#2 我が家の真実告知(特別養子縁組)
こちらの記事の続きになります。
「◯◯ちゃんは誰が産んでくれたの?」(3歳7ヶ月)
お世話になっている養子縁組団体の集まりに参加した翌日、久しぶりに質問が出たのですが、たった数ヶ月で質問が高度になっていて驚いてたことを覚えています。
この頃には赤ちゃんはおっぱいを飲むんだよ等、話をすることが増えていましたが、もしかしたら園でそういった類の絵本の読み聞かせがあったのかもしれません。
我が家は普段、何処かに出掛ける際には必ず行く場所や一緒に遊ぶお友達のこと、どうゆうことをして遊ぶのかを説明をするようにしているのですが、その日は同じ養子縁組団体のAブロック(※)のお友達と遊ぶこと、いつも仲良くしている同じBブロックのお友達は来ないこと、だけど色んなお友達がたくさん来るからきっと楽しいよ、ということを説明しました。
「何のお友達がいるの?」
と聞いて来たので、Aブロックに住んでいる▲▲(所属している養子縁組団体)のお友達だということ、今日会うお友達も息子くんと同じでMさん(養子縁組団体の代表)がパパやママのところに連れて来てくれた子たちなんだよ、と答えました。
そして楽しく過ごした帰りの車中でのことです。
「ママはどこから生まれたの?」
「パパはどこから生まれたの?」
という、お決まりの質問が始まりました。
ただ、一番最初は「どこから来たの?」だったのが、たった4ヶ月で「どこから生まれたの?」という言い方に変わっていました。
そんな言い回しに成長を感じながら、いつもの如く質問に答えた後です。
「じゃぁママは誰を産んだの?」
おおおー!これは今までにないパターンの質問です。
ドキドキしながらも、ママは誰のことも産んでないよ〜と明るく答えました。
「なんで?」
だってほら、ママのお腹が壊れてるって前に話したじゃない?だからママのお腹には赤ちゃんが出来なかったんだよ。
「じゃぁ〇〇ちゃんは誰が産んでくれたの?」
そうだよね、やっぱりそこが一番の疑問なんだよね。
なので、息子くんはAさんって人が生んでくれて、その後Mさんがパパとママのところに息子くんを連れて来てくれたんだよ、と答えると満面の笑みを浮かべて恥ずかしそうにしながらも、嬉しそうにしていました。
そして、この会話を最後に暫くは何も聞いて来なくなりました。
初めて聞いて来た、お父さんのこと(4歳0ヶ月)
あの会話から5ヶ月後、夜お布団に入った時でした。
「ママー、Mさんって男?」
と、いきなり質問されたので、違うよ〜女の人だよと答えました。
久しぶりにこのネタか?とドキドキ身構えてしてしまった私。
この手の話や胎内記憶の話は息子の場合、養子縁組団体のお友達と遊んだ後、お布団にもぐりこんだ夜に始まることが多かったです。
「○○ちゃん、男から生まれたかった。」
男の人は赤ちゃんは生めないんだよ。
「じゃぁ〇〇ちゃんを生んでくれたのはお母さん?」
うん、息子くんを生んでくれたAさんだよ。
Aさんが息子くんを生んでくれてMさんがパパとママのところに連れて来てくれたんだよ。
「じゃぁお父さんは?」
お父さんについて聞いて来たのは初めてでしたが、生みのお父さんの情報はほとんどありません。
お、とう、さん…かぁー(しどろもどろ)
ママはあまり詳しいことはわからないけど、パパとは別で息子くんを生んでくれ、た?お父さんがいるよ。
あーーーーバカバカ!私のバカ!!
お父さんのことを聞かれた場合にもスムーズに答えられるようにシュミレーションしておけば良かった。
しかし、もうここまで理解が進んでいたのかと驚くばかりでしたが、この日は最後に嬉しいことを言ってくれました。
「〇〇ちゃん、ママが一番好き。あとMちゃん(私の母)も大好き。」
おいおい、パパはどこ行ったー(笑)と思ったけど、とても嬉しかったです。
なので私も、ママも息子くんのことが世界で一番大好きだよ。
ママもパパも息子くんと出会えて家族になれて本当に幸せなんだ、と伝えました。
「このママがいい」(4歳7ヶ月)
お父さんについて聞いて来た日から更に7ヶ月後、何の前触れもなく出自の質問をして来ました。
いきなりどうした?と思ったら・・・そっか、 久しぶりに同じ団体のお友達と遊んだからだ!
