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DXコンサルタント1人ですべてを兼ね備えるのは困難… 100件以上のDXで見えてきた「DXを成功に導くチームの条件」

Marsdyは、2年間で100件以上の案件を手掛け、日々の数値管理業務を自動化する「AutoDate(オートデート)」を通じて多種多様な企業の業務工数を削減してきました。

こうした経験から、「DXを成功に導くチームの条件が見えてきた」という代表の武藤大揮とDXコンサルタントの後藤英次郎に、DX推進に必要なスキルや視点、体制について聞きました。

Marsdy代表
武藤 大揮
DXコンサルタント
後藤 英次郎

業務に精通し「あるべき姿」を描けるリーダーが必要

――企業が自社でDXをおこなう場合、どんな人材が必要になるのでしょうか。

後藤 DXを成功させるためには、「あるべき姿」を描き、そこに向かってやり切るリーダーシップが必要です。現場の課題を理解し、限られたリソースを活用しながらDXを進めるための、推進力の源となる人材が求められます。

武藤 しかしDXの場合は、単にリーダーという立場や肩書があればいいわけではありません。求められる条件のレベルが非常に高いのです。

まず、「社内業務をDX化したときの“あるべき姿”」の全体像を描くためには、ソリューションの知識も必要です。同時に、現場でどのような業務がおこなわれているかを、かなり深いレベルで理解していることも求められます。この2つの条件を満たすには、非常に広範囲なビジネススキルと高い専門性、テクノロジーの知識が必要です。

今は、DXに取り組もうとする企業が急増しており、需要が急激に上がっているために、これらを兼ね備えた人材は圧倒的に足りません。

後藤 実際は、「DX」をテーマとして掲げてはいるものの、具体的に何を目指しているのか、何から手を付けたらいいのか分からないという企業も多いです。課題はたくさん挙がっているけれど、それをDXでどう解決したらいいのかが分からず、とりあえず頭数だけ集めてチームを作っているという状態のところも多いのではないでしょうか。

――「課題をDXでどのように解決するかを描き、推進できる人材」を社内で確保するのが難しいのは、なぜでしょうか

武藤 「DXを推進したい人」と、「DXに必要な現場の情報を把握している人」が異なることが大きいと思います。

「DXを推進したい人」は、どちらかというと現場の人ではなく、経営層に近い人であることが多いのですが、この立場の方がDXのリーダーになると、現場の業務に関する情報に精通していないために、現場感がないままで旗振りをすることになってしまうことが多い。「現場ニーズと合わない“使われない”ツールを導入して終わり」になる企業が多いのはこのためです。

ただ、逆に現場の人をリーダーにすると、一部の現場の業務は知っているものの、全体を俯瞰して適切なソリューションを活用するスキルや知識には欠ける可能性があります。

後藤 ソリューションが頭の中に入っていないと、業務の課題が「課題止まり」になってしまいます。「課題を把握する」というステップからなかなか先に進まない。さまざまなソリューションの選択肢を持っていることで初めて「この課題はこのソリューションで解決できる」というところにつなげられます。

DXは社内のチーム“だけ”では進めにくい

――だからこそ、多くの企業が社外のDXコンサルタントの手を借りるわけですね。

武藤 そうなんです。DXというのはSI(特定のシステムの企画や開発)に比べて範囲が非常に広く、専門性も高い領域です。現状の混沌とした社内業務の情報を的確に把握し、そこから最適なソリューションを導き出すという、非常に専門性の高い知識やスキルが求められます。

さらに、コンサルティング的な業務を社内の人がおこなうのは非常に困難です。「今の業務のやり方」というのは、担当している人にとっては既に「当たり前のもの」になっているので、脱却するのが難しい。やはり第三者の客観的な視点が入らないと、改善策を打ち出しにくいのです。

――ただ、もし優秀なDXコンサルタントが見つかった場合でも、外部の人材に協力を求めて、現状の現場の業務について深く理解してもらうのは、簡単なことではありません。

武藤 その通りです。多くのDXプロジェクトでは、今の業務がどんな作業の組み合わせで構成されているのか業務フローを整理して、外部のDXコンサルタントに伝えなくてはならないことが多い。しかし、その整理自体も時間がかかるので、多くの企業では、「どう手をつけたらいいのか分からない」という状態になっています。

後藤 業務を整理して最終的に目指す「あるべき姿」を具体的に描き、要件定義をするという作業が、非常に大きなハードルになっているのです。そこが進まないからDXが進まないというケースが少なくありません。業務の整理も、あるべき姿を描くことも、そもそもそこが自力でできていれば苦労しない。本音では「とにかく楽になればいいです」というところだと思うのですが。

