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それでもGoToは止まらない。

Go to トラベルとは

 このnoteを書いているのは2020年12月12日時点である。NHKによると、2020年12月11日23時59分時点での日本国内における新型コロナ感染者数は17万5207人である。いわゆる"第三波"の最中である。

 1月16日に日本国内初の新型コロナウイル感染者が確認されてから、もうすぐ11ヶ月を迎えようとしている。この間に様々なことがあったが、多くの人に影響を与えたものの・感じたものは、"コロナ感染への恐怖"と"経済の冷え込み”だろう。

 日本政府も無策ではない。緊急事態宣言、臨時一斉休校、特別定額給付金など様々な策をうった。中身の是非はここでは述べない。ただ、様々な施策を行っていたという事実は指摘しておこう。

 さて、政府が行った様々な策の中で、今最も議論の的になっているのは”Go To トラベル”だろう。

Go To トラベルについて改めて説明する必要はないだろうが、観光庁のHPに載っている「Go to トラベル事業の概要(11/12更新)」というPDFから、Go To トラベルの概要を抜粋しておく。

失われた旅行需要の回復や旅行中における地域の観光関連消費の喚起を図るとともに、ウィズコロナの時代における「安全で安心な旅のスタイル」を普及・定着させる。

 要するに、コロナで冷え込んだ経済(観光地)を、感染予防を行ないながら活性化させよう、というものだ。

 さて、なぜこの施策が現在議論されているのかを一言で表すと、Go To トラベル(Go To キャンペーン)がコロナの感染拡大の一因になっているのではないか、とされているからである。

 北海道では自衛隊が派遣されるほど医療提供が逼迫している。東京では1日の感染者数が最多またはそれに近い数を更新している。このような現状を受けて、分科会の尾見会長を筆頭に「Go To (一時)停止論」が出るのは不思議ではない。

 だが、”Go Toは止まらない”。私はそう見る。事実、菅首相は11日にある番組に出演し、観光支援策「Go To トラベル」の全面的な一時停止について「まだそこは考えていない」と述べている。

 前置きが長くなったが、ここからは私がなぜ、Go Toトラベルは全面的な一時停止にならないのか、その根拠を述べていく。

Go To キャンペーン中止で誰が困るのか。

 まず考えてほしいのは、Go To トラベルが中止になった時と中止にならなった時、この2つの場合に誰が困るのか、である。

 Go To トラベルが中止になった時に困るのは、旅行関係者(旅行代理店から観光地の旅館や土産屋など)や地域の飲食店などではないだろうか。日本全国5600社の会員から成る一般社団法人 全国旅行業協会(この組織の会長は自民党幹事長の二階氏である)も困る人達だろう。

 一方で、Go To トラベルが中止にならなかった時に困るのは、高齢者や疾病を持つなど、コロナの重症化リスクを有する人達、そして地域の医療従事者の人達だ。病床が逼迫してきている中、そんなことを続けられたらたまったものではないだろう。日本医師会の中川会長は、観光需要の喚起策「Go Toトラベル」と感染との関係について「エビデンスははっきりしないが、経過や感染者が増えたタイミングなどを考えると、間違いなく十分に関与している」と述べている。

 ここで一つ指摘しておきたいことがある。Go Toが中止になって困る人達は、”経済的”に困るのである。対して、Go toが中止にならなかったことで困る人達は、”生命的”に困るのである。(生命的に困る、とは変な日本語だ。言い換えると、生きてくこと自体に直接的に支障がでる、命が脅威にさらされる、ということだ)

 経済的に困って死ぬことはもちろん十分ある。そのような方々に支援が必要なことは論ずるまでもない。だが、である。”経済的に困った”から生きていけなくなるのと、Go toが中止にならずに”生命的に困って生きていけなくなる”のとでは、ステップが違う。図式化すると以下の通りだ。

①旅行関係者や飲食店など
Go To が中止になる⇒経済的に困る⇒生きていくことが困難になる

②高齢者や基礎疾患を持つ人、医療従事者など
Go toが中止にならない⇒生きてくことが困難になる

 Go Toを一時停止するかどうかは、要はどちらのタイプの人間を助けるか、ということだ。菅総理は①のタイプ、つまりGo to中止で困る人達を助けつづけるだろうと推測している

