『男はつらいよ 寅次郎春の夢』日本人のアメリカ観満載の笑いー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(4)
ウチには『男はつらいよ』シリーズが全部入ったDVDがあります。これを数年前から第1作から順番に見てるんですが、現在折り返し点を回ったところで、この第24作「寅次郎春の夢」(1979年)をご紹介します。
この作品は寅さんでは異色作(?)。準主役がアメリカ人。その名がマイケル・ジョーダン(ハーブ・エデルマン)。ちなみにあのNBAの大スター選手だったマイケル・ジョーダンがシカゴ・ブルズに入団したのが1984年ですから、まったく関係はないということですね。
この回も寅さんシリーズの「おきまり」はちゃんと楽しめます。帰ってきた寅さんが機嫌をそこねる、大喧嘩が始まる、プイっと出ていく・・・そしてマドンナへの片思い(今回のマドンナは香川京子)。
「おきまり」の笑いに加えて、今回は日本人のあるあるアメリカ観が満載でこれも笑えます。ややネタばれになりますが、少々ご紹介。
寅さん「アメリカ?俺はアメリカ大っ嫌い。考えてもみろ、黒船が頼みもしないのにやって来て、無理やり開国させられたんだぞ。じゃがらたお春、唐人お吉、蝶々夫人・・・これまで日本の女がどれほどアメリカ人に泣かされてきたんだい」 おばちゃん「いつもサンキューって言ってくれてうれしいね。アメリカの女がうらやましいよ。それに比べて・・・」 タコ社長「アメリカにも貧乏人はいるんだねえ」 御前様「さくらさん、あんた成績がよかったろ。中学校で英語を習ったはずじゃなかったかい。どうして通じないんだ」(これは日本の英語教育への皮肉?)
アメリカ人や英語への日本人の劣等感が垣間見えるセリフにやや自虐的に笑えます。ただし、これは40年前の映画ですから、今の若い人はこれらのセリフに?かもしれません(セリフは正確ではありませんのでご了承下さい)。
でも、この対アメリカ・英語の最後はニッポンチャチャチャでなかなかいいラストです。日本人の相手の気持ちを察する心と相手をおもんばかる心、控えめにそれとなく伝える・理解する奥ゆかしさー日本人のもつ情緒のある生き方のよさに気づかされるんです。
寅さんはさくらに言います。「あいつらは日本人のようにはできないのよ。だからよ、さくら。わかってやれよな」
何をわかってやるのか? それはこの映画をご覧下さい。
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