大人数だとうまく喋れない問題・人の話を聞く能力について
当たり前のことだが、その場における言葉の密度には許容量というものがある。人は無意識的に、それを超えないように発言をする。つまり、同時に複数の人間が話し始めないように気を配っている。
二人なら、その許容量は二つに分割される。
しかし五人の場合、許容量は変わらないのに、五つに分割されるため、当然二人の場合と比べてひとりひとりの平均的な発言量は五分の二になる。
しかも人数が増えれば増えるほど、話し好きの人間がその中にいる可能性が高まり、そうじゃない人が喋る機会はさらに減ってしまう。
大人数の中にいると存在感が消えていく感覚に陥るのはいたって自然なことである。
人が増えれば増えるほど、話している時間よりも黙って話を聞く時間が長くなる。
しかし、聞き手は話し手にとってはひとりで十分。その集団の中で、会話の相手はひとりかふたりであり、他の人間は基本的に「聴衆」でしかない。ではどういう人物が「話し相手」になり、どういう人物が「聴衆」になりがちなのだろうか?
簡単な話、聞き上手かどうかなのである。相手の話を聞いて返す能力があるかどうかである。
現代では驚くほどに人の話を聞くことのできる人が少ない。頭の中で別のことを考えているどころか、誰かが話している最中にスマホを取り出す始末。
なぜか人は、人数が増えれば増えるほど、人の話を聞かなくなるように見える。
驚くべきことに、人の話を聞く機会が多い人ほど、人の話を聞かないのだ。おそらく「聴衆になること」に慣れきっているのだと思う。
「受信→発信→受信→発信」というサイクルが、回せない人が増えてきている。会話が成立しない。インターネットの普及によって一方的な受信、発信が増えたからかもしれない。(一方的な発信ばかりしてる私が言うのもアレだけどね)
その場で相手の話をよく聞いて、その話を盛り上げる方向にもっていく。そういう返し方ができる人は、人間関係に困ることが少ない。面と向かって話す時ほど、相手との見解の相違を自覚、許容して、自分から歩み寄る態度を心がけよう。
もちろん、疲れたら早めに休むようにしながらね。