参考文献リストは信頼度UPにも自己防衛にも役立つ
歴史小説などの「あとがき」や巻末に「参考文献一覧」が載っているのを見たことはありませんか?
小説を書くにあたって、参考にした資料を一覧で掲載することには、意味があります。
■信頼度UPに有効
1つは「この小説は、ちゃんと文献をあたって、正確な知識を元に書いている」という信頼性を示せるということです。
エンタメ小説の中には、歴史から文化から何もかも作者の「オリジナル」というモノも存在しますが…
それとは真逆で、実際の歴史や文化をきちんと勉強し、それを下敷きにしてリアリティーを持って創られた作品もあります。
参考文献があるということは、少なくとも創作にあたり、その資料を読んだという証です。
リアリティーを求める読者には、「自分好みのリアリティーある小説かどうか」を見分ける目安になるのではないでしょうか?
(もっとも、参考文献があったとしても、皆が皆その知識を「そのまま使う」わけではなく、脚色を加えたりアレンジして「半オリジナル」な設定を作る場合もあるわけですが…。)
■知識が間違っていた場合の防衛策
もう1つの「意味」は、知識が間違っていた場合の「防衛策」になるということです。
残念ながら、商業出版された本であっても、全てが全て「正しい知識」を書いているとは限りません。
著者の異なる文献を複数読み合わせて「ウラ取り」作業をしてみると、時々あることなのですが…
それぞれの文献で「言っていることが違う」「矛盾が生じている」ということがあります。
それに歴史の分野において言えば、発掘などで「新たな発見」があると、それまでの定説が覆されることがあります。
資料が全て「万能」で「正しい」というわけではないのです。
そんな「実は間違っていた知識」を作中で使用してしまった場合を考えてみてください。
参考文献も何も書いていなければ、読者に「この作者が間違っている」と思われてしまうリスクがあります。
しかし、参考文献が書いてあれば「元となった資料自体に間違いがあったなら、仕方ない」と、言い訳が立つと思いませんか?
情報ソースを明示することは、作者が自分自身を守る上で、とても大切なことなのです。
(もっとも、その「参考文献の意味」自体を理解していない読者には「分かってもらえない」可能性もあるわけですが…。)
■読者の役にも立つ
それと、参考文献を開示することには「作者のためになる」以外にも、もう1つ意味があります。
それは「もっと知識を深めたい読者の役に立つ」ということです。
読者がその小説を通して、その時代や文化や歴史上の人物に興味を持った場合、参考文献が示されていれば、そこからさらに深い情報を学ぶことができます。
大学で論文やレポートを書いた経験のある方なら分かるかと思いますが…
文献探しというものは、それ自体が非常に困難で、大変なものなのです。
その文献のタイトルや著者名が既に分かっているなら、その困難さが軽減できます。
実際自分も、様々な方の「参考文献リスト」に、どれだけ助けられてきたか分かりません。
なので、自分も作品創りに使った参考文献は、サイトにリストでまとめています↓。
こんな風に「参考文献リレー」で、知識を求める人間の輪を繋いでいけたら良いな…と思います。