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ゲームレビュー:豆狸のバケル#2
ゲームレビュー2回目は、豆狸のバケルを最後までクリアして感じた部分、良かった点と不満に思った点、見つけてしまったバグ、ゲームオーバーの存在、そして"がんばれゴエモン"との関係、などを書いていきます。
1回目と打って変わってゲーム本編のネタバレを含みますので抵抗感がある場合は薄目で読み飛ばすか記事自体をスルーしていただければと思います。
良かった点
・丁寧な作り込み
何をすれば良いか目的が明確でチュートリアルも親切です。キャラクターの操作性も悪くなく、クリアに向けてはストレスなく進めるでしょう。ステージ内の敵キャラもそれぞれがいきいきとしている様子がとても平和な感じがします。
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※チョイナチョイナとお湯を掛けられると熱いダメージを受けてしまう
・コンボやカウンターの操作が簡単
同じボタンを連打するだけでバケルはコンボを繰り出します。また、敵の攻撃に合わせて回避や防御をすることでゲームスピードがスローになりカウンターやパリィが発動します。バケルの攻撃判定はとても範囲が広く敵に吸い寄せられるように突進攻撃する振る舞いをします。ただボタンを連打しているだけでも敵を蹴散らせるので爽快です。他のゲームのコンボは複数のボタンを組み合わせ方向キーなどを間に入力する必要があり、カウンターやパリィも受付時間やタイミングがシビアなことが多いです。スタイリッシュなアクションが手軽に繰り出せる点はゲームに慣れていなくても楽しめるはずです。
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これは反撃のチャンス
・流行の取り入れ
ステージの地形やオブジェクトに無造作に貼られた謎のステッカーやブランドロゴなど。スプラトゥーンで見たことがあるんですよね。この人気作の既視感が低学年にウケることが想像できます。
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スプラはとても派手目にいたるところに
・和風BGMの心地よさ
初めて聴くのに聴いたことがある、そんな和風BGMは懐かしさを覚えます。やっぱりゴエモン、がんばれゴエモン。
・子供向けながら大人でも楽しめる
ただクリアするだけであれば難しさを感じることはありませんが、Steamの実績を全て達成しようとすれば話は別。むしろ大人向けに用意された実績なのではと思います。具体的にはノーダメージでボス撃破、能力を使わずにボス撃破などです。敵からの被弾が分かりくいですが、覚えゲーとして繰り返しプレイすれば達成できる内容です。Steam版で100%実績解除した割合は2.7%となっていました。(多いのか少ないのか・・・)
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不満に思った点
・カメラ操作が限定的であること
カメラ操作に制限がない場面ではバケルの周囲360度と水平から俯瞰視点方向に少し(70度くらい)です。空を見ることはできません。ステージ構成としてお城などは上に向かって進んでいくので非常に見にくい場面があります。また、ステージ内に隠されているコレクション要素も見つけにくい場面があります。
カメラ操作に制限がある強制スクロールステージや一部のエリアでは一切カメラ操作できません。バケルが向いている方向に一瞬で視点を合わせる機能が欲しかったところです。
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・遠隔攻撃系能力使用時のオートエイムが使いにくいこと
浦島太郎と桃太郎の能力を使用すると遠隔(射撃)攻撃ができるようになります。このとき攻撃は近い敵に自動的にロックオンされますが、段差の上に敵がいる場合は段差に攻撃が遮られてしまい敵は倒せません。操作を簡単にするための仕様かと思いますが、ゼルダの伝説 時のオカリナのようなZ注目システムだったらカメラ視点の不満も含めて解決できたのではないでしょうか。
・シューティングモードで照準がないこと
シューティングステージ限定の話ですが、SFC版スターフォックスの最初のステージのように照準がありません。的(敵)が大きくて内容も難しくないので大した問題ではありませんが攻撃がどこに飛んでいくか分からない時があります。
