念を飛ばす
という訳で散文書き連ねて参りましょうかね。
自分には弟が1人おりまして、この男に関する兄の自分が体験した話です。
古今東西不思議な話の中で双子はどこか魂の奥底の部分で繋がっているとか、兄弟は互いの何かを第六感で感じ取りやすいみたいな話がありますよね。
まさにそういった内容でして、うちの弟は念を飛ばしやすい、そんな話です。
当時実家に住んでた僕はバイトが早番シフトだった事もあり、その日は18時には帰宅していました。
外は豪雨。台風レベルの雨。
台所では母さんが夕飯の支度をしている。
「母さん、弟今から帰るって。家着くの19時半くらいだってさ」
弟からのメールを確認して母に伝える。
当時の我が家では帰宅します連絡を家族に一斉送信するのが常だった。
「あらそう、気を付けてって送っといてね」
母がリビングの僕に向かってそう行ってきた時、
「ただいまー」
玄関から声がする。父は今日飲み会だと言っていた。
だからこんな時間に帰ってくるのはおかしい。
リビングを飛び出して玄関を見た。
玄関の照明が点いてる。
明かりの下には、いるはずのない弟。
「ただいまー」
弟がまたそう言った。
握り締めていたケータイを見る。
18時25分。家着くのは19時半くらいになるという弟からのメールの画面。
ケータイから顔を上げ玄関を見る。
電気は消えていて誰もいない。
「今、〇〇帰って来なかった?」
何が何だかという表情をしながらリビングに戻ってきた僕に母が聞いてきた。
「...いた。いたけど、消えた」
そうとしか返せなかった。
今自分が見たのはなんだったのか訳が分からない。
なんだったんだ今のは。
たしかに弟の姿、弟の声だった。
そこまで考えてひとつの事に思い立った。
弟の身になにかあったのかもしれない。
すぐに弟に電話をかけた。耳元で鳴るコール音。
1分くらいコールしただろうか。
そして、コール音が途切れた。
「あぁ?兄貴どうしたん?」
あっけらかんとした弟の声。その後ろからは雨音と風音。
「お前、なんにも無いか?」
怪訝な感じの弟に対して今起きた出来事を伝える。
すると、
「あーー。雨と風ヤバいじゃん?早く帰りてーって思いながら駅まで歩いてたんだよ。だからじゃね?」
なんて事だ。
弟はそんな事で念を放ち、家にいる兄の前に早く帰り着いた自分の姿を登場させたのだ。
僕はそんな弟に驚愕を通り越して呆れてしまった。
なんというやつだ、、、
「あ、そ。まあ気を付けて帰って来いよ」
事の顛末を母に伝えると、母は弟以上にあっさりと、
「そんな事もあるでしょ、そういうもんよ」
と言い放ったのだった。
その後弟は何事もなく帰宅。全く理解に苦しむ内容である。
とりあえず書いてみました、自分の体験した不思議な話。
文才も無く、特に面白い様な話しでもないけれど、こういった話をいくつも経験しているので気が向いたらまた書き記していこうと思います。
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