YA小説好き必見!ミカンの味の感想とあらすじを紹介!チョ・ナムジュの更なる人気作
『ミカンの味』というチョ・ナムジュさんの作品を読んだ感想を紹介します。
本書は、韓国の女子中学生4人の、少女たちの悩みや感情、葛藤を抱えながらの成長、そんな人間関係がリアルに描かれているYA小説です。
チョ・ナムジュさんといえば、『82年生まれ、キム・ジヨン』が100万部以上の爆発的ヒットを記録している作家さんです。
本記事では、本書の概要やあらすじについて説明し、感想や心に残ったフレーズなどを紹介。また、読者が読んだ際に得られるものや、どのような人におすすめなのかを考察します。
『ミカンの味』やチョ・ナムジュさんに興味のある方には、この記事も作品も、ぜひ読んでみてほしいです。
「ミカンの味」とは
ミカンの味は、女子中学生4人のそれぞれの物語でもあり、4人組としての物語でもあるYA小説。
チョ・ナムジュさんといえば、フェミニズムなど社会的な作品が特徴的ですが、ミカンの味も、韓国の学生のリアルさや教育、進学について色濃く描かれ、韓国社会の勉強にもなる作品。
「ミカンの味」の概要
□タイトル:ミカンの味
□著:チョ・ナムジュ 訳:矢島暁子
□刊行年:2021年4月30日 発売
□出版社:朝日新聞出版
□頁数:223ページ
□備考:YA(ヤングアダルト)小説
・あらすじ
「ミカンの味」の感想
・読んでみた感想
ミカンの味は、中学生の少女たちの葛藤が非常にリアルかつ淡々と描かれているというのが、まず初めに出てくるこの作品の特徴と感想です。
チョ・ナムジュさんのインタビューでも、少女たちのたくましく健康な姿をありのままに、記録として残しておきたいというお話もありました。
そういった著者の想いを汲んで読んでみると納得できるような物語で、主人公4人それぞれの感情や悩み、葛藤がリアルに語られています。
年代の近い方には共感性があり、大人からすると子どもの気持ちを理解する機会になるようにも思います。
他の人の感想では、もう少し展開が欲しいとか、思ったよりスケールが小さいとか、少女に共感できない(男性の意見)などありますが、それは徹底してリアルに描いているからだと、個人的には感じます。
この物語を例えると、女子中学生の人間関係がカバンの中のイヤホンコードの様で、4人の関係がどのようにこんがらがって、いかにほどけていくのかを、ありのままに見せてもらえるような感覚です。
また、海外や韓国の小説の良さとして、小説の特性上、その国の社会の雰囲気や、政治的背景などが見えるので、世界を知るという意味で、単純に勉強にもなります。
ミカンの味でいうと、韓国の教育と進学文化であったり、性差別意識であったり、社会問題の理解にもなります。
中学生の仲良し4人組の、それぞれの気持ちや考えていることを覗いているような感覚になる様な印象で、大人にとっては子どもの気持ちを理解する手助けとなるような作品なのかもしれません。
あとは、他の感想でありましたが、「理解できないし共感が難しい」というのは、ある意味当然。
なぜなら、もうすっかり大人に染まってしまっているから…子供や他者を理解するきっかけにもなり得るでしょうし、知らぬ間に子供を振り回して可能性を削いでしまいたくないなとも、僕は感じました。
・心に残ったフレーズ
こちらは、物語の後半部分で第三者目線で語られているところです。
主人公の4人は、高校受験シーズンの前の中学2年生の時に済州島に旅行に行き、突発的にとある約束をする。
物語は、その約束と高校入学に向かってそれぞれの視点から、葛藤や気持ち、感情などが描かれていきます。
このフレーズは、その物語の過程をギュッと凝縮して抽出されている言葉だと感じて、ピックアップしました。
物語としては、淡々と大きな大事件的な展開はなく進みますが、何気ない小さな日常にも、簡単ではなく複雑な考えや事情があるんだなとも思いました。
・こんな人におすすめ
「ミカンの味」は、淡々と話が展開していく女子中学生4人の物語で、少女たちのリアルな人間関係や将来への葛藤と友情が、よく見える作品です。
若者にとっては記憶に新しく共感性があり、大人にとっては子供の悩みや気持ちを理解するのに役立つような要素もあります。
また、韓国の教育や進学事情や社会の雰囲気なども見えてくような社会的な要素もあります。
というわけで、ミカンの味をおすすめしたい人は…
☑︎子どもや中学生が題材の作品を読みたい人
☑︎子どもの人間関係や悩みに触れて理解を深めたい人
☑︎韓国の教育や学校について興味のある人