・主人公に対する敵の敵意が薄いこと
攻撃が飛び道具系の敵はバケルに向かって弾を放ってきますが、それ以外の敵は比較的穏やかです。中ボスエリアのように移動が制限される以外は基本的に倒す必要がありません。敵との接触ダメージはありません。敵が攻撃動作をして初めてダメージを受けます。地形やギミックの攻撃判定を持つオブジェクトは常にダメージ判定があるようです。敵はそれぞれが自分の世界に浸っているように見えます。
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・NPC(イベントキャラクター)の扱いが雑であること
ゲームを進めると特別な力を持つ7人のお姫様を助けるイベント(イベントというよりはステージクリアで勝手に救出される)が始まりますが、7人のお姫様の協力技で邪気から日本を救う方法は失敗に終わります。それはオラクル祭太郎の邪気ではなく別の黒幕の邪気によるものでした。黒幕を倒すことでエンディングに移りますが、お姫様の出番はありませんでした。
「◯◯の賢者を開放して~」とか「ボスを倒すことで開放された精霊の力を~」とか、よくありそうな展開かと思いましたが、御伽の英雄らの変化能力が既にあるのでストーリー上の茶番だったのでしょうか。
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・ステージのリトライ機能がないこと
Steam実績解除や取り残した要素を回収するため、同じステージに何度も入ることがあります。プレイ中はいつでもステージから抜け出せますが、【ステージの最初からやり直す】のようなリトライ機能はありません。割とこれは重要で、ステージから抜け出す>マップ画面>ステージに入る というマップ画面に戻るところは不要と感じました。特にラスボスをノーダメージで撃破する実績を最速でやり直す方法の場合、ミスになるまでボスの攻撃を受けるしかありません。根気のいる作業となります。
やはり不満な点の内容が多く長くなってしまいました。レビューで一番書きたかったのはこれらの内容です。子供向けのゲームにダメ出しするのは野暮とは分かっているので次の言葉でしめましょう。不満が出るまで遊ばれたゲームと何の文句も出ずにてきとうに遊ばれたゲーム、傑作として愛されるのは前者と考えています。
見つけてしまったバグ
・買い物をしたときお金が減るSEが永遠と鳴り続けてしまう
お祭り要素でバケルの見た目を変更するアイテム【お面】を買うとお金が支払われるSE(チャリンチャリン)が永遠に鳴り続けてしまいます。これは別のシーンに切り替えることで鳴り止むのですが、いつ鳴り止むのかとずっと聞いていると神経にきます。続けられると不快な効果音上位かと。発生条件はお面の選択画面で販売中のものを全て買うと選択画面から強制的に戻されます。このタイミングでバグが発生します。例えば、販売中のお面が3個あり、1個目、2個目を買ったときは正常にSEが鳴り、3個目を買って画面が戻されたときにSEが鳴り続けるといった感じです。
・ボス戦でカメラ視点がおかしくなってしまう
御伽の英雄戦(金太郎、浦島太郎、桃太郎)は俯瞰視点固定になりますが、戦闘前のセリフを飛ばしていると水平に近い俯瞰視点固定となり非常に見にくい状態になります。毎回ではなく1/5くらいの頻度で発生します。浦島太郎戦でのみ確認できています。
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・ボス戦でボスキャラクターが動かなくなってしまう
終盤ステージで2体同時のボス戦があり、発生条件が不明ですが片方が微動だにしなくなります。ダメージは与えられるのでボス戦クリアは可能ですが、なんかなーとなります。カメラ視点もこの件もノーダメージクリア実績のやり直し中に発見したものでデバッグ不足が否めません。今思えば初見で起こらなくて良かったです。Steam版移植ならではのなんとかなんでしょうか。
そのうちアップデートで修正されると良いです。
ゲームオーバーの存在
・豆狸のバケルとゲームオーバー
レビュー記事1回目より詳しく調べてみました。結果から言うとゲームオーバーはありません。というより、ゲームオーバー画面がないと言うべきでしょうか。お金が1000両以上あるときにミスをすると-100両となり、それ以下は1割ずつお金が減っていきます。10両の状態でミスをすると9両になりますが、9両より減ることはありません。また、巨大ボス戦で敵メカにKOされた場合は再戦するかのメッセージが表示されます。「はい」でリトライ、「いいえ」でマップ画面に戻ります。これでもゲームオーバー扱いではありません。
