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36.戻ってくる予定で貼ったけれど…

ばあちゃんが亡くなる1年前、私以外の人間が迎えに来る施設の担当者さんたちに対応する際にわかるよう、玄関にこんな貼り紙をしました。

ここから先は、祖母が亡くなる約1ヶ月前に、私がFacebookに投稿した文章を加筆修正したものです。


もうすぐ97歳のばあちゃん。
今後はおそらく、自宅に戻ることはないだろうと、レンタルしていた介護用ベッドを返却する。

去年の今頃までは、ヨロヨロしつつも歩けていたから、デイサービスの人が迎えに来る時は、ちゃんと靴を履かせて送り出していた。
靴を履かせる際に必ず、ばあちゃんが下駄箱に手がかけられるよう、下駄箱に向かい合うように靴を置いていた。
玄関ドアを正面と考えた場合には、靴がプイッと横向きになるため、皆さん、わざわざ玄関の方…正面を向かせてしまう。
それはばあちゃんが履きにくい向きで、結局、私が元に戻す羽目になったり、私がばあちゃんを支えてる時は、施設の人にやってもらうので、玄関に手を置いたまま、プルプル立っているばあちゃんにも負担がかかる。
そこで、少しでもみんなの手間が減るようにと、貼り紙を書いたのだ。
書いたあとすぐ、歩行困難になっちゃって、役に立つことなかったんだけどね。

もしかしたら私は、人間が高齢で体がガクンと動かなくなる瞬間に立ち会ったのかもしれないなぁ…。

「独身なんだから、親2人の面倒見るんに、おばあちゃんで練習しとけ。おばあちゃんな、はーもうすぐいなくなるんだよ、今のうちに練習しな」

そうばあちゃんに言われたのが2年前。
実はこの時、私は知らされていなかったが、母姉妹は医師から『余命半年』と宣告されてたそうだ。
知った後も私は『ひ孫の20歳、成人祝いと100歳のお祝い、一緒にやるんだから!100まで生きるんでしょ〜』とハッパかけていた。
それがいいのか、宣告以上にもう2年も長く生きてくれてる。
けれど、これまで見守り介護している間はワガママで危険なこと隠れてやるんでたくさん喧嘩もした。
なぜか毎年、新春恒例、骨折入院を繰り返すので面倒で大変なこともた〜くさんあった。
何回怒ったかわかんないし、母姉妹にもたくさん愚痴ったけど、それでも一緒にうどん打ったり、戦争の話もたくさん聞けたりしたから、気持ちのどこかで「ばあちゃんの介護おもしれ〜!」と思う気持ちも、ちょっぴりあったからここまでやれたんだと思う。

両親にはまだまだ元気でいてもらうので、予習にゃまだ早過ぎるけど、初孫人生充実してる。

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