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地銀での融資成功率を3倍にする5つのポイント

「久しぶりに設備投資資金を地銀に打診したのだが、反応が芳しくない」

「増加運転資金を借りたいが、取引のある地銀の融資枠が一杯でこれ以上借りられない」

「地銀に決算書を持参したら、従来と異なり根掘り葉掘りヒアリングされた」

設備投資資金、増加運転資金などの融資を打診する際、どのようにして「融資の成功率」を上げるかという課題に直面します。

また、決算報告で、従来は簡単な説明だけで大丈夫だったのに、今回は根掘り葉掘りいろいろなことをヒアリングされた経験をされた経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

地銀(地方銀行)の融資成功率を3倍にするためには、大きく5つのポイントがあります。
この5つのポイントについて、その背景も含めてきちんと理解し、実践しなければ、融資が不可になってしまったり、融資が認可になっても融資条件が悪くなったりと、本来得られるはずの融資を獲得できない恐れもあります。

目次 [非表示]

1.はじめに

コロナ禍を乗り越え、多くの企業が売上の回復を果たしてきた今、新たな課題として地銀から融資を引き出すことの難しさが浮上してきました。

地銀は地域の経済を支える大切な存在であり、多くの中小企業にとってメインバンクとしての役割を果たしています。しかし、近年の経済状況や銀行側の審査基準の厳格化により、融資を受けることが難しくなってきているのも事実です。

特に、業績が順調に推移しているにも関わらず、運転資金の確保が難しいというジレンマに直面している企業も少なくありません。このような状況下で、どのようにして地銀からの融資を確保すれば良いのか、具体的な行動計画はどう策定すれば良いのか、多くの経営者が悩んでいます。

このコラムでは、そんな中小企業経営者の皆様に向けて、地銀からの融資を成功させるための具体的な方法やポイントをご紹介します。私自身の経験や実際に成功した事例をもとに、地銀との良好な関係を築き、必要な融資を確保するためのノウハウを共有いたします。

2.地銀融資のメリット・デメリット

2.1. メリット

①地域密着型のサービス

地銀はその名の通り、特定の地域に密着してサービスを提供しています。そのため、地域の経済状況や企業の実情をよく理解しており、地域企業のニーズに合わせた融資を行うことができます。

②柔軟な対応

地銀は大手銀行と比べて小規模なため、個別の企業の状況に合わせた柔軟な融資対応が可能です。特に、小規模な融資や短期間の融資に対して迅速に対応してくれることが多いです。

③信用情報の取り扱い

大手銀行と比べて、地銀は信用情報の取り扱いが比較的緩やかです。これは、地銀が地域の実情をよく知っているため、一時的な業績の悪化などを柔軟に考慮してくれることが多いからです。

④地域経済への貢献

地銀は地域経済の発展を目指して活動しています。そのため、地域企業の成長をサポートするための融資を積極的に行っています。

2.2. デメリット

①融資の上限

大手銀行と比べて、地銀の融資の上限が低いことがあります。
特に、大規模な事業拡大や設備投資を考えている企業にとっては、融資額が足りない場合があるかもしれません。

②審査の厳格さ

一部の地銀では、融資の審査が厳しいことがあります。これは、地銀がリスクを避けるために、融資の審査基準を高く設定していることが考えられます。

③情報開示の要求

地銀は地域企業の実情をよく知りたいと考えているため、融資を受ける際に詳細な情報開示を求められることがあります。これにより、企業の負担が増えることが考えられます。

④担保の要求

地銀は融資の際に担保を重視する傾向があります。そのため、適切な担保を提供できない企業にとっては、融資を受けるのが難しい場合があります。

これらのメリット・デメリットを踏まえて、地銀融資を検討する際には、自社の状況やニーズに合わせて最適な選択をすることが重要です。

3.地銀融資の実態とは?

