過保護のカホコを見て号泣してしまった話
ドラマのネタバレを含みますので、回避したい方はそっと閉じて頂いて構いません。
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「過保護のカホコ」というドラマを見ている。きっとこの先も最終話まで見ると思う。
http://www.ntv.co.jp/kahogo-kahoko/
過保護に育てられた大学生のカホコが、自分とは真逆の青年に出会い、人の悪意に触れたり、就職に悩んだりという状況をその青年の助けを借りながら過ごすことで成長し、自我が芽生えていく・・・(今のところ)といった内容。
実は1話を視聴した後、面白かったけれど切なくて「見たいのに見ていられない」という感情を持ってしまった。
理由は「カホコが娘に似ていたから」。似ているのは顔じゃないです(もちろんあんな美人に育ったら嬉しいけど)。見ていて面白いなと思ったのですが、同時に胸が痛くなったのだ。
例えば、お風呂に入る前に自分が小さかった時の動画を見るという謎の日課があるところ。
例えば、勢いのある話者(主に私=母)が話している間は、自分が何かを言いたくてもタイミングを逃してうまく話せないところ。それでいて「はっきり言いなさい」と言われると言葉にならないところ。
例えば、納得がいかない時にすぐに言葉で反論するのではなく口を結んで「納得がいかないなあ」と表情で訴えるところ。
例えば、何の疑いもなく「パパ大好き」と言えるところ。
例えば、どうしていいかわからない時や緊張している時に服の前身頃をぎゅっと掴むところ。
例えば、聞きたくない話が繰り広げられていると、わかりやすく両耳を塞ぐところ。
に、似ている。
とはいえ娘はまだ小2。なので、大学生であるカホコに似ているというのはおかしな話だし、きっと娘もあと10年ほど経てば変わると思うのだけれど、カホコが小2女子のような純粋な心の動きそのままに大人になったことを、ややコミカルに誇張しながら表現されていて、どこか重なって見えてしまったのだ。
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そんな感じで、2話は見るのを控えたのですがやはり気になって、昨日3話を見て、その後穴を埋めるように2話も見た。見てしまったんです。はい。
第3話のクライマックスで、カホコが思いを寄せる青年のことを母親が悪く言い、その青年とは会わない約束をしたにも関わらず実は会っていたことを強く糾弾するシーンがあり、カホコが初めて母親の言葉を猛烈に遮って感情を爆発させた。
「私の言う通りにしていればあなたは幸せなんだから」とカホコを責める母に対して、感情を高ぶらせたカホコが息急き切って言ったセリフが忘れられなくて。
「カホコはバカだから思ってることがここまで(首のあたり)出て来ても、こっから(口から)出て来ないのも知ってるでしょ!今まではママが何か言ってもカホコも同じ気持ちだったからよかったけど、でも今は全然違うから!」
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きっとカホコはいつだって言いたかった、話したかった。
それまでも、ドラマの随所で、口をパクパクさせながら言葉にならないカホコの表情が映されていて、実はそれを見るたびに胸が痛かった。
私も娘のそんな表情を頻繁に見る事があるし、言葉がなかなか出ないときに「ちゃんと口に出して言わないとわからないよ」と言ってしまったこともある。
あまりにも言葉にならない時は、こちらから「娘が考えそうな・言いそうな言葉をあらかじめ用意」して選択制にすることで、意見を引き出そうとしてしまっていた。
子供の頃から口だけは達者だった私は「ここまで来てるけど言葉が出ない」という経験をあまりしたことがなくて、そんな娘をいつももどかしいと思っていた。もちろんそれが劣っているとかは微塵も思っていないのだけれど、自分にはない要素だったので、じれったいと感じてしまうことがたくさんあった。
カホコは周りの人の機嫌を察したりしながら、その場を平和に保つためにたくさんの言葉を飲み込んできたのだろう。私の娘にもそういうところがある。本当は違うけれど、その場をこじらせないように言葉をそっとしまう瞬間を何度も見て来た。実際その前のシーンでは自分のせいで母親の機嫌を損ねてしまったという負い目もあっただろうから、素直に母親に謝罪していたのだ(といってもそれは母親が押し付けた約束なので、倫理的に破ってしかるべきこと)。
それなのに、母親がくどくどとまくし立てたのだから、カホコだってそりゃ黙っちゃいられない。当然である。
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頭で考えたら、そんな母親は「よろしくない」。けれども同時に、娘に「不要な失敗をして欲しくない」という母の気持ちもわかってしまう自分。
もちろんドラマの中では極端な描写にはなっているけれど、知らず知らずのうちに娘に呪いをかけてしまう母親の存在に自分がなっていないだろうか、娘の本当の声を私は過去何度遮ったのだろうか・・・と、反省と同時に居た堪れない気持ちになり、自然と落涙。嗚咽。
こうして文章に書くとなんとも陳腐で、要は「母とひとり娘って難しいよね」っていう一言に尽きるのだけれども、カホコの魂の叫びは私がここ1ヶ月ほど持っていた「家族についてのモヤモヤ」に一石を投じたのであった。
娘は小2になっていろいろとつまづくことが増えた。それは勉強であったり、友達との比較であったり、はたから見たら大層な事ではなくても、本人にとっては大きな問題だったりすることがあって、その度に母親として一緒に悩み、どうしたら乗り越えられるかなと助言をするなどしてきた。つもりだった。
どうしても、「これ以上つまづいて欲しくない」という気持ちが先に立つから、つまづく原因である石を先回りして取り除いてしまうこともあったように思う。
でも、きっと娘に必要なのは石を取り除くことではなく、つまづいたら何度でも手を差し伸べて、痛みに共感して、立ち止まりたい時や引き返したいと思った時に雨風を凌ぐ場所を用意し、次の活力を与えられる温もりを提供できる懐の深さなんだろうな、母に必要なものって。
もちろんそれがなかなか出来ないのが人間の性なのだけれども。
ああ、久しぶりにドラマに心を揺さぶられてしまった。そんな夏の日の話でした。
ちなみに、カホコのお父さんのスタンスというのもまた味わい深いものがあり、前述の「家族についてのモヤモヤ」を少し晴れやかにする存在でもあるのだが、長くなったので割愛させていただく。
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それにしても、カホコの母が挙げていた最も付き合ってはいけない人物が
「役者とミュージシャンと画家の卵」
・・・
えっ(笑)
男女ともにそんな感じの人とばかり一緒にいるのだけど、私は幸せだ。
(おわり)