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・ゲームオーバーの役目とは
ゲームオーバーの役目とは何でしょうか、説明にはアーケードゲームが向いていると思います。アーケードゲームは硬貨を入れてクレジットを追加してゲームを開始します。そこでストリートファイターⅡを例に挙げます。キャラを選択して敵を倒し続け四天王の四人目ベカを倒すとゲームクリアのアレです。途中で負けるとゲームオーバー、負け顔コレクションと共にカウントダウンが始まります。途中でクレジットを追加すればコンティニューでき、クレジット0のままカウントが0になると負け声と共にゲームオーバーです。実はベガを倒してプレイヤー名として3文字を登録したあともゲームオーバーと表示されます。これはまさにゲームがその時点で終了したという意味なのです。
ゲームオーバーは区切りであり、アーケードゲームでは他の人に交代したり休憩したりのタイミングです。家庭用ゲームにおいても同じ考え方ができます。ゲームオーバーはゲームの止め時を促すものと考えられます。
・ゲームオーバーがない作品の増加
調べてみると、ゲームオーバーが存在しないゲームは最近増えてきているようです。任天堂ではスーパーマリオオデッセイがそうです。発売当時にプレイしましたがゲームオーバーを見たかどうか曖昧です。それよりもアッチーニャ神が印象的でしたが。
ゲームオーバーがないことは専用画面の開発を省略でき、さらに間を置かずに遊んでもらえるので繰り返しプレイが捗ります。ゲーム開発側としては作業負担が減るということでメリットになりますが、ゲームオーバー画面の1枚絵を楽しみにしているプレイヤーは少なくありません。筆者もその1人であり、ゲームの楽しみ要素の1つと考えています。
豆狸のバケルは子供向け、しかしゲームの止め時が無さそうです。これはもう親御さんが止めるしか無いようです。
がんばれゴエモンとの関係
・豆狸のバケル開発チーム
豆狸のバケルはグッドフィールというゲーム会社が開発しました。グッドフィールのスタッフは、コナミのがんばれゴエモンシリーズの開発に携わっていました。バケルが和風のアクションゲームとして完成度が高い理由がここにあります。筆者がバケルに興味を持ったのも当時のゲームニュース記事でこの内容が特集されていたことからです。
・大手ゲーム会社からの独立例
メタルギアシリーズ(小島氏)、悪魔城ドラキュラシリーズ(五十嵐氏)、がんばれゴエモンシリーズ(蛭子氏)。いずれもコナミのタイトルですが、各プロデューサーとして活躍されていた方々は皆独立してゲームスタジオを構えています。デス・ストランディング(小島氏)は所持していますが未プレイで、ブラッドステインド(五十嵐氏)はプレイしました。今回、豆狸のバケルをプレイしたことで蛭子氏の作品に再び触れることができました。どの作品も話題になり、やはり評価が高いです。
・ゲームのIPは勝手に持ち出せない
会社の方針でシリーズ新作を出すことができない。では独立してシリーズ新作を出せば良い、それはほぼ不可能と言えるでしょう。ゲーム会社のIPタイトルを他社が自由に扱えない理由は、著作権、商標権、契約、ブランド、信頼関係などによります。他社が扱うには権利を持つ会社とライセンス契約を結んで許可を得て商業・法的に定められた範囲の中でのみ使用できます。
かつて自身が関わっていたゲームの続編を出すことが叶わないのであれば、権利を侵害しない範囲で似たようなコンセプトのゲームを作れば良い、こうやって世に出てきたのが豆狸のバケルなんでしょうか。
まとめ
総プレイ時間:27.8時間 / Steam実績アンロック:100%
BGMに聴き入ったり、Steam実績のために繰り返しプレイしたり、記事のために色々検証したりと楽しい時間を過ごせました。子供向けとはいえ、新規プレイヤー向けの親切な作りと明るい世界観、物足りなさを感じさせないボリュームと満足度は高いものでした。続編に期待しています。
【豆狸のバケル】のレビューについて、1回目を書き始める前は2~3回分の記事を考えていましたが、思うことは大体書けましたので今回で終了といたします。しっくり来ましたら10万スキをポンッとしていただければ幸いです。お時間いただきありがとうございました。ではまた。
未プレイの方向けにゲーム序盤が遊べる体験版(NintendoSwitch)URLを貼っておきます。