地銀は地域経済を支える重要な役割を果たしていますが、近年、多くの中小企業が融資の難しさを感じています。特に、業績が順調でも運転資金の確保が難しいという現実があります。

地銀(地方銀行)は、その名の通り、特定の地域に密着した銀行としての役割を果たしています。そのため、地域の中小企業や個人事業主との取引が多いのが特徴です。しかし、近年の地銀融資の実態には、多くの中小企業オーナーや経営者が驚くような事実が隠されています。

3.1. 融資審査の厳格化

近年、金融庁の指導のもと、銀行全体の融資審査が厳格化しています。地銀も例外ではなく、特に新規の融資や大きな金額の融資に対しては、以前よりも詳細な審査が行われるようになっています。

融資審査の厳格化は、金融機関がリスクを最小限に抑えるための措置として行われています。以下に、その背景や具体的な内容について説明します。

①背景: 金融危機の影響

2008年のリーマンショックをはじめとする金融危機は、世界中の金融機関に大きな影響を与えました。この危機を受けて、多くの銀行が融資審査の基準を見直し、より厳格な審査を行うようになりました。

②金融庁の指導

金融庁は、銀行の健全な経営を維持するために、融資審査の基準を厳格化するよう指導しています。特に、不良債権の増加を防ぐための措置として、このような指導が行われています。

③審査のポイント

・事業計画の詳細性: 金融機関は、融資を行う際に、事業計画の具体性や実現可能性を重視します。

・過去の取引履歴: 以前からの取引履歴や返済実績が良好であるかどうかも、審査の重要なポイントとなります。

・担保の有無: 適切な担保が提供できるかどうかも、融資の可否を決める要因となります。

・業界の将来性: 金融機関は、融資を行う企業が所属する業界の将来性や競争状況を考慮します。

④中小企業への影響

融資審査の厳格化は、特に中小企業や新興企業に影響を与えています。これらの企業は、大手企業と比べて財務基盤が脆弱であるため、厳しい審査基準をクリアするのが難しくなっています。

⑤対策

融資審査の厳格化を乗り越えるためには、明確な事業計画の提示や適切な担保の提供、金融機関との信頼関係の構築などが求められます。

融資審査の厳格化は、金融機関がリスクを回避するための措置であり、企業側もこの状況を理解し、適切な対策を講じることが求められます。

3.2. 地域経済の停滞

地銀が主に取引を行っている地域の経済が停滞している場合、銀行自体の業績が厳しくなることから、新たな融資に対して消極的になることがあります。

地域経済の停滞が地銀融資に与える影響は、多方面にわたります。以下にその主な点を詳しく説明します。

①地域経済の成長率低下

地域経済が停滞している場合、その地域の企業の売上や利益が伸び悩むことが一般的です。これは、地銀が融資先として検討する際の重要な指標となります。

②企業の資金需要の減少

地域経済が停滞すると、新規事業の立ち上げや拡大投資を行う企業が減少します。これにより、地銀への融資需要が全体的に減少する傾向があります。

③不良債権の増加

地域経済の停滞は、企業の倒産率の増加につながることがあります。これにより、地銀の不良債権が増加し、新たな融資に対するリスク回避姿勢が強まる可能性があります。

④地銀の収益性への影響

地域経済の停滞は、地銀自体の収益にも影響を及ぼします。融資による利息収入の減少や不良債権の増加は、地銀の財務状況を悪化させ、融資ポリシーをより慎重なものに変える要因となります。

⑤地域密着型サービスの変化

地域経済の停滞に伴い、地銀は地域社会への貢献やサポートの形を変えることがあります。例えば、よりリスクの低い事業や、地域社会に直接的な貢献をもたらす事業への融資を優先するようになることが考えられます。

これらの点を踏まえると、地域経済の停滞は、地銀の融資姿勢に大きな影響を与えることがわかります。そのため、融資を受ける際には、これらの状況を理解し、地銀の現在のニーズや方針に合わせたアプローチが求められます。

