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読書好きの謎行動「積読」は恋の味

本が好きな人におおよそ共通する文化があります。本を買っただけで読まずに積んで置いておく「積読」です。読み方は「つんどく」。「読まないんかーい!」とツッコミたくなるこの状況をダジャレで表現した言葉です。

積読は、様々な著名人たちが肯定的に言及しており、すでに市民権を得ています。「積読は立派な読書の形態だ」などという無理筋な主張も、読書好きには好意的に受け入れられている模様。

本が好きじゃない人から見ると、本を買って読まないという行動は、「もったいない」の一言ではないでしょうか? そして、「本を買ったのに読まないって、ほんとは本なんか好きじゃないんじゃない?」「インテリぶってるだけじゃない?」などと疑いたくなるのではないでしょうか?

しかし、積読は、本が好きだからこそ成り立つ楽しみです。

だって、本が好きじゃないなら、読まない本が積んであったら、不快でしょ? 読まない本を積んでいる自分に自己嫌悪でしょ?

本が好きだからこそ、「そこにまだ読んでいない本が積まれている」という状況に心を弾ませるのです。

読みたい本が多すぎて追いつかないっていう理由ももちろんあるんだけど、その本たちにウキウキしていることが、積読が積読たる理由です。


積読は、「恋が始まる直前」と、とてもよく似ています。

片思いにドキドキしていたら、なんとなく「両想いかもこれ」とお互いに気づいて、お互いが気づいていることにもなんとなく気づいていて、ライトなデートをしているけれど、どちらもまだ告白していない、あの、なんともいえないスイートタイム。

恋愛の中で「いちばん楽しい期間」との呼び声が高い、あの時期です。あれに積読は似ています。

「この本を読みたい」と思っているときは片思い中。手元に来たら「まだ正式にお付き合いは始まっていない」っていうスイートタイムがスタートします。

読み始めたらお付き合い開始なんだけど、付き合ってみたら「思っていた人とちょっと違った」「期待したのとちょっと違う」「前は好きだったけど今の私はこの人あんまり好きじゃない」なんてことはよくあること。やっぱり、恋が始まる少し前が一番ウキウキだと思います。本も同じです。


現実の恋とは違って、積読は相手から告られることがありません。だから、自分が満足するまで、「恋が始まる少し前」を楽しめます。わざと積読期間を長く楽しむのも自由です。

積読は、スイートな恋の味。

この感覚、きっと、積読好きには共感してもらえるんじゃないかなぁ。