しりとりエッセイ(雑文) (あ)―愛してる
しりとりで、エッセイを始めます。成分は、下品とエロと恐怖で構成されており18禁でございます。
<あ>―愛してる
I LOVE YOU
この言葉を最初に日本語訳したのは文豪の夏目漱石だと言われている。
さて、漱石先生。この告白の定番をどう訳したのか?。
「月が綺麗ですね」
おーー、美文である。先生らしい解釈でありますね。
日本人は昔から、月が大好きなのです。
かぐや姫は月の人だしね。満月を見ていると変な気分になってくる。
月はその姿を変えていきます。人の心も変化していきます。
だから、しっくりきます。
しかし、冷静に考えると、意味不明なのである。
月と恋愛の相関関係が、今いち、よくわかんない。
じゃあ、I Don't Love You
「付き合えない・・・」
つまり、「愛していない・・・」は、どうだったのか・・・。
調べたがよくわからない。
そこで、私は高校時代の初恋の思い出を語るのでした。
なんでやねん!
というのは、なしで・・・。
受験直前の秋、僕は恋に落ちた。
思い立ったが吉日、すぐに「好きだ・・・」と駅のプラットホームで告白した。たくさんの見守る中で叫んだ。
彼女は鉄柵を背中にして「正気?」とうるんだ瞳で呟く。
それは、この状況がか、それとも僕の気持ちがか。
僕たちは受験生なのであった。
「無理やろ・・・」と彼女に言われた。
ふられたのか。そうなのか。彼女はスローモーションで首を横に振った。瞬殺され落ち込んだ。犬が飼い主にしっぽを踏まれた直後のような顔をしていたと思う。
僕は彼女に背を向けた。走りだしたい気分だった。つま先に力を込めて、前に・・・一歩、足を・・・。
「待ってよ。受験終わってから・・・、それまで待ってよ」という彼女の声が僕の背中に沁み込んでくる。
「つまり、付き合ってくれんのか?」
「その時に決める・・・。その時に本気で考えて答えるから・・・」
とりあえず、保留・・・。
ということで、僕は勉強を一生懸命した。受験が終わり、卒業式の後、また、僕は彼女を駅のプラットホームに呼び出した。
「映画いこ。付きあおうよ・・・」
すると、彼女、僕の胸倉をつかみ、その美しい顔を鬼のように歪めて「地獄に落ちろ!!」と叫び、僕に蹴りを入れたのだった。そこに電車がIN。僕は人込みに紛れて走って逃げた。
それが彼女の答えだった。
I Don't Love You
「地獄に落ちろ!!」
彼女を少しだけ擁護すると、受験に失敗して浪人がほぼ確定だったのだ。
僕の告白を、・・・と思ったようだ。僕を・・・だと思ったのだ。
そんなこと言っても、彼女が受験に失敗していたことなんか知らなかったんだ。不運としか言いようがない。
僕なりに、ない頭をふりしぼり考えてみた
I Don't Love You
これを漱石先生風に表現してみる。
なるべくカッコよく。
知的な表現がいい。
こんな言葉はどうだろうか?
彼女が言うべきセリフを考えてみた。
桜、散る・・・
うーー、こんなことを言ったら・・・
彼女は・・・
僕を本気で殺していたかもしれない
この話しを関西在住の友人に話すと・・・
俺やったら「めっちゃ好きやねん」と告白するわ。「月が綺麗ですね」なんて、あほっぽい。
「じゃ、告白を断る時は?」と聞くと・・・。
「断固拒否する」でええやろと。
告白する時は、ロマンチックに・・・
でも、告白され拒絶する時は、暴君のように冷たく
でないと、ストーカーになると友人は言っていた。
なら、「地獄に落ちろ!!」は正解だ。
その一言で、僕の100年の恋は一瞬で冷めたのだよ。
*しりとりでエッセイを続けます。
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