3.3. 過去の不良債権の影響

地銀にも、バブル期の不良債権が残っている場合があります。そのため、新たなリスクを避けるために、融資のハードルを上げていることが考えられます。

①過去の不良債権とは

不良債権とは、返済が滞っているか、返済能力が低いと見られる貸出金のことです。これには、貸倒れ(回収不能となった貸出金)も含まれます。

日本では、バブル経済の崩壊後、多くの企業や個人が借入れを返済できなくなり、銀行の貸出金が不良債権化しました。

②地銀における不良債権の影響

・資本基盤の弱体化

不良債権が多いと、地銀の財務状況が悪化し、資本基盤が弱くなります。これにより、新たな融資リスクを取る能力が低下します。

・融資審査の厳格化

過去の経験から、地銀は融資審査をより厳格に行う傾向があります。特に、返済能力に疑問がある企業や新規事業に対する融資は控えめになることが多いです。

・リスク回避姿勢

不良債権の経験は、地銀が新たな融資に対してリスク回避的な姿勢を取る原因となります。これは、特に経済状況が不安定な時期に顕著になります。

・融資ポートフォリオの変更

不良債権の発生を受けて、地銀は融資ポートフォリオを見直し、より安全な業種や事業への融資に重点を置くようになることがあります。

・経営改革の必要性

不良債権の処理とそれに伴う財務改善のため、地銀は経営改革を余儀なくされることがあります。これにより、融資活動にも影響が出ることがあります。

③経営者への影響

・融資による資金調達難:地銀の融資が厳格化することで、中小企業や新規事業が資金を調達することが難しくなります。

・厳しい融資条件:融資を受けるためには、より厳しい融資条件(担保や保証)を満たす必要があります。

④対策

・信頼関係の構築:地銀との長期的な関係を築き、信頼を得ることが重要です。

・透明な経営:財務状況を透明にし、健全な経営を行うことで、融資の可能性を高めます。

・専門家の活用:経営コンサルタントや金融アドバイザーの助言を受け、適切な融資戦略を立てることが有効です。

過去の不良債権は、地銀の融資姿勢に大きな影響を与える要因の一つです。これを理解し、適切に対応することが、融資成功の鍵となります

3.4. 地銀独自の融資基準

地銀には、大手銀行とは異なる独自の融資基準やポリシーが存在します。これにより、一見融資が難しそうに見える企業でも、地銀の基準に合致していれば融資を受けることができる場合があります。

地銀は、大手銀行と比べて地域に密着したサービスを提供しており、その融資基準も地域特有のニーズに合わせて設定されていることが多いです。以下は、地銀独自の融資基準の特徴です。

①地域経済への理解と対応

地銀はその地域の経済状況や特性を深く理解しており、地域特有の産業やビジネスに対する融資に積極的です。

②中小企業への支援

地銀は中小企業や個人事業主に対して、大手銀行よりも柔軟な融資基準を設けることがあります。これにより、小規模ながら地域に根差した事業に対しても融資が行われやすくなります。

③長期的な関係の重視

地銀は長期的な取引関係を重視し、過去の取引履歴や信頼関係を融資の判断基準に加えることがあります。

④地域貢献度の評価

地域社会への貢献や地域経済への影響を融資の判断材料とすることがあります。地域に密着した事業展開を行っている企業は、融資を受けやすくなる傾向があります。

⑤独自のリスク評価

地銀は、大手銀行とは異なる独自のリスク評価基準を持っていることがあります。これにより、特定の業種や事業モデルに対して、より柔軟な融資が可能になる場合があります。

これらの特徴を理解し、地銀の融資基準に合わせた融資申請を行うことが、融資成功の鍵となります。地銀との良好な関係構築と、地域に根差した事業計画の提示が重要です。

3.5. 地域の競合との関係

地銀が営業している地域によっては、他の金融機関との競合が激しい場合があります。そのため、競合他行との差別化を図るために、特定の業種や事業内容に特化した融資サービスを提供していることもあります。地域の競合と地銀の関係について説明します。

①競合他行との関係性

地銀は、その営業地域内で他の金融機関と競合しています。この競争は、顧客獲得、利息率、サービスの質など様々な面で影響を及ぼします。地銀は、他行との差別化を図るために特定のサービスや製品を提供することがあります。

②地域経済への影響

地銀は地域経済に大きく影響を与えます。競合他行が多い地域では、地銀はより積極的に地域経済の発展に貢献するための融資やサポートを行うことがあります。

③顧客の選択肢と影響

地域に複数の金融機関が存在する場合、顧客はどの金融機関にするか、より多くの選択肢を持ちます。これにより、地銀は顧客のニーズに合わせた柔軟な融資オプションや特別なサービスを提供することで、競争に対応します。

④特化したサービスの提供

地銀は、特定の業種や事業に特化した融資プログラムを提供することで、他行との差別化を図ることがあります。これにより、特定の業界に属する企業にとって魅力的な選択肢となることがあります。

⑤地域社会との関係強化

地銀は地域社会との密接な関係を重視します。競合他行との関係においても、地域社会への貢献やサポートを通じて、地域住民や企業からの信頼を獲得しようと努めます。

このように、地銀は地域の競合状況に応じて、その戦略やサービスを調整し、顧客のニーズに応え、地域経済に貢献することを目指しています。そのため、地銀からの融資を受ける際には、これらの地域特有の競合状況を理解し、それに合わせたアプローチを取ることが重要です。

