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しりとりエッセイ  う 上から目線の男

態度がでかい上から目線の男がいた。
Oという男だ。
2浪しているから、お前らより2つ上だと自慢し大きな態度を取っていた。
こういう奴は、男からも女からも嫌われる。

入試に合格した後、すぐに、彼は合宿で運転免許を取っていた。
うちのサークルでは、1年では彼だけだった。

彼は、どや顔で「俺、すごいやろ。一発合格だぞ!」と
初めて会った日に自慢してきた。
運転免許証の彼の顔が、何故かウインクしていた。

二回目に会った時には、車の写真を見せられた。
しょぼい軽自動車だった。
もちろん中古で、走っている途中に止まりそうな代物である。
「10万やってん」
まぁ、そんなもんだ。
「すごいやろ!」
・・・とは思わなかったが、「そうですね・・・」と社交辞令。
琵琶湖に、明日行くと言ってたので「途中で止まってしまえ」と一応呪っておいた。

さらに、この男、筋肉を女子に自慢する。
花見で上半身裸となり、そのプロテインでこしらえたという似非筋肉をビクッビクッさせて
皆から毛嫌いされたのである。

さらに、俺は酒に強いといきがり
先輩が止めるのも聞かず
日本酒の一気飲み。
それも変な替え歌の百姓一揆の歌をアカペラで怒鳴りだした。
当然、悪酔いし。赤鬼みたいな顔になり「ブファーーー」と憂鬱な溜息を吐きつつ
匍匐前進、ゴキブリ前進、そのまま鴨川に突進していき、川にゲロをぶちかました。

のちに、後輩には 武勇伝 として語るのであった。
ゲロ川伝説の謎。

ただ、同期としてありがたかったのは、一緒に食事に行くと御馳走してくれたことだ。
「俺は目の者だからな」と。
ただし、同期なのに敬語を強制してきた。
理由は、俺が年上だからだなのだそうだ。

こういう奴は学歴を誇る。
だが、同じ大学なので皆、同じなのである。
それでも、彼はやった。
「お前、何学部や」
最初に言った奴は、彼よりも偏差値が低い学部だったもので
「偏差値6X。あほーーー」とやりだした。
失礼な男である。
ちなみに、僕は彼と同じ学部だったのでセーフだった。
男連中は、二人を除いてすべて「あほーー」と罵倒され不機嫌になって、そのうちの一人はサークルに参加しなくなった。
Hという女子が、その一年の親睦会に参加していた。
彼は、ひどい差別主義者だった。女は、皆、あほだと思っていた。
「あいつらは、皆、高校になったら色気づいてあほになるんや」と豪語していたんだ。
女子がいる前でだよ。女子のいる前で女性差別するのはドあほである。
しかし、このH谷川さんは、うちの大学で一番賢い・・・XX学部であった。
つまり、Oの負けである。
すると、彼は「で、Mは一年の中で誰が好き?」
話題を変えやがった。逃げやがった。女に負けて顔が真っ赤だった。
クズだと思った。同じ大学の人間に偏差値がどうたらって、これはあほの所業である。
だいたい、どこの大学の学生であっても、そんなのは、どうでもいいのである。
そういうせこい意識しか持てないからクズなのだ。

Oは一年の中のリーダーだと自分で思っていた。
祇園祭というのが京都にはある。
Oが音頭取りして、皆で行こうということになる。
「俺とYとSは無理。それから、女子の・・・」と言うと
「裏切者!」と叫び胸倉を掴まれて自慢の筋肉で僕を雪隠攻めにしようとした。壁ドンならぬ。壁追いつめである。ドンドンと、頭を壁にぶつけられた。
僕は恋人がいたから、その子と他の二組のカップルを誘い祇園祭りに行く予定となっていた。
彼女たちがレンタルの浴衣を僕たちの為に披露してくれるのだ。Oなんぞに見せてやるつもりはない。
そこにいたSが「とりあえず、一瞬、一瞬、合流するけど、後で別れるという方向で・・・」とその場をとりつくろってくれた。そうでもしないと、Oは頭に血が上りヤバいことになりそうに思えたからだ。

Oは男子全員に前日に電話をしてXX時に四条京阪の駅の前に集合と知らせて来た。
その時、僕は「無理かもしれん・・・」と言った。
「SもYも来ると言うてたぞ。後で、解散したらええやろ。とにかく来い。殺すぞ」と脅してきた。
これはサークルの大切な行事だと、彼は主張する。
そんなわけがない。
「女子は?」と聞くと「Mさんが・・・まとめてくれることになった」
Mさんとは、僕の彼女のことだった。そんな話しは聞いてない。

当日、僕の彼女と友達は浴衣に着替えてやってきた。
SもYもいた。Oの約束は反故にするということだった。
「女子は全員ボイコットなので、それを5分前に知らせておいた。O君の自宅の留守電に・・・」
確信犯である。自宅の家電話の留守電なんて、外からでは確認できない。できる?。それはしないよね。それも5分前って鬼だ。

後で聞いた話しである。
女子は全員ボイコットした。
男子は、6人いたが5人がボイコット。誰も連絡しなかった。
S岡という地味な男だけやってきたらしいが、そこにOしかいなかったので
「悪い、お前と二人は嫌だ・・・」と言い、彼はそのまま帰宅したとのことである。

一人になったOが祇園祭をどう参加したのかについてはわからない。
新学期になって会った時は、完全に忘れていた。
彼は潔いところがある男なのである。

2020 4/23

次回は >>> <こ> コスプレ

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