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【シャニマス 二次創作小説】浅倉透とタッグを組むモブアイドルの話

1 アッシュグレーの髪が顔にまとわりつく。お気に入りのウルフカットが今だけは鬱陶しい。息が切れ、肩が細かく上下する。ステージライトが容赦なく照りつけ、レーザー照明は暴れまわるように明滅している。意識に霧がかかり、現実感が失われていく。 点検のようなダンスだった。振りと立ち位置を思い出すことで手一杯。 ああ、また顔の左側が引き攣ってきた。 イヤモニから流れる音楽に、かつてかけられた言葉がオーバーラップする。 ──ちょっとした勇気だよ。 燻っていた記憶が脳裏によぎる。 佐

    • 浅倉透の目に映る世界

      言葉もなければ財布もないカリスマ。 ロックな精神性のようなものは感じる。 しかし何を考えているのかよく分からない。 どうにかして透の感性に迫ることができないだろうか。 そこで本稿では、浅倉透の読解を試みる。 まえがきこの記事は、 「我儘なままへ向けて ソロ曲note連作」という企画の一環で執筆しました。 この企画の詳細については、以下の記事をご覧ください。 本企画における筆者の執筆担当アイドルと記事は以下の通りです。 園田智代子     公開済 桑山千雪      

      • 桑山千雪 ―好きを守り抜く少女と大人―

        自分の「好き」を歪めてしまう経験は誰しもあるだろう。 メジャーなものは好きと言いやすい。特段好きでなくとも受け入れてもらえる。 逆にマイナーなものは好きと言いづらい。自分の情熱が理解されない恐怖。 大人になればなるほど、「好き」を好きでいるのは難しい。 桑山千雪は、自分の「好き」を両手で抱くようにいつくしむ。 こぼさないように、ぎゅっと。 まえがきこの記事は、 「我儘なままへ向けて ソロ曲note連作」という企画の一環で執筆しました。 この企画の詳細については、以下の

        • 園田智代子の“甘苦い”サンデー

          「我儘なまま」は恐ろしいライブだ。 アイドルがひとりで舞台に立つ。 我々は彼女たちと向き合う ― こんな経験はないだろうか。 「3人以上の会話は気軽にできるが、1対1の対話は緊張してしまう。」 そう感じる理由を、私はこう考えている。 「1対1は、相手の全てを自分ひとりで受け止める責任があるから」だと。 視線が常に自分に向けられる。 「我儘なまま」は特別なライブだ。 我々がアイドルを見るのと同時に、アイドルが我々を見る。 ひとりの人間が持つ全てを、全身全霊でぶつけてく

          SHHisシナリオイベント『セヴン#ス』 キャラ別ポイント整理・考察・感想

          「あのシーンは美琴が出ていたな」と思い当たることはできても、「あのシーンは第4話だったよな」と即座に思い出すのは困難だ。 したがって検索性・利便性の観点から、章立てではなくキャラ別にポイントを整理し、考察を交えて記述することにした。 本記事では、美琴、にちか、ルカ、はづきをメインに立項した。 最初にアイドルの3人に対して本シナリオ以前における筆者の見解を述べ、その後、琴線に触れたシーンを取り上げる。 立ち絵の無いキャラについては「その他」で取り扱う。 なお、「SSRサポート

          SHHisシナリオイベント『セヴン#ス』 キャラ別ポイント整理・考察・感想