これらの実態を踏まえると、地銀からの融資を成功させるためには、ただ単に業績が良いだけではなく、地銀の特性やニーズを理解し、それに合わせたアプローチが必要となります。

4.地銀での融資成功率を3倍にする5つのポイント

4.1. 信頼関係の構築

地銀との長期的な取引履歴や信頼関係を築くことが重要です。

地銀との信頼関係の構築は、融資を受ける上での最も基本的な要素となります。以下に、信頼関係を築くための具体的なステップと方法を解説します。

①長期的な取引履歴の形成

  • 地銀は、取引履歴を重視する傾向があります。長期的な取引を続けることで、企業の安定性や信頼性を地銀に示すことができます。

    • 定期的な預金や融資の返済、その他の金融取引を通じて、地銀との関係を深化させましょう。

②定期的な情報提供

  • 企業の業績や経営状況を定期的に地銀に報告することで、透明性を高めることができます。

    • 特に、業績が好調な場合や新しい事業展開などのポジティブな情報を積極的に共有することで、信頼関係を強化することができます。

③地銀のイベントやセミナーへの参加

  • 地銀が主催するイベントやセミナーに参加することで、直接的なコミュニケーションの機会を増やすことができます。

    • これにより、企業の顔として地銀の担当者との関係を深化させることができます。 

④問題が発生した場合の迅速な対応

  • 何らかの理由で融資の返済が遅れる場合や、業績が悪化する可能性がある場合は、事前に地銀に連絡し、状況を説明することが重要です。

    • このような迅速な対応を通じて、企業の誠実さや信頼性を地銀に示すことができます。

⑤地銀の提案やアドバイスを受け入れる姿勢

  • 地銀からの提案やアドバイスに対して、柔軟に受け入れる姿勢を持つことで、協力的な関係を築くことができます。

    • また、地銀の提案を実際に取り入れることで、その成果を共有することができます。

信頼関係の構築は一朝一夕にはできませんが、上記のステップを実践することで、地銀との強固な関係を築くことができます。この信頼関係が、融資の成功率を大幅に向上させる鍵となります。

4.2. 明確なビジネスプランの提示

融資の目的や返済計画を明確にすることで、地銀も安心して融資を行うことができます。

地銀や他の金融機関が融資を行う際、企業の信用や将来性を評価する重要な材料となるのが「ビジネスプラン」です。以下に、明確なビジネスプランを提示するための詳細なポイントを解説します。

①ビジネスの目的とビジョンの明確化

  • 事業の目的や中長期的なビジョンを明確に示すことで、地銀に対して事業の方向性や将来性を伝えることができます。

②過去の実績と将来の予測

  • 過去の売上や利益の実績、そして将来の売上や利益の予測を具体的な数字で示すことで、事業の健全性や成長性をアピールできます。

③市場分析

  • 対象とする市場の規模や成長率、競合状況などを詳細に分析し、自社の位置付けや市場での競争力を明確にすることが重要です。

④財務計画

  • 収益予測、キャッシュフロー計画、バランスシート予測など、具体的な財務計画を提示することで、融資の返済能力を示すことができます。

⑤リスク管理

  • 事業を進める上でのリスクや課題を明確にし、それに対する対策や戦略を具体的に示すことで、地銀に対して事業の安定性を伝えることができます。

⑥融資の具体的な使途

  • 融資を受ける目的や具体的な使途を明確にすることで、地銀に対して資金の適切な使い道を示すことができます。

⑦アクションプラン

  • ビジネスプランを実現するための具体的なアクションやステップを示すことで、計画の実行可能性を高めることができます。

明確なビジネスプランを提示することで、地銀は企業の将来性や信用をより高く評価することができ、融資の成功率を大幅に上げることが期待できます。ビジネスプランは、企業の「道しるべ」とも言えるものですので、しっかりと作成し、地銀に提示することが重要です。

4.3. 適切な担保の提供

地銀は担保を重視する傾向がありますので、適切な担保を用意することがポイントとなります。

地銀や他の金融機関での融資を受ける際、担保は非常に重要な要素となります。担保とは、融資を受ける側が返済不能となった場合に、金融機関がその代わりに取得できる資産や権利のことを指します。以下、適切な担保の提供に関する詳細を解説します。