やっぱり、お友達と遊んだ後は必ずと言っていいほど質問が飛びます。
これが養子仲間ではないお友達と遊んだ後は聞いて来ないから、息子なりに何か思うこと、感じることがあるんだろうなぁと思います。
毎回おさらいするように同じ質問をして来るけれど、どういう訳か何度説明してもMさんから生まれたということに脳内変換されていて、違うよ、息子くんはAさんから生まれて、その後Mさんがママとパパのところに連れて来てくれたんだよ、というところから説明から始まります。
「じゃあAさんが○○ちゃんのの本当のママなの?」
誰に教えてもらったわけでもないのに、”本当のママ”と言う言葉を息子自身の口から初めて聞いてドキッとしました。
もうこんなふうに表現出来るようになったのかという驚きとともに、自分は本物じゃないママなんだろうかと、ちょっぴり悲しくもなりましたが、何か返事をしなければ!と思いつつ、突然の質問だったので上手い言葉が見つからなくて咄嗟に、そうだね、そう言うことになるかな・・・と、答えてしまいました。
何かもっと上手な言い回しがあったかもしれないのに、自分のボキャブラリーのなさに自己嫌悪に陥っている暇もない位、息子の質問は続きます。
「えっ!じゃぁママ(私のこと)は?」
明らかに混乱した様子でした。
なので、ママもママだよ〜と、またしても何だかぼんやりとした、答えになっていないような言葉で答えてしまいました。
「じゃぁHくん(園の仲良しのお友達)も違うママから生まれたの?」
どんどん質問が続く中、幼稚園のお友達の名前を初めて出して来ました。
なので、ううん、HくんはHくんを生んだママと一緒に住んでいるよ、と答えると、
「えー・・・じゃあ何で○○ちゃんは違うの?」
この頃から幼稚園のお友達と自分との違いを感じ始めていたようでしたが、ママは赤ちゃんが産めない身体だったって前に言ったでしょ?そしたらAさんのところに息子くんが生まれて、Mさんがパパとママのところに連れて来てくれたんだよ、と、お決まりの説明をしました。
いつもならここで、へー・・・と言った感じで終わっていましたが、この日は違います。
「何でAさんは◯◯ちゃんをMさんに渡したの?」
またまた新しい質問に焦る私。
ここで少しだけ、わかりやすく伝えられる範囲で事情を説明しました。
そうだ!前にも見せたことあるけどAさんの写真見る?と聞くと、「えー!写真?見てみたい!」というので写真を見せてあげました。
「・・・これがAさん?」
と言いながら不思議そうに見ていました。
「この(抱っこされている)赤ちゃんは?○○ちゃん?」
そうだよ。小さいね♪
「これ(写真に写る背景を見て)は、おうち?」
いや、多分違うんじゃないかな。
そんなやり取りの後、息子が我が家にやって来た日の写真も見せました。
私たちに抱っこされている3人での一番最初の記念写真です。
それを見た後、「◯◯ちゃん、このママがよかった。」と言って、私の膝に頭を乗せて来たので、え、どのママ?と一瞬ドキッとして聞き返したら、「(私を指差して)もー!あなたのことですよー♪○○ちゃん、ママがいい♪」と言いながら膝に顔をうずめて来ました。
愛と感謝と共に、理解できるまで何度でも伝える
後日、お父さんのことはどんなふうに伝えたらいいのだろうかと、仲のいい養親仲間数人に相談してみたのですが、お父さんのことを聞いて来たお友達が周りにおらず、それ以前に告知もまだというお友達も少なくありませんでした。
お父さんについての質問はあの時が最初で最後でしたが、この先また聞かれるかもしれないなと心に留めつつ、お父さんのことを聞かれた場合の質問の答えも考えておかなければな〜と思っているところです。
ただ、やはりわからないものはわからないので、大きくなったら一緒に調べる旅に出てみようとか、Mさんに聞いてみようとか、そんなことを伝えようかなと考えています。
振り返ってみたら私も幼い頃、あなたは橋の下に捨てられてたんだと両親から言われたことがありました。
大人の悪い冗談でしたが、そんなことは子供には通用しませんよね。
私はその時、それを真に受けてとてもショックを受けたと同時に、本当のお父さんとお母さんじゃないならいつか捨てられるかもしれない、という不安を抱いた気持ちまでしっかり覚えています。
息子にはそんなふうに思ってもらいたくないから、望まれて生まれてこの家に来たこと、大切で愛しい存在なのだということも伝えて行けたらと思っています。
ちなみに個人差はあると思いますが、息子の場合、自分の出自を完全に理解出来たのは年長さんの時でした。
それまでは何度も同じことを聞かれ、その度に私も何度も同じ説明を繰り返して、その時々の年齢で新たな質問も加わり、どんどん高度になって行った感じです。
私は言葉で説明することがあまり得意ではないのですが、下手くそなりに心がけているのは、
子供だからと誤魔化すことなく、1人の人間として尊重するスタンスで接する。
息子の不安や疑問には伝えられる範囲でわかりやすい言葉を選び、心を込めて答える。
感謝や愛の気持ちを伝える。
普段の日常でも同様ですが、ただただ、これに尽きるなと個人的には思っています。
生んでないけど、ずっと家族、ずっと親子、大切で愛しい存在、生まれて来てくれてありがとう、出会ってくれてありがとう、家族になってくれてありがとう、そんな気持ちも伝え続けて行きたいと思っています。
日々試行錯誤だけれど、私も夫も息子を通じて人として成長させてもらっているなと感じる今日この頃です。
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