3回目の脳梗塞と通院の話
3月に3回目の脳梗塞を発症し、病状も落ち着いたので、90日ごとに薬の処方箋をいただき、血液検査や時々MRIを使って脳の状態を観察している。
1回目は右脳の脳底動脈にアテローム(動脈の詰まり)が比較的大きく見られ、一時はどうなることかと思ったが、懸命なリハビリでほぼ克服した。ただ、血液の状態が悪いと再発の可能性があるため、投薬、運動、食事、睡眠を十分に取るよう注意している。
昨日は3か月ぶりの通院日だった。いつものことだが、5分ほどの問診のために3時間ほど待つことがあり、昨日も2時間30分ほど待合室で待機していた。すると、隣の中高年の女性が、ご主人の付き添いで来ていたのだが、病院の方に暴言を吐いていた。
「どれだけ待たせるのよ、私は早く家に帰りたい(おそらくお腹が空いているのか?)。いつも待たせるけど、なんとかしなさいよ!」と怒りを病院の事務の方に投げつけていた。
もし、病院が問診の患者(緊急でない)を待たせないようにすると、医師を増やし、待合室を拡張しなければならないだろう。さらに事務の方を増やさなければならない。健康保険で病院に来る人は、自己負担が3割程度なので、ある意味気軽に病院にお世話になる。しかし、アメリカのように公的保険制度が弱い国では、体調が悪くても市販薬を服用し、安静にするらしい。救急車を呼んでも、医療行為に高額な治療費がかかるからだ。
日本では、自己負担が少ないため、病院に来る人が多く、必然的に待合室が混雑する。それでも、国の政策で一次医療圏(クリニック)から紹介状がないと二次医療圏(大学病院など)に行けないようになっているが、それでも待たされることがある。
待つこと自体が、病院経営に関わる。つまり、待つことが嫌で通院しない人や、怒って治療を受けずに帰る人がいることで、病院側は資本コストを削減できる。
並びたくないのであれば、保険を使わない自由診療を受け、高度な医療行為をしてもらえばよい。健康保険を利用する以上、待つという行為は避けられない。
「その後、体調はどうですか? コレステロール値は少し改善されていますが、血圧が心配ですね。血圧手帳をお渡ししますので、朝夕、記録してください。本来なら降圧剤を処方するところですが、次回まで様子を見ましょう。」
主治医はいつも通りのやり取りで、同じ薬を90日分処方してくれた。この5分のために並んだのは、保険制度を享受する以上、必要なコストと言えるだろう。
診察記録をまとめたクリアケースを病院の会計に提出し、計算が確定すると、診察番号が大きなモニターに表示され、精算できるようになる。
すると、初老の男性が大声で会計の女性に文句を言っている。
「診察券を精算機に挿入したが、清算ができない。どうすればいいのか!」
と食い下がっていた。会計窓口を封鎖しているので、他の方が待っているのにもかかわらず、一方的に怒号を飛ばし、機械に問題があると主張していた。
「モニターに診察番号が表示されましたら、精算機で清算ができますので、少しお待ちください」との説明にもかかわらず、なかなかその場を離れようとしなかった。
あちこちで、高齢の男性が融通が利かない怒号を飛ばし、対応する人々を困らせている光景をよく目にする。こんな調子で家でも威張り散らしていると、家庭の雰囲気も悪くなるだろうと思った。
そういえば、市電に乗っていると、「熱中症防止のため、乗務員が水分補給することをご了承ください」と乗車支払い機にテープで貼り付けてあった。これを見て、誰かが運転手が運転中に水分を補給していることにクレームをつけたのだろうと思った。
運転中の水分補給でどんな問題があるのか、理解できないが、運転に集中しろと思ったのかもしれない。昭和の時代には、運動中の水分補給が許されなかったこともあったが、こんな誤解が常識として通っていた時代もあったのだ。
高齢者も、頭をアップデートして、知識を更新しなければ、テクノロジーについていけなくなるだろう。怒りをぶちまけて自分だけが快感を得ようとする行為は、慎むべきだと思う。
沈思黙考、して自分の言動を振り返るのも
コストなのかもしれない。
(市電の件は、その経緯はまったくの想像です)