〜直腸付近リンパ摘出ストーマ手術入院 実録〜⑩
ー手術後 9日目ー
深夜2時を回ろうとしていた。
肩の痛みとストーマあたりの痛みで起きた。
肩の痛みは寝相が悪かったか、
強直性脊椎炎のせいだろう。
ストーマの痛みはストーマを薄暗い中で見てもわからない。
昨日の午後の頑張りが水の泡に
なりませんように!
と思っていたら、
「どうして〜?!言ったのー!?」
とまた隣の寝言が始まり、
ガサガサと飴玉のふくろだろう、
すぐさまガリガリと砕ける音が斜め向かいからした。
いつものルーティーン。
では私もトイレに行こう。胃が痛いし。
病室を出てすぐ、廊下から機械音が何回も鳴り響いていた。いつもナースコールが多いが
この音は違う。
しかし、この前のトイレでの失敗があるので
そんな事は、お構いなしにトイレに行って
油断せずゆっくりストーマを確認するが、
これといって悪い所も変わった所もなかった。
シールも私にしてはシッカリ綺麗に
ついてるし、腸の色も綺麗だ。
形は手術直後と変わってしまったが...
私の腸の形は恥ずかしいが今では
男性の下の形にソックリだ。
思い出してクスッと笑いながらもう1回、
形を確認すると、夜のシャワーを
浴びた時より小さくなってる気がする。
そういえば、前に段々と最初より小さくなると聞いたっけな。腫れてたのが腫れがひくみたいな。私のような最初から腸がデカイ人も居れば
小さい人や、凹んでる人も居るらしい。
最初からデカイ方がよいんだとか。
別段、悪い所が無さそうなので排出物を捨てるか捨てないか見ると量が少なくてまた考える。
排出物は、食べ物によって色も変わり、
匂いも変わる。
最初は水ぽさが強かったが段々と、
ドロドロぽくなり、よく見たら固形な物も
少しあるし今じゃストーマの袋から、なかなか出てくれなくて捨てにくい時がある。
色が黄緑から赤に変わった直後、え!?血!?
て、びびってたっけ。
なんてことない。某有名な野菜生活ジュースが
朝の食事に出た日だった。
匂いは、煮魚等の魚を食べた時が1番、
生臭かった。
トイレで「くっさっ!」
と言ったなぁとぼんやりと思い出してながら、
またストーマを見て腸を覗き見る。
「...2時だから3.4.5.6.7...5時間ぐらいか」
指をおりながら時間を数える。
私は暗算が全くできない。
例えば目の前のリンゴの数を数えて!と言われて頭でイメージしてもリンゴが何個なんて指を使わないとほぼ数えきれない。
4個まではパッと見てもわかるが。
長くても5時間ストーマを放置するとわかり、
腸が可哀想になって捨てた。
トイレを出るとまだ機械音がけたたましく
鳴っていた。
音がなってる方へ見ると遠くの病室だけが
明るい。
そういえばあそこは歩いた時チラッと見えたが
1人しか入っておらず中はぎょっとするほど
機械と管やらが繋がれた患者がいた。
人それぞれ辛く頑張っている。
死んでもかまわない
ふいに前の自分の言葉を思い出した。
私はこの人達と全く関わりが無いし、
関係ないが、流石にこの言葉はこの人達に
失礼ではないか?
そういや前に夫に病院で嫌だ辛いと
弱音をはいていたら、
「言っちゃあ悪いかもだが、他にも手足が動けなかったり、おまえより病気がひどくて苦しんでる人いっぱい居るよ?」
と言われた事があったが、その時は、
私だってそんな事わかってるよ!
そうじゃないんだよ!
人はそれぞれ苦しさの度合いは違えど
苦しいんだよ!辛いんだよ!弱音ぐらい
吐いたってイイだろ!?...
てか昔むかし、お母さんに何回か言われて、
こんな風にムカムカしてたなぁ〜と
心で思いとどまって、そうだよね〜とか
なんとか言って適当に夫に言ってその場を
穏便に終わらせたっけ。
昔から体がきつくて母に弱音をはいてた時
にも言われたのだ。
私の病室の向かいの患者さんは同じストーマだがどうやら何ヶ月も入院していて入院退院を
繰り返してるみたいだ。
この前も先生がきて、点滴と食事の配分が難しくどうなるかわからないぽい事を
向かいの患者に話していた。
そして、病院か家か今はどっちに
居たいですか?とハッキリ聞こえて
ドキッとした。
要は、たとえ弱音を吐いてもいいが度合いが
ある。夫も母も冷静に考えれば私がこれ以上、
酷い弱音を失礼な弱音を、はかないように
言ったのだ。
例えば、死んでもかまわないとか。
あの時は解らなかったが私の為を
思ってだった。
暗い病室で
「気づかなくて、ごめん。」
と心の中で呟いた。
だから私なりに頑張ってるよ。
昨日の午後のレントゲン検査もバッチリで
血の検査も手術傷から炎症反応がみられないとのことで、主治医も担当医も今週の日曜日の
退院を満場一致で太鼓判おさんばかりに、
良いと言ってくれた。
それを聞いた看護師は慌てて、ストーマを教える作業や実際に自分一人でストーマをつける
という訓練のスケジュールをくみだすも、
2転3転スケジュールが変わった。
そりゃそうだ。まだ1回も1人でストーマを
新しく交換した事ないし、当初は早くても
退院は入院11月の週の中半からして12月の
前半の週あたりです。
と先生から言われていたのだ。
簡単に言うと、早くても3週間いくかいかないか?てやつが2週間もたたないうちに退院に
なろうとしているのだ。
そりゃあ、あわてるわな。
急に午後の手術してから1度も入ってない
久々のシャワーでストーマを1人でつけてる所を看護師に見てもらう事となった。
本来ならストーマ交換の時にシャワーで
しなくても腸を洗える物があり、
(泡石鹸みたいなもの。注文で買えるよ!)
それをつけて肌に優しいふきもので拭けば
OKだ。
しかし、シャワーを全然してない肌に苦手な
ストーマのテープは肌の弱い私には大ダメージだったのかストーマのテープあたり全体の
皮膚が痒い!
1度、皮膚の状態も見るためにもシャワーで
ストーマ交換してみないか?と言われて
私も経験になるし、もしかしたらしなきゃならない時だっであるかもしれないと思いやった。
結果は私なりに大成功。
看護師さんから
1人で何でも意欲的にしようと努力してて
凄い!初めて1人でしてるのに完璧!若いからかな?て言われたから真剣な顔をして挑んだ
私の顔が嬉しさで少しゆるみながらも、
若さとか関係ない!
と思いながらハッキリ言った。
「いや、誰もコレは助けてくれないし、結局、退院したら自分でしなきゃならんからよ。」
私の話を聞いてた看護師がしみじみと、
しかし力強く言った。
「今の言葉、他の患者に聞かせてやりたい!」
どうやら退院できそうな感じだ。
胃を擦りながら朝のトイレに行く。
夜に寝言を言う隣の患者の後ろ姿がみえた。
この患者、ストーマじゃなく腸の内視鏡検査をしに来たのと睡眠が浅いためにどうやら入院してたみたいだ。確かに睡眠薬を調整してたわ。
どうやら今日退院らしい。
お大事に。
とこっそり後ろ姿につぶやいた。
今日はやっとぐっすり寝れそうだ。
(画像は、医療保険からきた書類。
まぁ、そうだよね...ドレーン法は適用外だよね😭)
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