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16.都会の書店ソロデビューの日♪
私は幼い頃にテレビドラマ『オズの魔法使い』を観た以降、ずっと『オズの魔法使い』が大好き。
そういえば、父に頼んで赤と青のセロファンでテレビが立体に見えるメガネを作ってもらったのは、ネット検索したらあの番組だったなと思い出した。
そんな私が「『オズの魔法使い』に続編がある」と知ったのは高校3年生の時。
勉強は苦手だったけれど、読書は好きだったので入り浸っていた高校の図書室。
「なにこれ?オズの魔法使いのニセモノ?」
そう思ったのが始まり。
それは卒業も近くなった冬のある日。
今でいうラノベには興味なかったので、近づかなかった文庫本用の回転書棚をなんとなく眺めていて見つけた。
手に取ってみれば、それはハヤカワ文庫から刊行されている正真正銘作者のライマン・フランク・ボームによる物語だったので、私は借りられだけ借りて読んだ。
しかし、見つけた時期が時期だったことと、まだ刊行途中だったので結局、途中までしか読めなかった。
「続きを全部読みたい!」
そう思ったけれど、高校卒業してすぐに就職した自分にはそんな余裕がなかった。
しばらくして、たまたま入った書店で「そういえば…」とふと思い出して、文庫本コーナーを見ると何冊か置いてあったので、全部購入した。
今からでも全部読もう!
そう決めて、ありとあらゆる地元書店のハヤカワ文庫コーナーを巡ったが、シリーズ4〜5作目以降がどうしても見つからない。
田舎の書店は、流行している本はたくさん並ぶが、刊行してから数年経過しているような本はあっという間に消えるから仕方ないんだけど。
はてさてどうしたものかと悩んでいた時に、東京の大学へ行った同級生の話を思い出す。
「本好きなら上京した時、リブロ行ってごらんよ」
その言葉を頼りに私は1人で電車に乗り、池袋のリブロへ行った。
初めて訪れたリブロは、本屋さんというには広過ぎた。
図書館みたい…でも、全部ここの本は買えるのだ。
電気が点いているのに薄暗く、そして人がたくさんいてワサワサしてるのに静か。
季節が冬だったと記憶しているので、今思うと厚着だったからだと思うけど、顔はかなり上気して頬がぽぉっと熱かった。
東京の大きな書店に1人で来ている高揚感もあったと思う。
とにかく本が多いので、あちこち目移りしながらも、私は文庫本コーナーへ辿り着き、そこでもまたあちこち目移りしながらハヤカワ文庫コーナーを探した。
薄暗く感じる店内で、ハヤカワ文庫コーナーのそこだけがほんわり明るく光って見えた。
地元のあちこち探しに探して、見つけられなかったオズシリーズが並んで鎮座していた!
自分が持っていない本を、全部書棚から抜き取る。
たくさんの本の中、そこだけ空間が生まれた。
その空間にニヤリとして、いそいそとレジに持っていたあの気持ちは今も忘れない。
そして、それは初めて1人で行った東京の書店で、リブロが私の【都会の書店ソロデビュー】だった。