言った妻」であり、(今のところ)踏みとどまっている私は、この「わずかな誤解や行き違い」を解決することは一筋縄ではいかないと思ったり、実はとても単純なことなのではないかと感じたり、気持ちはずっと揺れ動いてきました。

そもそも私は、結婚について真剣に考え過ぎなのかも。友達に「お宅の旦那は、なんとも思ってないかもね。あなたが一人で悩んでるだけかもよ。」と言われたこともあります。価値観が違うと受け止め方も違うから、片方が深刻に考えていても、相手はそれほどでもなかったり。こうして小さなイライラが積み重なり、真剣に考えている側に大きな爆発が起こります。

私たち夫婦は、結婚3~5年目ぐらいから価値観が違い過ぎてもめることがあり、20年目ぐらいから違和感はどんどん膨らんでいきました。娘の進路や将来設計などについて考えることが多くなったからです。

それまでは夫の言動に驚かされることはありましたが、基本、夫は子育てや家のことに細かく口出しする人ではありませんでした。なぜなら、家を建てた時と同じで「黙っていても自分の考えるように妻がしてくれると思っていた。」からです。

夫は、自分の考えが常識だと主張します。私はといえば、普通に暮らしていたら自分と気の合う人に巡り合えると思っていたから、結婚相手と価値観が合うとか合わないとか、頭をよぎったこともありませんでした。家族にとって大切なテーマについて話し合う段になって初めて、相手への違和感がマックスに膨らんだのです。

娘の高校卒業が近づいて将来について考えることが増え、私と夫の行き違いは激しくなっていき、娘も「お母さんが辛かったら別れてもいいよ。私は大丈夫だから。」と言ってくれました。でも、別れなかった。

経済的には恵まれていたから、一人になると生活が苦しくなるかもという打算も働きました。暴力を受けていたとかではなく、考え方が合わないなどという理由は、私のわがままなのではないかとも思いました。

◆なぜ私は離婚を踏みとどまったのか。
少し霧が晴れたかと思えばまた先が見えなくなる。未だに気持ちが揺れ動くこともありますが、夫との暮らしの違和感がピークに達していたころに比べたら私も落ち着き、別れていない理由が少しわかってきました。

✅正反対の人間が一緒に暮らす意味
結婚するまで、私の周りには夫のようなタイプの人間はいませんでした。つまり、家族も友達も似たような考え方の人間で、それは心地いいけど偏った環境とも言えます。

だから、娘の言葉のように「世の中にはいろいろな考え方の人がいる」ということを私にわからせるために仕組まれた出会いだったのではないかと思うことがあります。同じような性格の男性と結婚していたら、私は高飛車で鼻持ちならない女になっていたような気がするのです。

✅夫が変わろうとしているのを感じる
根本的な性格は変わらないのでしょうが、2017年の大げんか以降、夫がものの言い方や一方的な考え方に気をつけようとしているのを感じます。幸か不幸か「すぐキレるけど引きずらない性格」のおかげで、夫は喧嘩しても数時間後には何もなかったかのように振る舞います。

本当に私の気持ちが伝わったのか、不安にはなるのですが、私も終わったことは流して、次に進むように性格を変えました。

✅愛ではなく情
これは夫婦の年齢にもよるでしょうね。71歳の夫をここで一人にして孤独死することを想像したら、可哀想だと思います。まあ、独身生活が長くて何でも自分でできる人なので、心配無用かもしれませんが。

夫は、友達が奥さんに先立たれたりしているので、男が一人残ると寂しい、という意味のことをぼそっと言ったりします。それに、夫が17歳で母親を突然亡くし、心を張りつめて生きてきたことも私の中で引っかかっています。

もうこうなると、縁あって関わった人に寂しい思いをさせるわけにはいかない、という情です。これが30代同士の夫婦だったら話は別で、少しでも早く別れて次の人生をスタートさせたほうがよい場合もあるでしょう。

◆離婚を回避したいときに一番大切なこと
私が夫とのやり取りから感じる、離婚回避で一番大切なことは「素直になること」。夫が2017年の大げんかで「定年後の生活が不安で八つ当たりしていたのかもしれない。それは悪かったと思う。」と初めて認めた時、やっと気持ちが通じたと感じました。

夫にすると、自分の過ちを認める=負け=弱い人間 であり、相手に馬鹿にされると思っていたのです。
そんなことはない。自分の未熟さを素直に認め、変わろうとする人は、強くて心に余裕のある人であり、愛おしくさえあります。

私も素直になれなくて、私の未熟さが夫のイライラを刺激し、火に油を注いでいることもありました。お互いが素直になって落ち着いて話をすれば、問題はそれほど複雑ではないのかもしれません。

誤解や行き違いで日々のイライラが募り「離婚をしたいと言った妻」は、自分のご機嫌をとってほしいのではなく、「夫婦で普通に穏やかに日々が送れるように気を配っている夫」「自分のことを気にかけてくれている夫」が少しでも感じられれば、それで十分な場合もあるのではないでしょうか。もちろん、妻も夫のことを気にかけて。

困難な問題から逃げると、その人の中で腑に落ちるまで(解決し、学ぶまで)同じ問題が繰り返されるというのは、本当です。逃げないで最善を尽くしてうまくいけば、人として、夫婦として、ステージアップですね。

最善を尽くしてもうまくいかなければ、別の道を進むのもありでしょう。
でもそれは最後の手段。残念な結果になっても、相手を思い離婚を回避しようと努力した時間は、のちの人生をきっと豊かにしてくれるはずです。














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