未来のはなしがしたい
賛成か反対か、なんてはっきり言い切れるわけがない。
私たちがこれまで生活の糧としてきた「漁業」の危機でもあり、大切なふるさとの存続の危機でもあるのだから。
漁師が最後の砦のような構図になってしまったのはどうしてだろう。
「漁業者の方には申し訳ないけど、流すしかないと思う」という完全に他人事な消費者の言葉がテレビから流れてきて、膝から力が抜けてしまった。
時間という薬と、関係者の並々ならぬ頑張りがあって、ようやくここまで来た、踏ん張ってきたという印象だった。
それでも、今でもいわき市の沿岸漁業の生産量は震災前年の2割弱。その量で震災前と同じ値しかつかないということはどういうことか。それ以上獲れれば値崩れするということ。
二割の水揚げで食っていけるもんか。
私の感覚としては、まだ風評払拭は道半ばの印象。そのうえで今回の出来事。
いわきの漁業の将来像が、一瞬かすんで見えてしまった。
30代前半の私たちは高校や大学生卒業という進路を決めるタイミングで被災したため、いったんは後継者の道を絶たれている。
そこから後継者として浜に戻りめちゃくちゃ頑張っている人たちもいる。
本当にすごい。
遠巻きに見てきた、いまだに当事者になり切れていない私は、結局何をしてきたのだろう。
漁業のどん底も家族と一緒に味わったことがある。
漁業は死と隣り合わせであると突きつけられる瞬間もたくさんあった。
歯を食いしばって踏ん張っている親の姿を見てきた。
一方で、全国の漁業を知って、いろんな人の視点に触れて、漁業の光も見つけた。
漁業は「食料生産」をしている不可欠な産業なのだと知った。
漁師って楽しくて仕方ないっていうカッコイイ漁師たちにも会った。
私には見つけられなかった漁業の価値を知った。
協同組合が根底にある日本の沿岸漁業の可能性を知った。
漁業の喜びだって、家族と一緒に味わってきた。
必要なのは、賛否の議論じゃなくて、未来を想像・創造する議論。
もっとお金貯めとけばよかった(笑)
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