21.カエルの子はやっぱりカエル。でも孫はカエルにあらず?
ばあちゃんには困った癖がありました。
何かといえば、お金払ってきていただいてるヘルパーさんに頼めばいいものを、来る前に私に頼むこと。
例えば、これからヘルパーさんが来るから、見守り介護で泊まっていた私が家に帰るというところで、いきなり呼ばれます。
「むーちゃん、あのさぁ〜」
何事かと玄関から戻ればひとこと。
「ヘルパーさん来るから、ゴミ捨てといてくれ」
「ハぁぁぁぁっ!私これから帰るんに!何のためにヘルパーが来るん!ヘルパーさんに捨ててもらえばいいがね!」
なぜかヘルパーさんに頼まず、私に捨てろと言うのです。
「だって!悪いがな」
「いや、あの人たちはそれが仕事!」
手伝いに来てもらう仕事の人に対して、なぜ、悪いと思うんですかねぇ…。
これは母姉妹もそうで、掃除などをサポートしてもらうために、ヘルパーさんを呼んでいるにも関わらず、ポータブルトイレを含めたトイレ掃除なども、ヘルパーさんが来る日でも、来る前に済ませていました。
「なんのために頼んでん?仕事なんだから掃除してもらえばいいじゃん!」
そう何回言っても変わりませんでした。
もしかしたら、母親のトイレ事情を他人に見られたくないという気持ちだったのかもしれません。
けれど、孫の私にしてみたら「疲れた〜」とボヤいて、嘆息している我が母を日々見ている訳ですから、本当に意味不明の行動でした。
カエルの子は、やっぱりカエルです。
元々身だしなみにうるさいばあちゃんは、他人にはなるべく頼りたくない弱さを見せたくない人でした。
母姉妹はかなりこき使うけれど、ヘルパーさんには基本的に優しく接していました。
ばあちゃんのところに来るヘルパーさんは、きっと楽ちんだったと思います。
結果的に、面倒臭いことはできる限りすべて、ヘルパーさんにやってもらえという私の意見は通らず、私も母姉妹がいなければ、同様にばあちゃんからあれやこれやと頼まれる訳です。
私はカエルの孫なので頼まれても、「そんなんヘルパーさんに頼めばいいが!」と逆らうため、ばあちゃんは怒ります。
「おかあさんな、どーちゃらこーちゃら…!」
この場合の「おかあさん」は、ばあちゃん自身のことです。
興奮したり感情的になると、私を母姉妹と混同するらしく、よくそう言っていました。
「三女じゃね〜し!私は孫だから、お母さん達と違って面倒臭いのはやらないよ!ヘルパーさんに頼んでください!」
私もこのように応戦していましたが、そのうち面倒臭くなり、見守り介護で泊まった日は、帰宅前にヘルパーさんにして欲しいことを全てメモ書きで置いておくことにしました。
こんな簡単なことに、なぜすぐ気付かなかったのかが悔やまれるほど、快適となりました。
だって、ばあちゃんに何か頼まれたら、その瞬間にメモ書きして「じゃ書いとくね。今日はヘルパーさんにやってもらって」と逃げられるようになりましたから。
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