コンセプトは、思春期の頃の「自分」に読ませてあげたい物語
青春SSオムニバス「青過ぎる思春期の断片(青春断片)」のコンセプトは、「思春期の頃の自分に読ませてあげたい物語」です。
「思春期の少年少女に読んでもらいたい」ではなく、「思春期の頃の“自分”に読ませてあげたい」なのです。
…と言うのも、自分の性格的に「『思春期の少年少女に読んでもらいたい』だと、押し付けっぽくて嫌だなぁ」と思ってしまうからです。
たとえ、どんなに役立つ知識であっても、覚えておくと人生がラクになる知恵であっても、無理に読んでもらったり、無理に自分の考えを押し付けることは、したくないのです。
特に思春期の繊細な心は、他人の考えを受け入れるのに、特別な精神力や勇気を要することがあります。
たとえ正しい意見でも、今受け入れてしまったら、自分の心が壊れてしまう…そういう時があります。
誰かの心を壊してまで、自分の考えを押し付けたいとは思っていませんし、そんな精神状態で読んでもらっても、素直に物語を受け入れられないと思うのです。
なので、コンセプトはあくまでも「あの頃の自分に読ませてあげたい物語」なのです。
過去の自分に対して物語を紡ぐなら、気負うことなく書くことができます。
「あの頃、これを知っていれば…」「あの時、こう考えることができていたら…」というアレコレを、素直に物語に綴ることができます。
そしてそんなアレコレが、今の自分にも跳ね返って“響く”のです。
物語を書くということは、思考の整理にもなります。
自分の中でモヤモヤとわだかまって、まだ言葉にもなっていなかったものが、小説という「形」になって具現化するのです。
そんな思考の整理・心の整理は、確実に「今の自分」にも影響してきます。
実際、このシリーズの執筆を始めてから、自分の中で、人生に対するポジティブ度が跳ね上がった気がします。
「思春期の頃」の自分に読ませたいと言いながら、実は「今」の自分こそがその物語を求めているのではないか――最近では、そんな風にも思っています。