①担保の種類

  • 不動産担保

    • 土地や建物などの不動産を担保として提供する。金額が大きい融資の際によく用いられる。

  • 動産担保

    • 機械や車、在庫などの動産を担保として提供する。

  • 保証人

    • 信用力のある第三者が返済の保証人となる方法。

  • 預金担保

    • 預金を担保として差し入れる方法。  

②担保の評価額

  • 担保として提供する資産の市場価値と、金融機関が評価する価値(担保評価額)は異なることが多い。通常、金融機関はリスクを考慮して、市場価値よりも低い価値を担保評価額として設定します。

③担保の選定のポイント

  • 流動性

    • 金融機関は、担保として提供される資産が迅速に現金化できるかを重視します。例えば、市場での需要が高い不動産や機械は評価が高まる可能性があります。

  • 状態の良さ

    • 建物や機械の状態が良好であれば、評価額が上がることが期待されます。

  • 位置やアクセス

    • 不動産の場合、立地や交通の便が良い場所は評価が高まることが多いです。  

④担保提供の際の注意点

  • 過度な担保の提供

    • 必要以上に多くの担保を提供することは、企業の資産を固定化するリスクがあるため、避けるべきです。

  • 担保変更の交渉

    • 業績が好転した場合や、他の条件が改善された場合には、担保の変更や減少を金融機関に申し入れすることが大切です。

⑤担保と信用保証協会

  • 信用保証協会を利用することで、担保や保証人の不足を補完することが可能です。信用保証協会は、中小企業の融資をサポートするための公的な機関であり、一定の条件を満たすことで保証を受けることができます。

適切な担保の提供は、地銀からの融資を成功させるための重要なステップです。自社の資産を正確に把握し、最も適切な担保を選定することで、融資の成功率を高めることができます。

4.4. 定期的な情報提供

地銀とのコミュニケーションを密にし、業績や経営状況を定期的に報告することで、信頼関係を深めることができます。

地銀との信頼関係を築く上で、定期的な情報提供は非常に重要な要素となります。以下に、その詳細と具体的な方法を解説します。

①なぜ定期的な情報提供が必要なのか

  • 信頼関係の強化

    • 地銀は、取引先企業の経営状況や財務状況を把握することで、リスクを評価します。定期的に情報を提供することで、企業の透明性が高まり、銀行との信頼関係が強化されます。

