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現場教師に学校事故裁判の研修を!・小さな教育情報

季刊『教育法』(エイデル研究所)の2021年冬号・NO211に上記の記事が掲載されていました。

タイトルを見れば「大川小児童津波被災事件」に目を奪われますが、私が気になったのはもう一つの「授業中の交通死亡事件」の方です。

ここで紹介されているのは、平塚市の小学校校門前で起きた痛ましい交通事故です。しかも加害者が早退する児童を迎えに来た同級生の保護者であるという辛い事例です。

判決結果のみ記せば、図工の担当教諭と保護者の過失を指摘し市・県・保護者による連帯損害賠償責の支払いを命じています。なお被告は控訴してません。

私も担任時代、国語の時間にクラス全員を近隣の図書館へ連れ出したり、保育園で人形劇をしたいという子たちや地域の危険箇所を調べて区役所へ行くグループを引率したりしました。

途中、思い出すと今でも背筋がヒヤッとする場面に遭遇したことが何回かあります。この記事を読んで思い出しました。もし運悪く最悪の事態となっていたら…私の教師人生、いや人生そのものが辛く苦しいものになっていたでしょう。

私は定年前の10年間は担任ではなく児童支援専任という仕事をしていました。これを担当していたおかげで「学校事故」に関する法律の専門家の研修を複数回にわたり受ける機会があり、その時にいじめ裁判の事案や幼稚園バスによる園児の事故、遠足時の死亡事故事案などを学びました。

裁判判例を知ることは単に「事故を起こさない」ようにということだけでなく(無論これは何より大切なことですが)、その指導におけるいわば重要ポイントを学ぶことができます。もちろん、教師自身の社会的立場や教師人生を棒に振らないためにも大事な知識です。

遠足事故に関連して言えば、
①必ず下見をしなければならない
②児童の活動範囲内の安全確認
③安全指導のハード面(明確な範囲の設定)とソフト面(危険をどのような言葉で伝えるか)
④校長へ提出する校外学習計画の書式設定にもれはないか
などです。

また、幼稚園バスによる園児死亡事故事例ではたとえ完璧でなくとも、とにかくマニュアルを作成しておくことの重要性を学びました(上記の4点についても文章化されたマニュアルがあるか、単なる習慣なのかで裁判の判決は天地ほどの差が生まれます)。

「何だそんなこと当たり前だよ」という学校は大丈夫です。しかし、意外にこういったことがマニュアル化どころかルール化されていない学校があるのを私は経験しています。校長にこれらを職員に徹底すべきだと口酸っぱく言っても「心配しなくてもいい」「そこまでしなくてもいい」の一言で無視されたこともあります。「下見なんかしなくてもいい」という校長もいました。太っ腹を気取っているのです。最低です。
 
自分が校長として責任を取るつもりならそれそれでいいが、事故に巻き込まれた児童と保護者、そして一生十字架を背負うかもしれない教員のことを考えていないのです。

ぜひ職場で学校事故裁判の判例を学ぶ研修をやりましょう。いい意味で職場に子どもたちのためにしっかり指導しようとする引き締まった雰囲気が生まれるはずですーこれも私は自分の職場で経験しています。


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