――AutoDateでは、こうした作業負荷を、どのように軽減しているのでしょうか。

武藤 私たちは、その業務整理の段階からお任せいただいています。

――しかし、業種や業態、部署、さらには企業によって、業務の中身は大きく異なります。どのように業務を理解し、整理しているのでしょうか。

武藤 AutoDateではまず、業務の全体を見渡して、どこが「幹(みき)」で、どこが「枝」かを見極めます。幹は、自動化で対応するところで、枝は、社外に出して手動のオペレーションで対応するところです。枝は、例外処理などが発生する部分で、川で言うと支流のような扱いです。

多くのDXコンサルタントは、「幹と枝」という分け方をせず、すべての業務を自動化しようとします。例外処理も含めて全部の業務を均等に扱い、パターンA、パターンB、パターンC……などのパターン分けをして対応しようとすることが多い。そうすると、プロジェクトが非常に複雑になり、膨大なコストや時間、手間がかかってしまいます。

全部自動化するとなると、データの構造や粒度、フォーマットをすべてきれいに揃える必要があり、かなり大がかりになります。DXが結局「システムすべての総入れ替え」になることが多いのはこのためです。DXイコール「全部自動化しななくてはならない」「データが全部きれいになっていなくてはならない」ということになり、DXのハードルが上がってしまうのです。

私たちはそこのハードルをぐっと下げています。最初に幹と枝を見極めて、幹の部分を自動化しやすい形にできるだけ近付けます。枝の部分は、早い段階で自動化は諦めますが、社内に残さず、外に出してしまいます。それで社内の業務効率をぐっと上げるのです。

ただ、業務全体を見て、どこが幹でどこが枝かを見分けるためには、ソリューションをしっかり理解していることが必要です。そこが理解できていないと、どこを幹にしたらいいのかが分かりません。自動化が適しているところ、そうでないところを分けるからこそ、導入のコストも時間も手間も圧縮できるのです。

複数の専門家で分業し、チームでDXを進める

――ソリューションの理解、「鳥の目」と「虫の目」、第三者的な視点……と、求められる条件を兼ね備えた人材を確保するのはかなり難しいと思います。AutoDateでは、どのような体制で実現しているのでしょうか。

武藤 最初にお話ししたとおり、DXコンサルに求められるスキルや能力は非常に高く、人材は不足していますし、案件が増えるとそこがボトルネックになりかねません。

ですから私たちの場合は、もっと再現性をもって対応できるよう、機能を分解して複数の人で進められるようにしています。つまり、一人のスーパーマンがすべての作業を担当するのではなく、複数の専門家でチームを組み、分業しているのです。

お客さまとのコミュニケーションを担当し、プロジェクト全体を見るのが「ディレクター」です。通常だと、この立場の人が、現場の業務を理解して整理し、全体像を描くところまでおこなうと思うのですが、AutoDateの場合は、「現場の業務を理解して整理する」という役割は切り出して、「業務整理の専門家」が担当します。

全体の流れはこうです。最初はお客さまに、現場で従来通りの業務をしてもらい、その様子をZoomで録画します。その動画を、業務整理の専門家が見て、実際のファイルなども触りながら、どんな作業をしているかを理解して整理し、ドキュメント化します。

ディレクターは、そのドキュメントを見て業務を「幹」と「枝」に分け、自動化が可能な幹についてはエンジニアがすぐに開発を進めます。自動化が難しい枝の部分は、社外で迅速に処理できるよう設計して、オペレーションの担当者にトレーニングをおこないます。

分業することで、作業が誰かに集中することを防ぐことができますし、「ディレクターが全体設計を考えている間に、業務整理を進める」「自動化の仕組みを開発しながら、手動のオペレーションを設計したりトレーニングを進めたりする」など、並行して作業が進められるので、全体の導入期間も短くすることができます。複数の、異なる専門性を持ったエキスパートが集まった“チーム”で対応するのです。

こうして最終的には、ツールで自動化する部分と、人力で分業する部分を繋ぎ合わせ、AutoDateだけでその業務が自動的にまわっていくオペレーションを組み上げています。

後藤 私たちのDXは、「DXコンサルタント」という個人ではなく、専門家によって構成する「DXチーム」が進めています。こうした仕組みを持っているからこそ、「対応できない業務はありません」と自信を持って言うことができます。業務の規模についても、1つの業務から、部署全体の業務など、幅広く対応が可能です。ぜひ社外の「DX専門チーム」として活用していただきたいです。

〉AutoDateへのご相談はこちらから
https://autodate.jp/

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