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“楽しそう”で仲間を増やす!日本一小さな村の「やさしい農業」

「正直な話、農業を始めるまでは村について考える機会はそこまでなかったんですよ」。

そう語るのは、舟橋村でもっとも若い生産者である佐渡司(さど・つかさ)さん。言葉とは裏腹に、いまでは子育てを応援する食と農のプロジェクト「MUSUBU」の中心を担う一人です。

村生まれ村育ちの佐渡さんが取り組んでいるのは、農業のスマート化。村の組合に所属して農作物づくりに精を出すだけでなく、高齢化が進む生産者の負担を軽減するため、ドローンを活用した薬剤散布などを通じたサポートをも担当しています。

彼のストーリーからは、地域に根ざした農業の未来の描き方が見えてきます。

きっかけは「ドローン」。

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実家が兼業農家だった佐渡さんが本格的に農業を始めたのは、2年ほど前のこと。以前勤めていた車関係の職場をケガで続けられなくなった時期に、たまたま声がかかったことから農業の道に足を踏み入れました。

そのとき佐渡さんの興味を引いたのが「ドローン」の存在。

「ちょうど舟橋村で農業にドローンを活用していこうという話があって。僕自身、機械を扱うのが好きだったので面白そうだなと思ったんです」

舟橋村が取り組む農業ブランド化が持つ特色のひとつは「入口」と「出口」の両方からアプローチを進めていること。

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入口とは自動化や省力化といった作物の生産に関すること、出口はマーケティングやネット活用などの販売にかかわることを指します。どちらかだけに取り組んでも、地域の農業を元気にすることはできません。

販売面だけではなく、高齢化が進む中で少しでも農作業の効率化・省力化を図るためには、入口の改善に取り組むことが重要。その役割を担っているのが、佐渡さんを中心とした若手グループなのです。


佐渡さんの“やさしい”農業

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「明日はここから行きましょう」「このあたりの散布は洗濯物を干す前がいいですね…6時くらいかな」

佐渡さんたちが取り組むドローンによる散布作業の計画打ち合わせの風景です。風向き、天気を意識するのはもちろん、近くに暮らす方々への影響を考慮しながら判断しているのは、田んぼと住宅密集地が連続していることが多い「日本一小さな村」らしい光景だと言えるでしょう。

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「薬剤が車にかかったり家にかかったりしたらやっぱり嫌じゃないですか。舟橋村はせまいし子どもが多いですからね。学校もすぐ近くだし、特に気をつけるようにしていますよ」

一区画あたりの栽培面積が小さいことは、効率化や村全体で見たときの収益力に大きく関わってきます。ですが、村に暮らす方々との距離が近いからこそ、佐渡さんの言葉にあるような“やさしさ”を大切にした、まちと共に生きる農業のありかたが個性になっているのかもしれません。


農業の未来は“楽しそう”から。

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そんな若手農家の中心人物になっている佐渡さんですが、冒頭の言葉が示すように決して農業に思い入れがあったわけでも、舟橋村への愛が人一倍強いタイプだったわけでもありませんでした。

それが、現在では舟橋村の未来をつくっていく上で欠かせないひとりに。

「農業を始めて、先輩農家の人たちからたくさん勉強させてもらって、農業だけじゃなくて舟橋村のことを改めて考えるようになりました。高齢化が進んでこのままだと農業をできる人がいなくなってしまうなか、自分にできることは何だろうって」

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どうしたら舟橋村で農業をしたい人が増えるかを考えるなか、出てきた答えの一つが「自分が新しいことに取り組む」ことでした。

「自分がドローンをきっかけに農業に興味を持ったように、“楽しそう”と思ってもらえるきっかけを増やしたら、若い人も舟橋で農業をやりたくなるんじゃないかな」

自分の好きな「機械」を入口に農業に関わり始めた佐渡さんだからこそ見つけることができた未来の糸口。実際に「ブランディングプロジェクトを見て」と、新しく農業を始めたいという声も舟橋村には寄せられています。

佐渡さんたちは、これからも舟橋村で「楽しい農業」の姿をつくっていくことでしょう。

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【編集後記】

佐渡さんがつくるお米は、おむすび「したごしらえ」の白米として使われています。立地に恵まれ災害がほとんどない舟橋村のお米は、県内の飲食店にもファンが多いのだそう。


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musubu 日本一小さな村
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