  • 臨機応変な対応

    • 予期せぬトラブルや経営課題が発生した際、既に情報が共有されていれば、迅速に対応することが可能となります。

②どのような情報を提供するべきか

  • 財務諸表

    • 損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの基本的な財務情報。

  • 経営計画

    • 中長期の経営ビジョン、年間の業績予測、投資計画など。

  • 業績の変動に関する情報

    • 売上の増減、新たな取引先や契約の獲得、重要なプロジェクトの進捗状況など。

  • 市場の動向

    • 業界のトレンド、競合情報、新たな市場機会など。

③情報提供の頻度と方法

  • 情報提供の頻度

    • 少なくとも四半期ごとに基本的な財務情報を提供。重要な変動がある場合は、それを随時報告。

  • 情報提供の方法

    • 定期的な面談やミーティングを設定し、情報を直接伝える。また、資料やレポートを作成してメールや郵送で提供。

④情報提供のポイント

  • 正確性

    • 提供する情報は正確であることが前提。誤った情報を提供すると、信頼を損なう原因となります。

  • 透明性

    • 良い情報だけでなく、課題や問題点も正直に共有。隠蔽すると、後で大きな問題となる可能性があります。

  • 即時性

    • 情報は適切なタイミングで提供。遅れると、銀行の判断材料としての価値が低下します。

定期的な情報提供は、地銀との長期的な関係を築く上での鍵となります。この取り組みを通じて、融資の成功率を高めることが期待できます。

4.5. 専門家の活用

信用保証協会や経営コンサルタントの意見を取り入れることで、より確実な融資を受けることができます。

地銀からの融資を受ける際、専門家の活用は非常に有効な手段となります。以下に、専門家の活用について解説します。

①専門家とは

専門家とは、経営コンサルタント、税理士、公認会計士、信用保証協会のアドバイザーなど、ビジネスや融資に関する専門的な知識や経験を持つプロフェッショナルを指します。

②専門家の役割

  • ビジネスプランの策定

    • 専門家は、事業計画や融資計画の策定をサポートします。具体的な数字や戦略を明確にすることで、地銀からの信頼を得ることができます。

  • 融資申請書の作成

    • 融資申請書は、地銀からの融資を受けるための重要な書類です。専門家は、申請書の内容を最適化し、成功率を高めるためのアドバイスを提供します。

  • 交渉のサポート

    • 地銀との交渉は、専門的な知識や経験が求められる場面が多いです。専門家は、そのような交渉をサポートし、より有利な条件での融資を実現します。

③専門家の選び方

  • 実績の確認

    • 専門家を選ぶ際は、その人の過去の実績や評価を確認することが重要です。成功事例やクライアントの声などを参考に、信頼できる専門家を選ぶようにしましょう。

  • 専門分野の確認

    • 専門家にはそれぞれ得意な分野や専門分野があります。自社のニーズに合った専門家を選ぶことで、より的確なサポートを受けることができます。

専門家の活用は、地銀からの融資成功率を大幅に上げるための有効な手段となります。適切な専門家を選び、その知識や経験を最大限に活用することで、地銀との良好な関係を築き、融資を成功させることができます。

5.実際の成功事例

会社概要:ABC製造株式会社

  • 業種:製造業

  • 所在地:千葉県

  • 年間売上:約15億円

  • 設立年数:20年

  • 従業員数:30人

背景

  • 融資前の状況

    • ABC製造は着実な成長を遂げていましたが、生産ラインの拡張と新市場への進出のための追加運転資金が必要でした。

  • 課題

    • 強固なビジネスモデルと良好な収益にも関わらず、千葉の地方銀行からの融資を確保することに苦労していました。

アプローチと戦略

  • 銀行との強固な関係構築

    • ビジネスプランと財務ニーズについて話し合うための銀行支店長と当社代表者との定期的なミーティング。

  • 詳細なビジネスプランの提示

    • 市場機会、収益成長の見通し、利益への明確な道筋を強調した包括的なビジネスプランを提示。

  • 財務の透明性

    • 過去の実績と将来の予測を含む詳細な財務報告を提供。

  • 適切な担保の提供

    • 融資の担保として会社の資産を提案。

  • 政府支援の融資プログラムの活用

    • 銀行にとって有利な条件とリスク軽減を提供する政府支援の融資プログラムに申し込み。

結果

  • 融資獲得

    • ABC製造は1億円の融資を獲得しました。

  • 資金の活用

    • 資金は機械のアップグレード、追加スタッフの雇用、新製品ラインの立ち上げに使用されました。

  • ビジネスへの影響

    • 融資実行後、2年程度で売上が25%増加し、マーケットでの存在感を拡大しました。

キーポイント

  • 関係構築:銀行との強固な関係の構築が重要でした。

  • 明確なビジネスプラン:明確で実行可能なビジネスプランを示すことで、銀行の信頼を得ることができました。

  • 透明性と信頼:財務に関する透明性と課題についてオープンにすることで信頼を築きました。

  • 担保と保証:十分な担保の提供により、銀行のリスクが軽減されました。

  • 政府プログラムの活用:政府支援プログラムの活用により、銀行に追加の安全性を提供しました。

この事例は、適切なアプローチと銀行との強固な関係、明確なコミュニケーションを通じて、地方銀行からの融資の確率を大幅に高めることができることを示しています。

6.まとめ

地銀からの融資は、適切なアプローチと準備を行うことで、成功率を大幅に上げることができます。今回のコラムを参考に、地銀との良好な関係を築き、事業拡大を目指してください。

地銀からの融資を成功させるために以下のポイントを実践することをオススメします。

  • 長期的な関係構築

    • 地銀との関係は一夜にして築かれるものではありません。長期的な視点で信頼関係を築くことが重要です。これには、定期的なコミュニケーション、透明性のある情報共有、そして一貫した取引履歴が必要です。

  • 明確な計画の提示

    • 融資を受ける目的が明確で、実現可能なビジネスプランを持っていることが重要です。これには、市場分析、財務予測、リスク評価などが含まれます。

  • 適切な担保の提供

    • 担保は融資の重要な要素です。適切な担保を提供することで、地銀のリスクを軽減し、融資の可能性を高めます。

  • 定期的な情報提供

    • 定期的に業績や経営状況を報告することで、地銀との信頼関係を深め、融資の可能性を高めます。

  • 専門家の活用

    • 信用保証協会や経営コンサルタントなどの専門家の意見を取り入れることで、融資の成功率を高めることができます。

これらのポイントを実践することで、地銀からの融資を成功させ、ビジネスの拡大と利益率の改善につなげることができますので、ぜひとも実践してください。

あなたは経営者として、どのポイントから地銀にアプローチしますか?

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