『ファーザー』認知症をテーマにしたエンターテインメントー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(1)
『ファーザー』見てきました。
「これは絶対に面白いはず」という私の直感は当たりました。
久しぶりに凄い映画に出会うことができて興奮しています。
この映画のテーマを一言で言うならば<認知症の父親とその娘の葛藤>ということになります。
でも、この映画はたんに認知症を取り上げた社会派ドラマでもないし、お涙頂戴の涙腺刺激映画でもありません。
この映画の凄さは認知症の父親の頭の中をわれわれ観客が「体感」できるところにあるんです。アレッ?ちょっと待てよ?えっどういうこと、と見ている自分自身の混乱が、そのまま父親の頭の中と同じだと気づいた時に・・・。
つまり、認知症が「腑に落ちる」んです。
そうか、そうだったのか、と。
これ、じつに気持ちのいいことでした。
ネタバレにつながるかもしれないのでここまでにしておきましょう。
アカデミー賞を取った主演のアンソニー・ホプキンスは素晴らしい!特にラストの演技は圧巻です。すごい役者です。
でも、娘役のオリビア・コールマンも負けす劣らずいい!この二人の演技を見るだけでもお金を出す価値あり、です。
私は自分の父親の現在と重ねながら見ていました。父親の辻褄の合わない言動や行動が「そうだったのか!」とパズルのように解けていきました。
なお、テーマがテーマなので不謹慎な表現かもしれませんが、この作品はエンターテインメントとしても一流の映画だと思います。
つまりは面白い!ってことです。