戦術の西欧化を図る中国軍?
中国政府がイギリス軍の退役パイロットを大金でヘッドハンティングして、彼らから学んでいるのではないかというニュースがありました。
中国軍の先生はロシア軍(旧ソ連軍)といわれ、その軍事ドクトリン(基本原則)もロシアのものに準じていると考えられていました。
そのロシアの軍事ドクトリンは、ウクライナ侵攻によって「かなり陳腐化している」事が明らかとなりました。
現代の陸上および海上における「戦闘」において、空軍が果たす役割は非常に重要と考えられており、米政府は空軍戦力の能力向上に莫大な投資をおこなっています。
上記のような状況を中国政府と軍の首脳が見た時に、「ロシアのドクトリン駄目じゃん」と危機感を募らせ、密かに欧米の退役軍人を集めてドクトリンの近代化を図るんではないか(そうなったら面白い)と思っていたところでした。
そして、中国は上記のニュースによると、ヘッドハンティングを始めたのは2019年(コロナ渦が本格化する1年前)からのようなので、中国政府の危機感はもっと深いところで深刻であったようです。
お金で釣られた退役軍人とはいえ、「いわゆる軍事秘密」を容易に漏らすとは考え難いですが(そう考えないと、もらったお金を祖国へ持ち帰って安からな老後を暮らす事は難しくなりますが)、軍事指導書を読めば書いてあるような「組織の編成方法」、「作成の立案と運用方法」、「物流組織の構築と運用」や「作戦に関する常識」のような一般的な情報も、退役軍人という「看板」によって受け入れやすくなるのではと思います。
また、国家主席の習近平は前の任期中に人民解放軍の組織改変を強行し、悪弊たる老人たちを一掃してしまったので、組織内の抵抗勢力は弱まっており、軍組織そのものや軍事ドクトリンの西欧化(近代化)はやりやすい状況にあるのではないかと思います。
10年くらい以後の将来、中国軍が陸上か海上で米軍と数ヶ月以上の「紛争」を行う事になった場合、「所詮はロシアの二番煎じ」とは言い切れない事になっているかもしれませんね。