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地域を巻き込んでサードプレイスをうまく運営するにはどうしたらいいか?

サードプレイスとは、家庭でも職場でもない、とびきり居心地のいい場所を指します。オルデンバーグが1989年に提唱しました。

私が所属する石山ゼミではこれまでもさまざまなサードプレイスに足を運び現地で学ばせていただきましたが、今回は青森にあるHLS弘前へ。石山先生や修了生を含む有志21名でお邪魔しました。


HLS弘前について

HLS弘前を立ち上げたのは辻正太さん
辻さんがHLS弘前を立ち上げるきっかけになったのがこちらの記事でした。

2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう

キャシー・デビッドソン(米デューク大学の研究者)

これからの社会に求められる力を学校の中だけで育むのは無理があるのではないか?
答えのない問題に立ち向かう力をつけるにはどうすればよいか?

辻さんは教員を辞め、関東地方から妻の実家のある青森の地へと移住されました。

HLS弘前では弘前大学の学生を巻き込みながら、コラーニングスペースの運営やワークショップの開催、行政や学校と協業したインターンシップ事業などを行っています。


医カフェについて

また、弘前大学医学部生の発案から生まれた通称・医カフェについても立ち上げメンバーの白戸蓮さんよりお話を伺う機会もありました。白戸さんは現在は研修医となり運営の主体は学生に委譲されていますが、創業当時の想いやノウハウを伝えるために医カフェに関わり続けていらっしゃいます。

白戸さんが医カフェを始めたきっかけは、医学部での受動的な学びへの疑問からでした。加えて、自分たちがこれから医療で貢献しようとしている「地域の人々」の顔が見えないことも気にかかっていました。

もっとクリエイティブに。

そんな思いをエネルギーにアイデアをまとめ、辻さんからときに厳しいフィードバックももらいながら、「ネット検索以上、病院未満の場」である医カフェは誕生しました。


地域を巻き込んでサードプレイスをうまく運営するにはどうしたらいいか?

辻さん・白戸さんのお話を聞いたあとのグループ・ディスカッションのテーマは「地域を巻き込んでサードプレイスをうまく運営するにはどうしたらいいか?」。

以下、私たちのグループにおけるディスカッションを中心にまとめてみます。以下、30分ほどで考えた内容なので不足点はご容赦ください。


私たちはまず、「うまく」について定義してみることにしました。

私たちなりの「うまく」の定義

①お金が回る
②一緒にやる人のビジョンが一致している
③来る人の多様性を楽しむ

HLS弘前や医カフェは物理的な「場」が重要な役割を果たすため、家賃などの固定費を払い続けるためにも①は重要です。

しかし、資金繰りがうまくいけば良いというものでもありません。

私たちのグループには東京でサードプレイスを運営しているゼミ生がいて、その方の経験から、メンバーとリーダーのビジョンが一致しており、メンバーが活動にコミットメントする、という点も重要であると考えました。
コミットメントといっても表面的なものではなく、メンバー一人ひとりとの対話を通じて「本人がここで本当にやりたいこと」を炙り出し、そこにコミットメントしてもらうようなイメージです。
そうしないと「使う・使われる」といった心理的な上下関係が発生し、メンバーが指示待ちになって結果的にリーダーが疲弊してしまうのです。

加えて、利用者にはいかに気軽に来てもらえるかを考え、場を設計する必要があると考えました。


続いて、本題の「地域を巻き込んでサードプレイスをうまく運営するにはどうしたらいいか?」について考えます。
しかしこのお題は本当に難しい……。

とっかかりとして、辻さん・白戸さんや、これまで訪問したサードプレイスの仕掛人の皆さまのお話を思い出し、実際の行動をまとめるところからやってみました。


地域の方々とつながりや巻き込むための実践

  • 紹介されたらどんどん人に会いにいく

  • とことん飲みにつきあう

    • 関わる時間を増やすことで親近感を持ってもらい協力してもらいやすい関係をつくるために

    • 次第に地域のリーダーとリーダーをつなぐ役割を担うようになる(地域の重要な点と点をつなぐ)

  • 地域の権力者にはすぐには会いに行かない(上記のように紹介されたタイミングで会いにいく)

    • 上下関係を持ち込まないために

  • 場づくりに最初から関わってもらう(地域の人に頼る)

    • 自分たちで作った場であるという愛着を持ってもらうために


サードプレイスで行われるイベント企画

  • 多様なプログラムを用意して、利用者の交流の場を創出する

  • いつもこの時間に行けば誰かがいる、という場を作る

    • 例:毎週◯曜日の6時から朝活をやっている 等

  • 利用者から主催者への役割の移行がある

    • 主催者を経験することで、よりこのサードプレイスに主体的に関わる気持ちが増幅される

  • 大学生を巻き込む・教育の場にする

    • 学校では得られない体験を通じた学びの場にする

    • 若者は一度は県外に出るかもしれないが、本人にとって良い体験をした場合は「戻ってくる場」にもなり得る


お金の面で「うまくやる」には?

……これが一番難しかったです。

  • 大きなお金は企業・組織からいただく

    • お金だけでなく、人も提供してもらえるように(地域やサードプレイスを活用した研修の場にする等)

  • 一般利用者からは少額だがサブスク的にいただく

    • 利用者にメリットを生む工夫が必要


正直、サードプレイスの仕掛人の皆さまが実際に行動されている以上の答えは生まれませんでしたが……。
それでも、学びを整理する時間となりました。


所感・まとめ

健全に場を運営していくために、あらゆる関係性において「フラット」であることは重要ですね。
また、お互いの興味・関心について対話する時間も同様に。

今のところ、私が思う「サードプレイスの運営」とは。
フラットな関係性を維持しつつすべての関係者の主体的な行動を引き出すために、各人の興味・関心にドライブをかけていくようなイメージを持ちました。


最後に、辻さん、白戸さん、貴重なお話をありがとうございました。また、辻さんには勉強会のあと、弘前の素敵な場所をたくさんご案内いただきました。本当にどうもありがとうございました!

勉強会終了後、HLS弘前にて撮影


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