見出し画像

24.辛さでドーピング⁈私の『介護の友』

コロナ禍に入り、晩年のばあちゃんの介護は、年に2〜3回程度となりましたが、その分、こちらの負担も増え出しました。

一番はトイレの介助。
人間である限り、食べて出すは基本中の基本ですからやらねばなりません。
ばあちゃんは、2度目の脳梗塞で排泄関係の機能が低下してしまったので、それからオムツとパッドは必須でした。
本人のプライドは許さなかったでしょうが、これらのおかげでとても楽でした。
ちょっとだけお漏らししてる程度なら、パッドを変えるだけでしたし、パッドも自分で取り替える意思もありました。

ただ、大腸がんの手術後辺りからは、大便をしている感覚が、本人曰く「ない」だったようで、お尻を拭いてあげてる途中でまた出るなんてこともありました。
そのため、拭いても拭いても間に合わず、トイレットペーパーを大量に使う羽目になりました。
そこで、自宅で使わなくなったタオル地のシーツを切ったものを大量に持ち込んだり、ばあちゃんの使わなくなった綿の下着をカットして、ポットのお湯で濡らして拭いてあげることにしました。
最初は時々、冷まし方が足らず、ばあちゃんを飛び上がらせることもありましたが、慣れてくるとこれはなかなかいい感じで、私も拭いてあげながら、「自分天才かも…」と心の中でニヤリ。

もちろん大便ですから、かなり臭います。
トイレのドアは開け放っていたので、家中が臭っていたかもしれません。
それは、亡くなって2ヶ月ほど経った今でも、なんとなく臭いの気配を感じる気がするぐらいです。

よく赤ちゃんがオムツを交換し終えた途端に、うんちをされてママがっかり…なんて話を聞きますが、ばあちゃんだって交換したパッドとオムツを履かせた瞬間に「ぶぅ〜」とオナラの音と共に臭いがして即交換なこともありました。

やること自体は嫌じゃないし、周りに感謝されているのはわかっていても、ばあちゃんが作ったおかずを食べてくれなかったり、ワガママ言われてなんかこうイラっとくることなんてしょっちゅうでしたから、やらねば任務だとて拒否したくなる日もしばしばでした。

そんな時は、近所のスーパー内のパン屋さんで売られている『旨辛スパイシーチキンオブフィレ』を買い、夕ご飯に食べていました。
飲酒は15年以上前にやめ、元々嫌いだから喫煙もしない私にとって、これは食べ物ではなくて嗜好品。
パンに挟まったむせる程にスパイスが利いたチキンを頬張ると、ドーピングしたかの如くやる気が出て、ばあちゃんのトイレ介助もお尻拭きもなんのそのになった強い味方でした。

この前、久しぶりに買って食べたらやはり美味しかったです。
けれども、介護するばあちゃんがいない今、今ひとつやる気スイッチとしての役目も終えてしまったようで、普通に辛いチキンでありました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?