34.大腸癌手術後の排泄介助、使えるものはなんでも使う!
ばあちゃんは2度目の脳梗塞で倒れてから、本格的に紙おむつ利用となりました。
うまく説明できないけれど、それまでは多少の粗相はあっても、まあなんとか自力で排泄の制御もできていたのですが、2度目の時に排泄するために使う脳の部分が、病気発症となっていたようです。
本人にしてみれば、かなり屈辱的なことだったのではないかと思います。
そのため、リハビリをかなり頑張っていたようで、しばらくの間は、トイレも自分で行けており、紙おむつに尿漏れパッドを重ねるなどは自分でできていました。
自宅の寝室に、ポータブルトイレを置いて、夜中はそこで排泄もできていました。
この辺りはひとつひとつ、話したらキリがないので、少しずつ話していこうと思いますが、今回はこれを。
私が見守り介護する時は、トイレへ行くまでの移動見守り、ズボンや紙おむつの上げ下げをしてあげることが基本。
「便が出ない」
そう言っていて、どちらかというと便秘気味だったばあちゃんは、常飲薬に『カマ』という便秘薬があったぐらい、一度トイレに入るとかなり気張って、大便を出していました。
ところが、だんだん高齢になってきたことや、95歳の時の大腸癌手術後からは、大便した後に拭いてあげることも日課になりました。
なぜかといえば、本人が無意識のうちに、ボタボタと便が漏れるようになり、「出た」と言われて、トイレットペーパーで拭いてあげようとすると、まだ出ている途中ということが増えてきたのです。
「ばあちゃん、まだうんち出てるよ!」
「そうかや?う〜ん…わかんね」
「ゆっくり入ってていいから」
トイレにいてもらうと、その間は家事に専念できるので、面倒くさがりな私は、ラッキーとばかりに長いこと、トイレに座ってもらいました。
しかしながら、拭いてあげるたびにペーパーに便がつくし、そのために毎回毎回ぐるぐる使うのももったいないので、使わなくなったシーツなどを小さく切ったウエスを、家から持参してお湯で濡らして拭いてあげることにしました。
甥っ子姪っ子の子守りでおむつ替えしていたことが、ここで活かされました。
ポットのお湯で濡らして、適度に冷ましてから拭いてあげると、きれいになるので私自身も紙おむつを履かせるのが楽でした。
時々、冷まし足らず、ばあちゃんが熱くて飛び上がることもありましたが、文句言われなかったので、やり方は間違っていなかったんだろうと思います。
でも、赤ちゃんのように拭いた途端に出た!
そんなことも多々あったので、何回も拭き直すため、あっという間にウエスが終わってしまいました。
そこで使い始めたのが、ばあちゃんが元気だった頃に使っていた木綿の下着。
おしゃれ番長なばあちゃんは、下着もたくさん、タンスいっぱい持っていました。
実はこの時、余命半年と言われたにもかかわらず、その余命をガンガン更新している時期でした。
でも、本人が今後、紙おむつ生活のまま、一生を終えるならば、このパンツは2度と使われることはないのだったら、本人のために使ってしまおうという訳です。
もちろん本人は、自分のパンツでお尻を拭かれていることは知りません。
このパンツが大きさも素材も、お尻を拭いてあげるのにちょうど良かったのです。
結局は、半年の余命を2年に伸ばしたところで、ばあちゃんは亡くなったので、パンツは使い終えませんでした。
でも、本人のパンツをお尻拭きにしたアイデアは、我ながら天才的発想の転換だったなぁ〜と今でも思います。
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