 なぜそうするのか。単純である。菅総理は経済重視だからだ。
 いや、日本が経済至上主義のようになっているからだ。

 歴代最長の任期を遂げた安倍前首相が成果として最も強調したのは”アベノミクス”だった。アベノミクスの成果は①日経平均株価の向上②雇用者数の増大だった(実質賃金はさほど伸びず、目標物価指数は達成できなかったが)。これは言い換えると、「経済こそが最重要課題であり、私はそれに重点的に取り組み一定の成果を上げた」ということである。
 安倍、菅氏らが高い支持率を誇っているということは、日本国民も彼らを肯定しているということだろう(多少の不満・不信はあるにしても)。

 経済重視の安倍氏だったが、菅首相も安倍氏の路線を受け継ぐと述べている。事実、日銀は株を買い続け、規制緩和に取り組み(脱ハンコなど)、最近ではNTT(とau)に携帯料金の格安プランを出させた。菅氏は経済ブレーンとして竹中平蔵やデイビッド・アトキソン氏を徴用する予定であるそうだが、彼らの目的の一つは、生産性の低い中小企業を再編することである。

 経済や生産性の向上を大事にしていることは上記のことからも分かるであろう。一方高齢者に対してどう考えているのでろうか。

 つい最近のニュースであるが、菅首相は公明党の山口那津男代表と会談し、「年収200万円以上」(年金のみの単身世帯)の75歳以上、約370万人を対象に医療費の窓口負担を2割に引き上げることで合意した。最も、菅氏は当初「年収170万円以上」に固執していた。

 現役世代はもちろん経済の担い手だが、子供達も同様である。”不妊治療の保険適用拡大”を菅首相は目指しているが、将来の日本経済の担い手増大の意図もあるのではないか。
 一方高齢者はもはや経済の担い手ではない。定年を延長させたりして、何とか彼らを経済の担い手としようとしているが、リタイアした彼らはもはや現役世代の負担なのだろう。

 やや話が脱線した。話を戻そう。

 もし、Go Toを続行したら、ANAやJALなどの旅行関連株は上がることはあっても下がることはないだろう。無論株価はあがり、(株価からみた)経済は良くなる。もちろん、観光客が増えれば地域経済も良くなる。

 対して、Go Toを中止したらどうなるだろう。高齢者や基礎疾患を持っている人は一部上場の株式会社ではないので、彼らを救っても経済は良くならない。病院の対応にゆとりが生まれたことろで、病院の株価はあがるのだろうか?(勉強不足なので株式を上場している病院がどの程度あるのか分からないが、少なくとも旅行業界のそれよりは少ないだろう)

まとめ

 菅首相は経済そして経済の担い手の現役世代を重視する。それは安倍氏から続いてきたものであるし、今の政策を見てもわかる。一方高齢者には厳しい。
 ”経済”か”命”か、と極端に考えみると、Go Toを中止することで、困るのは経済を担う現役世代である。数多く上場している旅行関連業界である。Go toを中止しないことで困るのは、経済的に対する直接的貢献が相対的に少ない”命”の問題が喫緊の課題の人達や病院である。
 もっとも、ネットやSNSを使いこなし、そこから情報を摂取する人達は、経済の担い手である若い人達(リタイアしていない人達)であることは忘れないようにしたい。

おわりに
 Go Toの一時停止で困る人、停止されなくて困る人。さまざまいるのだ。私が想像していない人達や、誤解して分類してしまいかねない人達もいる。だから私は「Go Toは続けるべきだ/停止するべきだ」という意見を述べることを敢えてしなかった(どうすべきか自分の中でまだ煮詰まっていない)。
 ただ、このnoteを通して、(1)Go Toの一時停止で困る人、停止されなくて困る人、さまざまいるということ、(2)菅首相は一時停止で困る人達の方を助けようとしているのではないかということ、以上2点を伝えたかったのである。

 拙い文章が続き、非常に見苦しかったであろうが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

参考資料
NHK 特設サイト 新型コロナウイルス(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/)

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