1時間だけの非日常をあじわう旅
わたしは、小さな頃から美術館に連れて行かれていた。母が絵画を好んでいたからだ。おかげでわたしにとって、美術館はこころの栄養を与えてくれる楽しい空間になった。
この記事は、美術館という空間に没入することで、日常を忘れてちょっとした旅気分になった話です。旅行に行く時間がない、お金がない人でも自分の好きなものに会いに行くことで、旅行の疑似体験ができるかも? と思っていただければ幸いです。
今回、福岡アジア美術館に初めて訪れた理由は、ごくシンプル。ありがたいことにチケットをいただいたから。どのような美術展だったかというと
すごく興味深いタイトルで!!
『超絶リアリズム絵画 ー時を奪う絵画ー』
ホキ美術館所蔵名品展
(ホキ美術館は千葉にある。写実の殿堂の異名を持つ)
『超絶』ですよ。本当かな? って、疑いますよね。でも! 実際に体感すると本当に時を忘れるような、そこに居合わせたような感覚に、こころがバグってしまった。
とりあえず、一言で表現すると
「写真やろーーー!」です。
女性がすぐそばに、存在しています!
だが、よく見ると筆のタッチが見える作品もある。絵の具の種別は油絵が多かった。わたしは、先述の通り美術館で絵画鑑賞をするのが好きな方なので油絵の表面がどのようなものか、知っている。展示作品は、驚いたことに角度を変えて見ても独特な筆の跡が目立たないものがほとんどだった。
鉛筆、色鉛筆で書かれた風景画、きれいな花と愛猫、水の中にハマってしまった若い女性。どの作品も髪の一本一本、猫のふわふわした毛並み、バシャンと跳ね上がった水が現実を切り取った写真にしか、見えない。
作品の傾向としては、女性をモデルにしたものが多かったが
”リアルな生きている人間"が
大きなキャンバスに描かれていた。
特に注目したところは、耳の表現。大きくなく、自然に在る顔のパーツ。中の形もひとつとして、同じものがなかった。顔のパーツでいうと、瞳の様子も超リアルだった。まぶたのしわや膨らみ、まつげの生え際の感じがすごい。あの表現は、モデルの人と至近距離で対峙しなかったら、描けないのではないだろうか。
絵の世界に入り込んだような錯覚を何度も体験した。中には、写実と空想を合わせたような個性的、かつ印象に残る作品もあって見ごたえは抜群だった。
『幻想ロブスター』の題目、この作品は、細かな描写がリアルすぎて気持ち悪くなりそうだ。ただ大きいだけでなくつややかな照りぐあいが立体感を醸し出している。印象としてはこの画家の作品は、甲殻類が多いということ。カブトムシとクワガタの標本の作品も浮き上がって見えて、ちゃんとピンも確認できた。
風景画ですごかったのは、古い大木と周りの植物が描かれた絵。葉っぱがリアルすぎて、絵に近づくとそのまま、森に入っていけるようだった。歩くとかさっと、草の音が聞こえてくるよう。ドラえもんの「どこでもドア」がそこには存在していた。
一時間あまり、展示を見たあとは、併設のお土産売り場で作品のポストカードや画集を見て楽しんだ。本物を見たあと、小さなポストカードになった作品は、全く物足りなくて購入はしなかった。
会場を出て、ちょっとお手洗いに。美術館らしい子ども用のトイレがすてきだった。まるで幼稚園や保育園のトイレでここなら、独りで用を足すのが楽しくなりそう!
【おまけの旅気分♪】
美術館から出ると、かわいい二人がちょこんと立っていて、写真のお供に人気だった。
「たのしかぁ!」ってww
博多の人は、あんまり言わないと思うけどなぁ。ま、福岡感です。
夕暮れがせまってきていたが、帰りにパワースポットへ。
お櫛田さんに寄り道して、お参りした。
(たくさんの人が喜ぶ、記事がたくさん書けますように。それから、報酬もついてきますように。)ー切実な祈り!!ー
敷地の中には、山笠の山車も奉納されていていつでも、その姿を見ることができる。(山笠は人手が多く、体験したことはないです。)
娘と二人で出かけると寄り道したいムシが、蠢き出す。
「やばい、早く帰らなきゃ。」
「ここにいてはいけない! 灯りがともりだす。」
わたしたちは、人の流れと反対方向に急ぎ足で移動する。
話し言葉が分からない、異国からの客人が、次々と福岡の地で美味しい料理や美酒に浸る時間。
ちょっとした、映画の中のひと場面を感じながら、わたしたちの小さな旅は幕を閉じた。全3時間あまり。日常から離れた時間は、充分に気持ちを切り替えるきっかけとなった。たくさんの芸術をインプットできた、満足。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。こだわりがあるかどうかは、分かりませんがこんなちょっとした旅の記録もいいなと思っていただければ幸いです。
※文中の絵画作品は、フォトコーナーで撮影したものです。
#私のこだわり旅
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