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『水曜日が消えた』サイコサスペンスに見る人格尊重の判断ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(10)

この映画をひと言で紹介するとしたらサイコサスペンスと言えばいいのかな?(以下、ややネタバレあり!ご注意を)。

中村倫也が演じる主人公はいわゆる多重人格者。火曜日しか目覚めません。同じ肉体を持ちながら、残りの月・水・木・金・土・日は別の人格が人生を生きています。

こうした時間の感覚を超越してストーリー展開するのは映画の最も得意とする表現形式だと思います。

実際、見ていて時間が跳んだり、往復したり、繰り返し過去の記憶が蘇るところにこの映画の面白さがあります。

この混乱した時間感覚の中で人生を過ごしている主人公に感情移入して、こちらも右往左往しちゃいますね。

ある日、主人公はなぜか火曜日だけでなく水曜日も同じ人格で生活できるようになります。この時のセリフが唸ります。 

「1週間に2日過ごせると人生が変わる」

確かに2日あれば夜が自分のものになります。そして、お泊りできます。別の場所へ移動して(つまり旅行ですね)そこで朝目覚めることができます。

ナルホドです。人生の基本単位は1泊2日だったんです。

すごく新鮮なセリフでした。

ただ、私はこの映画のラストには納得できないものがありまして…。

ネタバレになるのであんまり詳しくは言えませんが、自己の人格の尊重と他の人格の尊重はどちらが優先するのか?というかなり袋小路的な決断がアタマの中をバタバタします。

納得してグッスリ眠れるか、納得できずモヤモヤするか、アナタ次第です。

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