人間の無知を掘り下げるSF|21/06/29
『12ヶ月のカイ』を撮ったことで、以前よりSFをよく見るようになった印象があります。
もともとは、ジャンルに偏りなくなんでも観る方だったのですが、特にマイママよりもカイは製作や宣伝の主導が私しかいないということもあり、カイを宣伝するための知識を蓄えるためにもSFを勉強として見ることが格段に増えました。新しいものも古いものも、SF作品は相当数あって、正直見るのが追いつかないのですがなるべくカイと関連性が高いものを見るようにしています。
ヒューマノイド、人工知能、遺伝子、異人種…etc
この手の作品を見ると、先日カイの音楽・今村さんがお話されていた通り「人間のことをよく描いている」作品が多いですね。
別の話ですが、人類は生まれてこの方、人間自身のことをよく知らずに何千年と生きながらえてきてしまった種族だと思うんですよね。「子ども」が成人とは別の構造を持つ生き物だと発見されたのも、西洋ではここ200年くらいの、割りとごく最近の話です。中世あたりの絵画を見て、子どもたちが大人と同じ服装をさせられていたのも、理由はこういう「人間自身の人間に対する無知」からきたものだそうです。最近では、LGBTQや男女の問題など、「なぜ今更?」と思うようなトラブルが、続々と頻出してきています。これらのことから、人類は他の種よりもはるかに高度な知性を持ち数千年も生きておきながら、未だに「人間」について理解が及んでいないのかと思うと、私たちの生きる数十年にはもしかしたらなんの意味もないのではないかと空恐ろしくなります。
ただ、希望があるとすれば、映画やドキュメンタリー、物語の中でこうした「人間への無知」を解きほぐそうとしている人々が、少なからずいる、ということ。初期のSF小説は、宇宙や人間外の事への好奇心だったと思います。が、近年の「SFだけど人間の事を描いている」作品が増えてきたことを考えると、人間にとって最も未知なものは、実は「人間自身」なのではないか、と私は思わざるを得ないのです。
この希望が、この先数十年でどのような影もしくは光を人類に落としていくのか、長い長い目で見て、とても楽しみです。
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